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災害への取り組み:日本からフィリピン、そして世界へ

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詳細な統計を見るまでもなく、フィリピンでは、災害により毎年1000人以上の生命が失われている。そのうち、台風による被害は、死者の74%、被害総額の62%、農業セクターへの損害の70%を占めている。

2013年11月にフィリピンを襲った、現地では大型台風ヨランダとして知られる台風ハイヤンは、観測史上最大規模である。同国はまた、地震や火山噴火など様々な災害リスクに晒されている。

このようなフィリピンの環境は、日本と共通するものがある。自然災害といえば、日本を思い浮かべるほど、日本は災害大国として世界で知られている。地震、津波、暴風雨、洪水のリスクを考えるとき、フィリピンやバングラデシュとともに日本を思い浮かべるだろう。

この二国間の繋がりは他にもある。日本は自身が確立した強靭な社会や災害リスク管理の経験を踏まえ、フィリピンが国民や資産を災害による被害から守るための戦略を策定する支援を行ってきた。

台風ハイヤン発生から1年後の2014年、日本政府と世界銀行グループは、日本-世界銀行防災共同プログラムを発足、その実施主体を担う世界銀行東京防災ハブ防災グローバル・ファシリティ (GFDRR) が管理する形で設立された。

今日、東京防災ハブは、フィリピンを含む30か国以上を支援している。フィリピン政府への支援では、リスク管理に関する法的・制度的枠組みの整備を通じて、建築物ならびにインフラの強靭化に取り組んでおり、台風ハイヤンによる被災地域の復興事業にも役立てられている。この取り組みの一環として、日本の建築規制の専門家がフィリピンの国家建築基準の見直しを支援する取り組みも予定されている。

その他にも、災害に強い学校づくりに関する事例が挙げられる。日本は過去10年間にわたり公立学校耐震化を全国規模で進め、大きな成果を挙げてきた。この経験は、途上国における災害に強い学校づくりに活用することができる。こうした日本の取り組みに対し、ペルーでは政府が2,400万ドルを投じ、300校以上の脆弱な学校施設の改修を進めると決定した。これにより、27万人以上の学生が恩恵を受けることが見込まれている。エルサルバドル、フィリピンおよびトルコも同様に、災害に強い学校づくりのための投資が加速される見込みである。

日本の援助は、単なる技術的ノウハウや資金提供に留まらない。大船渡市の高齢者らが中心となり、2011年3月の東日本大震災後の地域コミュニティーを再建した経験は、台風ハイヤンにより被災したフィリピンのオルモックで共有されている。

これらは、日本の成功事例や経験が、境界や国境を越えて役立てられていることを示す数例にすぎない。こうした事例や経験は、若者や高齢者だけではなく全ての人々と国々において、気候変動がもたらす災害に対する強靭性の構築に役立つ。

我々はリスクの高い時代に生きている。我々同様、日本は、災害がもたらす損失の甚大さを認識している。その損失規模は、世界規模では驚異的な数値になる。2005年以降、災害による損失は年間平均1,400億ドルに上っている。小規模の災害による損失も考慮すると、この数値はさらに50%も高くなる。

こうした災害が貧困層の人々に最も影響を及ぼしていることは明らかだ。災害リスクは、せっかく築き上げた社会の発展を後退させ、数百万の人々を貧困に陥れる。台風ハイヤンは、230万人の人々の生活を貧困ライン以下レベルに陥れた。

2016-06-28-1467084285-3882690-GFDRR_report.JPG 報告書「更なるリスクを抱える未来:意思決定が導く未来の災害リスク」

また急速な都市化とそれに伴う都市人口増加がリスクを高めることも自明である。世界中で数百万人に上る人口が都市へ流入し、その多くはインフォーマルな居住環境に住むことを余儀なくされる。防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)が先日発表した報告書「更なるリスクを抱える未来:意思決定が導く未来の災害リスク」によると、インドネシアは、急速な都市部の拡大に伴い、今後30年間における河川洪水リスクが160%増加する可能性があると指摘している。さらに驚くことに、インドネシアにおける沿岸部の洪水リスクは、同じく30年間で445%上昇すると予測されている。また、カトマンズでは、増加するインフォーマルな住宅建設が引き起こす影響だけでも、2045年までに地震リスクを倍増させ、50%に押し上げると予想されている。

将来のリスクを決定づけるのは今日の意思決定者である、と前述の報告書は指摘している。今日の意思決定者は将来のリスクを管理する絶好の機会を手にしている。また報告書にもある通り、変化し続ける世界の中で、我々が気候変動や災害リスクに対して十分に備えが十分出来ていないことは、残念ながら事実である。だからこそ、今日の意思決定者は今こそ行動に移すべきなのだ。

このような状況だからこそ、日本の経験が必要とされている。半世紀以上に及ぶ、日本経済の持続的な成長は、建築規制の向上、洪水対策、災害保険制度や事業継続計画など、災害リスク管理の実践なしには実現できなかったであろう。

日本は、開発アジェンダの中心に災害リスク評価を据え、政府及び民間セクターが災害によって見込まれる経済損失およびその可能性を認識することの重要性を、我々に示してきた。気候変動に直面する中、将来のリスク軽減に取り組むならば、我々はみな、日本から継続して学ぶ必要がある。

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今月、タイで行われた会議で参加者と話すジョン・ルーム気候変動担当シニア・ディレクター

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