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「それは子どもに一番よいことか」何度でもこの問いを繰り返すべきです。

緒方議員の話と熊本市議会事務局、 少なくともどちらかがウソをついています。

2017年11月30日 11時16分 JST | 更新 2017年11月30日 11時16分 JST

GATAG

先日の記事『子どもたちみんなのためを考えるなら、乳幼児を「議場」へ入れるべきではありません』

炎上覚悟で書きましたが、予想以上に好意的な意見を多くいただきました。大変感謝しております。

やはり正論は理解していただけるものだと、意を強くしているところです。

そうしたご意見の中から、まず、現職の女性議員のご意見をご紹介したいと思います。

◎駒田かすみ・姫路市議

随分大きくなって、そろそろ子育てという言葉が似合わなくなって来てますが、一応現職の子育て中の女性議員の立場から...。

まず、私自身は子どもが乳幼児期には、議員ではなく病院の総務職員で、併設の託児所を利用していました。就業時間内に必要があれば授乳にも行けましたが、院内の会議に連れて行こうと思ったことはありませんでした。

理由は、会議中の雰囲気は子どもにとって大人しくしないといけないという退屈な場所なだけでなく、会議に参加している私自身が『子どもが泣かないか、騒がないか』を考えながら会議に参加するのはプレッシャーであるだけでなく、会議に集中できないからです。

もちろん、他の参加者にとっても、そこに子どもがいることで雰囲気が悪くなったりということはなくとも、多少は注意力が削がれてしまい、全体としての会議の進行が遅れてしまうのは仕方がないことになるからです。

私のいた病院では、部署ごとの会議によっては、実際子連れで参加している方も一部いらっしゃいましたし、かなり寛容でしたが、今回のように市民の声を届けるべき『議会』においては、誰にとっても窮屈な思いをするだけで、子育て環境を整えるという大義名分とかけ離れる結果になるのではないか、と思っています。

中妻さんが言われるように、おとなしい子どもばかりではありませんし、本当に子どものことを考えると、子ども自身が『のびのびと過ごすことができる』環境を整えることの方が、議場に子どもを連れて入ることよりも遥かに重要と考えます。

そして、議員というのは、そこまでの経緯はどうであれ『横車を押す』行為を認める存在であってはいけない、という自制心が必要ではないか、というのが私の中でもう一つポイントになっています。

少なくとも、議員は、段階を踏んできちんと交渉して行けば、交渉会派でなくとも制度や仕組みの整備をすることが可能な立場であり、保育園が整備されるのを待つしかない市民とは違って、自分自身の経験を反映するための行動が認められています。

であればこそ、相談したけど埒があかなかったから強行突破した、では説明責任が問われるのではないでしょうか。

少なくとも、控室までは連れて行くことができる、という状況は、きちんと説明して行けば議会として理解が得られる状況にあると思われます。

今回の行動は、そういう意味では、子育て中の女性議員の立場から見てもパフォーマンスと受け取られても仕方ないと思えますし、残念ながら子育て環境の整備という面からはマイナスにしか働かないと思いました。

*

因みに、小学校就学前後には職場の会議に長女を連れて参加したことありますが、お互い嫌な思い出だけが残りました(笑)

すでに成人している子ども自身は『お母さんがそこにいるのに話しかけられないし、騒いだら怒られるし、退屈な時間だった』と今でも話しますね。

私自身も、お絵描きしてる間は良くても『まだ?』と来られるとイラっとしましたから(^^;;


まさしく、これぞ「生の現場の声」ですね。

海外の事例を持ってきてどうこうとおっしゃる方がいるのですが、海外でもどこでも、「議場を子どもにとって最高に過ごしやすい環境」にしている議会は、ひとつもありません。

それは「議場」という場の第一目的から外れるからです。

もし子連れでの議場入場を認めるのであれば、「会議中、ずっと子連れで議場にいる」のでなければ、意味がないですよね。

子どもがぐずったら別室に移すのでは、それこそ、議場に入れる意味はパフォーマンス以外に何もありません。最初から別室にいればいいじゃないですかと。

今週は板橋区議会でも本会議がありましたが、通常朝10時から夕方17時まで、昼休憩1時間と15:00〜15:30の休憩以外、ずっと本会議場に貼り付きです。

その間、子どもをずっと議場に縛りつけておくことが、本当に子どもと親にとってよいことなのでしょうか?

海外の事例は、本当にこんなことを子どもに強いているのでしょうか?

海外の事例は、本当に問題解決した状態なのでしょうか?

繰り返しになりますが、「子供のことを第一に考える」のであれば、保育士付きの別室に預けるのがやはりベストです。

「子どもを議場に連れ込むという話を聞いた人は、誰もいない」熊本市議会事務局への電話インタビュー

11/29の毎日新聞に、件の緒方夕佳・熊本市議へのインタビュー記事が掲載されました。

<乳児連れ議場に>子育てと仕事の両立「個人の問題と片付けないで」 緒方夕佳・熊本市議に聞く (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

前回の記事でも「公平を期すなら、他の議員や市議会事務局のコメントも取るべき」と書いたのですが、どうも緒方議員の主張ばかりがクローズアップされているようですので、本会議中の大変お忙しいところ、私が熊本市議会事務局に電話しまして、担当の方に電話インタビューに応じていただきました。

大変感謝しております。

「子どもを議場に入れる」なんて話を聞いて、何も対応しないなんてあり得ない

――11/29の毎日新聞に掲載された、緒方夕佳議員のインタビューの事実関係を確認したいです。まず緒方市議は記事中で

『昨年11月28日午後、議会事務局長ら3人と私で話した。妊娠報告をして「長男が生まれたら一緒に議場に連れていきたい。議会内に託児所を設置するか、予算が厳しいならベビーシッターの手配または部分的な補助を出してほしい」と要望した。一歩でも子育て世代の議員を増やすための環境整備を進めたいとお願いしたが、市は「議員さん個人でベビーシッターを雇って、議員控室で見てもらってください」という答えだった。1、2時間話しても平行線だった」

と述べたとありますが、これは事実でしょうか。

「昨年11月28日については、その3人の中に私も入っているようですが、事務局長にも確認しましたが、日常の打ち合わせについては記録してませんし、正直記憶もありません。正式な要望書として持ってこられているわけでもありませんから...。

妊娠報告みたいな感じで聞いていたのかなぁという気もします。

ただ一点だけ確実にちがうと言えるのが、「長男が生まれたら議場に一緒に連れていきたい」、こういう相談を受けた記録はもちろんございませんし、こんな大事な話をされた記憶もございません。

その後の後段の「議会内に託児所を設置するか、予算が厳しいならベビーシッターの手配または部分的な補助を出してほしい」、これは緒方議員が日常的に言われてたので記憶しております。

公費を出してくれということですね。

私の雇うベビーシッターを公費で払ってくれという主張でしたので、今日議会運営委員会でも申し上げましたが、一般的には自分でお子さんをお育てになっている方々は自分の費用で保育園に預けられてますので、それは公費で雇うというのは難しいです、という返答をしたのは間違いございません」

――そのように、今日(11/29)の議運で報告をしたということでしょうか。

「はい、報告をしております。各議員から事実関係の確認がございましたので。

その中で緒方議員が、終始一貫長男を連れて一緒に議場に入りたいという話をずっとしていたと言われていますけれども、そういう事実もないというのも、報告をさせていただいております。

これは今の議会運営自体を大きく変える話なので、こういう話をそのまま流すなんてことはちょっと考えられない話です。私どもがそのまま放置するなんてことはあり得ないです」

議長が「話をしよう」と言っているのに、突然行動に出た

――記事の続きですが、

『今年11月14日、議会事務局に電話で連絡して希望を伝えたが、事務局側は昨年と似たような答えだった』

とありますが、「子どもと一緒に議場に入りたい」とはおっしゃっていないという立場だと思いますが、託児所の設置やベビーシッターの公費補助という話を、11月14日に電話で緒方議員となさったでしょうか。

「11月14日は、緒方議員から電話があったのではありません。

議員は出産をされてますので、第2回定例会と第3回定例会すべて欠席をされてます。

で、第4回定例会について、議案の説明でや本会議の出席確認を行うために、担当職員が電話をしております。

そのときに緒方議員がおっしゃったのが、「子どもを周りのみんなで育む環境づくりを目指している」というような話だそうです。具体的な要望については担当職員も受け取っていません。

で、その際に緒方議員が、議長に相談したいことがあり、来週以降調整したいので、議長の都合のいい日を教えてくれというようなことをおっしゃってるようです。議長に直接お話ししたいということだったんでしょうね」

――14日の来週ということは、問題の22日の週ということですね。20日または21日で緒方議員は議長に相談するつもりだったのかもしれないけれども、特に議長とは相談できていない?

「議長は現在役職が、全国議長会や九州議長会、指定都市議長会のほうでもあり、大変多忙になっておりまして、ほとんどいらっしゃらない状況です。

議長から聞いているお話としては、開会日前日(21日)に、緒方議員から直接、議長の携帯電話に電話があったそうです。

ただ、議長も常日頃緒方議員と話されてるわけでも、文書が出てるわけでもありませんし、緒方議員の要望をそこで聞く時間もなかったので、「いろいろ要望があるんであれば、明日から議会が開会していらっしゃるでしょう。そのときにまたお話をしましょうか」というくらいで議長は電話を切ったそうです」

――そうしたら、翌22日の突然の行動になったと。

「はい」

当日緒方議員は一人で議席に座り、開会数分前に、子どもを抱いた人が居並ぶカメラをすり抜けて、子どもを緒方議員に手渡した

「そもそも、マスコミの報道が歪曲して伝わっているのが、いかにも緒方議員が一人で子どもを抱いて議場に入ってきたというように伝わってると思うんですけれども。

現実は、全国的にちょっと今有名になっている、パワハラの不当要求の議員の関係で、地方局だけではなく、キー局のカメラも議場にズラーッと並んでる状態だったんですね。

その中で、まず緒方議員がお一人で入ってこられまして、まさかそういう行動を取られると思ってなかったんで、ああ普通に出られるんだなと思ってましたら、カメラの間をすり抜けて、お知り合いの方ということですけれど、お子さんを抱いて、緒方議員に預けられたんですね。

もうほんと、開会の何分か前ですね。

だからもう完全に、別件で全国のテレビ局が集まっているというのを承知の上で行動に出られたんだなと受け取っています。

だからそのときも、お子さんを見る方がいらっしゃらなかったわけではないです」

緒方議員から相談を受けたという熊本市議は見当たらない。「賛否両論」という状態はない

――記事のその後の部分、「同僚議員には相談しなかったのですか」という質問に答えて、

『事務局に相談する前、複数の議員にも相談した。子連れで議場に入ることについて「そうあるべきだ」「いや、それはねえ......」といろいろだった。「難しいと思うが、あなたが覚悟してやろうと思うなら真っ向から否定するものはない」という意見もあった』

と記事にあるんですが、緒方議員は一人会派ということですが、仲のいい議員にでも相談したのかもしれませんが、他の議員のコメントとしてはこの通りなんですか?

「全員に確認したわけではないですけども、緒方議員が1期目の一人会派でありまして、子育て環境の充実について、1期目の議員さんたちがお話を聞かれてたということは私どもも存じ上げています。

で、その方々に確認しましたが、お子さんを抱いて議場に入るなんていう話は、どなたも聞いてないそうです。

私どもが聞いた範囲では、どなたもそういう話は聞いたことがないと。

賛否両論なんてのは、うちの議員にはないというのが正直なところです」

――確認になりますが、託児所を設置してほしいとか、ベビーシッターの公費負担をお願いしたいという話は事務局とは日常的にしていたけれども、議場に連れ込むという話を聞いたことがある人は、今のお話を聞く限りでは誰もいないということですね。

「はい」


いかがでしょうか。

緒方議員の話と熊本市議会事務局の見解は、大きく異なっています。

少なくとも、どちらかがウソをついています。

もし熊本市議会事務局の話を全面的に信じるのであれば、そこから見えてくる緒方議員の姿は、自分の子どものベビーシッターの公費負担を求め、それが通らず、突如としてカメラの前で示威行為に出るという人物像です。

どちらが正しいのか、よくよく確認する必要がありましょう。

他の熊本市議会議員や市議会事務局にも十分話を聞くよう、マスコミ各位を始め、本件を論じようとする方々にお願いしたいと思います。

「それは本当に、子どもにとって一番よいことでしょうか」

最後に、またドラッカーを引用させていただきます。

(ブライアン看護師は)特に優れた看護師でもなく、看護師長をつとめたこともなかった。だが彼女は、自分の病棟で何か新しいことが決まりそうになると、

「それは患者さんにとっていちばんよいことでしょうか」

と必ず聞くことで有名だった。事実、ブライアン看護師の病棟の患者は回復が早かった。

何年か後には、病院全体に「ブライアン看護師の原則」なるものができあがった。みなが「目的とするものに最高の貢献をしているか」を常に考えるようになっていた。

今日では、ブライアン看護師が引退して一〇年が経つ。しかし彼女が設定した基準は、彼女よりも教育や地位が上の人たちに対し、いまも高い要求を課している。

(『ドラッカー名著集1 経営者の条件』(P F ドラッカー, 上田 惇生 著)より)

海外の事例なんかより、優先すべきものがあります。

「それは本当に、子どもにとって一番よいことでしょうか」

この問いです。

この問いを、何回でも繰り返し問うべきです。

中妻じょうた 板橋区議会議員