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「Officeの呪縛」をマイクロソフト自身が破るのか?―Windows XPサポート終了を考える(2)

2014年04月12日 23時43分 JST | 更新 2014年04月13日 00時07分 JST

本日4/9、Windows XPのサポート終了となります。私のところにも、XP最後のセキュリティアップデートを知らせるメールが届きました。

今回は、もし「脱Windows」をやらなければならないとしたら、何が問題になるのかを整理しておきたいと思います。

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■移行の最大のハードルは「Officeの呪縛」

繰り返しになりますが、「脱Windows」をやらなければならない状況が生じるときとは、マイクロソフトが「非タッチ型PC」を完全に切り捨てようとしたときです。

世界中に大量にある非タッチ型PC。もちろん板橋区所有のPCはほぼ100%非タッチ型です。

それぞれの業務では十分に使えていて何の問題もないのに、OSを更新するためだけにハードウェアごと買い換えなければならないとしたら、そのハードウェアをそのまま活かせる別のOSへの移行は、選択肢に入ってしかるべきでしょう。

(この観点から、Mac OSは移行候補から外れます。私個人はMacユーザなので残念なのですが、OS移行がハードウェアの全買い替えを意味するのであれば、よほどのメリットがないと難しいでしょう^^;)

ではそういう状況が生じたとして、何が問題になるでしょうか?

BLOGOSやハフィントン・ポストも含め、様々な意見をいただきましたが、大方のご意見は「現時点では難しい」というトーンでした。実のところ、私も同感です。

何が移行を難しくしているか。一言でそれを言い表したご意見がありました。

「Officeの呪縛」です。

「クラウド・コンピューティング」「ASP」「SaaS」などなどの普及により、インターネット中心・OS非依存のコンピューティングが進んでいます。

が、いくつか、代替が難しいアプリケーションがあるわけです。

その代表が「MS Office」…中でも一番大きいのは「Excel」でしょう。

Excelは本当に優れたソフトウェアです。表計算ソフトの枠を超えてあらゆる使い方ができる、もはやひとつのプラットフォームであると言ってもおかしくない「化け物ソフト」です。

そして、そうであるがゆえに、Excelが使えない環境では仕事にならないわけです。

もちろんLinuxでも「Libre Office」などのOffice代替ソフトがあります。また「Googleスプレッドシート」など、ブラウザベースでOS非依存で使えるアプリケーションもあります。

これらは多くの場合は問題なく使えますし、外部とのやりとりが生じない業務であればほとんど何の問題もないでしょう。

しかし、特に自治体行政は、国・都・委託先企業などの「外部組織」とのデータのやり取りが恒常的に発生します。

こうしたときに、先方から送ってきたファイルがこちらでレイアウトが崩れたり、マクロが動かなかったり…というようなことが起こると仕事にならなくなるおそれがあるので、基本的には「みんなが使ってるMS Officeでいいでしょう。なんでわざわざ代替ソフトを使うリスクを取らなければならないの?」という話になるわけです。

こうしたことが原因で、Linux導入に取り組んだ自治体も、現在うまくいったと言えるほどの事例にはなっていないようです。

実は以前、Linuxを導入したさる自治体への視察を検討したのですが、先方から断られてしまいました。

「Linux導入はうまくいっておらず、元に戻すことを検討している最中。Linux導入に関する視察はすべてお断りしている」のだそうです。。。

■マイクロソフトが「MS Office for Linux」をリリースする??

このハードルを超えるのに最も確実な道は、マイクロソフト自身が本家本元「MS Office」のLinux版をリリースすることです。

…そんなうまい話、あるわけないじゃん…。

と、私も思ってました。

しかし、調べてみたら、驚きました。

マイクロソフトがMS OfficeのLinux版のリリースを検討しているかもしれない、というニュースがあったんです。

Microsoftは2014年にOfficeのLinuxバージョン提供か–新戦略としてのオープンソース化 | TechCrunch Japan

まだあくまでも噂レベルのようですが、これが実現したら、Linuxへの移行は一気に現実味を帯びます。

このあたりがどうなるかは、マイクロソフトが自身の強みをどう考えているか、今後の戦略をどう考えているかで変わってきそうです。

Windowsはタッチ型コンピューティングに完全シフトし、非タッチ型PCは守備範囲から外してLinuxにまかせる。そのかわりMS OfficeのLinux版をリリースして、非タッチ型PCユーザが困らないようにする…

…うーん、ここまで大胆な戦略を考えているとは、さすがに考えにくいですが…^^;

前回記事で示した、Windows8.1アップデートや特定政府への延長サポート提供などの動きを見るに、今のところはまだ、マイクロソフトはそんなに鋭角に舵を切ったわけではないように思われます。

やっぱり「微妙な戦略」というか、どうしたらいいか迷っているようにも見えるんですね。

という微妙な状態に今あるから、「板橋区はLinuxの導入検証くらいやってみてはどうか」という、いわば「観測気球」を上げてみたわけです。

それに対する答弁が「難しい」ということなので、これはまあ、ゼロ回答ですねぇ…。

しかし、今後もいつまでもWindows頼みの行政でいいとは、私にはやはり思えないのです。

状況の変化を捉え、新しい材料を探して、また質問してみます。

■おまけ:答弁の言い回しで見る「実現可能性」

さて、おまけとして、議員の質問に対して出される答弁において、おおよその「実現可能性」を推測するための「言い回し」をご紹介しておきましょう。

(板橋区の場合です。他の自治体ではまた異なる「言い回し」があるかもしれません)

行政は答弁したことについて責任を持たなければならないので、議員の質問に対して「はいわかりました。やります」なんて答弁をすることはまずありません。

こんな答弁をしたら、実現可能性はこれくらいありそうだ…という「なんとなくの相場観」があったりするんです。

  1. 「具体的な検討を行なってまいります」
  2. →かなり実現可能性高そう。もう内々で進んでいた話かも。
  3. 「検討いたします」
  4. →真面目に取り扱ってはもらえそう。
  5. 「今後の研究課題といたします」
  6. →先送りされた。食い下がらないと無理っぽい。
  7. 「難しいと考えております」「予定はございません」
  8. →却下された。新しい材料を持っていかなければ無理め。

で、今回のLinux移行は「最低ランク」の答弁だったわけですね^^

板橋区議会会議録も、こうした読み方を知っているとおもしろいですよー。

(2014年4月9日「中妻じょうたブログ」より転載)

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