生活にアートでプラスアルファを NPO法人アルファルファ 山口佳子さん

山口さんは、2006年より「生活にアートでプラスアルファを」をキーワードにNPO法人アルファルファを立ち上げ、社会に良質なアートを届ける活動を続けてきました。活動内容や組織を立ち上げた経緯、大学生との向き合い方、今後の展望などのお話を伺ってきました。

山口さんは、2006年より「生活にアートでプラスアルファを」をキーワードにNPO法人アルファルファを立ち上げ、社会に良質なアートを届ける活動を続けてきました。

2008年からは法政大学キャリアデザイン学部非常勤講師、2010年よりアサヒ・アートスクエアの運営委員をつとめています。

アーティストのマネジメントや舞台作品/アートプロジェクトの企画を通じて、私たちが生きる世界を、楽しく、豊かなものとしていくことを目指している山口さんに、活動内容や組織を立ち上げた経緯、大学生との向き合い方、今後の展望などのお話を伺ってきました。

■活動内容

NPO法人アルファルファは、10名程のコアメンバーで構成されており、山口さん自身のお仕事も含めると下記4つを主に実施しています。

・舞台作品/アートプロジェクト等の企画制作・広報業務

・アーティスト/舞台作品のコーディネート

・法政大学キャリアデザイン学部非常勤講師

・アサヒ・アートスクエアの運営委員

基本的な軸の一つとしては、アサヒビール株式会社がCSRの一環としてNPO法人アートNPOリンクと協働して運営しているアサヒ・アートスクエアの運営委員のお仕事があります。

企画やスペースの運営に関するコンサルティング的なことや、培ってきたアートマネジメントのノウハウの提供、自身がイベントに主体的に参加されることもあります。

昨年8月に開催されたアサヒ・アートスクエアのイベント「フラムドールの家」では、

「わたしたちのLiving Room ~東京で子どもと暮らそう~」と題したトークプログラムを実施しました。山口さん自身が妊娠、出産を経たことで考えた国内外のこどもを取り巻く環境事例の紹介や東京で子どもとアートと暮らすことについて、アルファルファのメンバーやアーティスト・イン・児童館 プログラム・ディレクターの臼井さんを招いて対談をしています。

又、アーティストのマネジメントでは、下記3名の方をサポートしています。

※平山さんはソチオリンピックのフィギアスケートに出場した村上佳菜子さんの振付に、より表現力を与えるための指導もおこなっています。

具体的なサポートの仕事内容としては、例えば、あるイベントでアーティストに対して出演依頼があった場合、限られた予算を適切に配分し、様々な人脈を駆使していかにクオリティの高いものを作れるかということに尽力します。

又、劇場などとともに行う舞台制作においては、アルファルファ側からもできることを積極的に提案し、少しでも多くの人たちに伝わるように、アーティストやチームメンバーであるアートマネージャーだけでなく、外部の様々な人たちと協力してモノ作りを進めています。

舞台制作に関しては様々な運営団体が主催する公演に参加するだけでなく、少しずつ自主公演も実施しています。

過去に行ったこの公演は、コンテポラリーダンサーの平山素子さん、ライトアートの草分け的存在である逢坂卓郎さん、ファッションデザイナーであるスズキタカユキさんの3人によるコラボレーションにより構成されていました。

平山素子さんがJAXA(宇宙航空研究開発機構)の実験企画(飛行機内における無重力状態によるダンス)に参加していたこと、逢坂卓郎さんが地球に降り注ぐ宇宙放射線を視覚化する一連の作品を発表していたことから同じくJAXAと関わりがあり、いつか一緒に作品を作ろうと言っていたことで実現した公演です。

この経緯から本公演では、後援にJAXAがついています。

山口さんはアートといっても、できるだけ間口を広げて、様々な人がちょっとしたきっかけからアートに触れる機会を作りたいと言います。

「基本的にはハイ・アートが好きです。個人的には難しいものとか、人ができないようなことをやっているものに自分は惹かれることが強いです。ただそれをみたらすごいなって思う人も沢山いると思う一方で、やっぱり一部の人の嗜好品であるっていう部分も否めなくて。そうじゃないアートっていうのも、必要だと思っています。

あとはアートに触れてもらえるような仕掛け作り。わかりやすく言うと、六本木ヒルズの森美術館のような。すごく高いところにあって夜景がきれい。美術館に行くっていうよりも夜景をみにいくっていう人が多い。アートはみるけれども、実はきっかけは違うことだったり。そういう仕掛けを作ることは意識していることです。

『After the lunar eclipse/月食のあと』も間口を広めるっていう意味では「宇宙」というキーワードが一つありました。普段、劇場には来ないけれども「宇宙」のことをやっているよって言ったら、興味を持って来てくれた人たちもいました。純粋に公演はやっているけれど、企画の最初から関わるときは、できるだけ色々な人の意識にひっかかるようなものを盛り込みながら作っていきたいと思っています。」

次回は組織を立ち上げた経緯、大学生との向き合い方、今後の展望について伺ったお話を紹介していきます。

下記リンクは現在アルファルファが関わっている公演情報です。

ダンス・アーカイヴ in Japan –未来への扉- a door to the future|新国立劇場

※平山素子振付、2台のピアノによる『春の祭典』の再演があります

平山素子「春の祭典」 撮影:南部辰雄

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