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5分で分かる電力自由化、仕組みと問題点

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電力の自由化、2016年4月から始まると思っていませんか?

実は電力の自由化は1990年代から始まっていました。最初は発電の自由化、次に超高圧電力販売の自由化、その次に高圧電力の自由化で、最終の第四段階として巷で話題となっているのが「小口電力販売自由化」であり、この第四段階を狭い意味で「電力自由化」と呼んでいます。

■電力自由化とは

電気は特定の事業者(既存電力10社)に地域独占を許す代わりに安定供給を義務つけると言う政策を日本政府は行ってきましたが、21世紀になって電気も一般消費財と同じよう、個人の意思で購入できるようになれば良いと言う流れができてきました。例えて言うなら、今までは東京に住んでいるなら東京電力、大阪に住んでいるなら関西電力から電気を買わなければなりませんでした。

ところが電力の自由化が始まると、東京に住んでいても関西電力や新電力A社、もしくは新電力B社から購入することができます。電気も一般消費財と同じように買う事ができる。これが電力の自由化なのです。

◆電力の自由化は電力市場における市場開放なのだ

小口電力の市場は7兆円あり、その30%は首都圏(東京電力エリア)に集中しています。新規参入の新電力にとっては魅力的な市場です。たとえシェアーが1%であっても、その売り上げは約200億円となり、とても魅力的です。新電力は顧客獲得の為にあらゆる努力をするでしょう。

価格を引き下げることは勿論、サービスも良くなります。クーポン券を発行したり、ポイント制度を導入したり、ガスや通信料金とセット売りで割引したりと、我々消費者にとっては有難いサービス合戦がおこります。電気が「売り手市場」から「買い手市場」になります。

◆電力自由化、知りたい3つの疑問に答えます

電力自由化で一番の関心事は、「電気代は安くなるのか?」、「新電力と契約して停電はしませんか?」「新電力と契約するのにお金がかかるの?」の3点でしょう。

1) 電気代は本当に安くなりますか?

間違いなく安くなります。貴方にあった電力会社を選べば5%程度は安くなります。分かり易い言い方をすれば、既存電力会社の電気料金は安全を見て「高め」に設定されています。電力自由化により価格の「安全下駄」はなくなり、その分(5%程度)は安くなります。ただし今現在の電力使用量が少ない場合(おおむね月間使用量が100KWH以下)は電気料金が高くなる場合もありますので、新電力と契約する場合は事前に「シュミレーション」を行いましょう。

2) 新電力が倒産しても「停電」しないですか?

停電はしません。新電力が倒産しても既存電力会社が肩代わりしてくれる仕組みになっていますから「停電」の心配はありません。ただし天変地異(台風、豪雨、豪雪など)や予期せぬ事故(交通事故など)で送電線が寸断され被害にあった場合には停電します。

3) 電力会社切り替えにお金がかかるの?

お金はかかりません!新電力に変更する場合に電気メーターをスマートメーターに交換しますが、費用は無料です。スマートメーターに取り替えて10万円請求されたと言う詐欺商法で被害にあっている人がいます。スマートメーターは配送電会社の資産(持ち物)であり、あなたの持ち物ではありません、ですから、貴方は取り換え費用を負担しなくても良いのです。電力自由化で貴方の負担は「0円」なのです。ただ新電力に申請書を出すだけです。

■電力自由化の問題点

何事もメリットがあればデメリットもあります。電力自由化のデメリットは「悪い電力会社」の参入です。金もうけ主義の電力会社が参入する恐れがあります。しかし消費者の鋭い目で自然淘汰され悪い電力会社は市場から撤退するでしょう。一過性の問題と思われます。

◆太陽光発電が停滞する?

価格競争でクリーンエネルギー(特に太陽光発電)の普及率が停滞する恐れもあります。電気は発電方式がいろいろあり(水力、石炭火力、石油火力、LNG火力、原子力、太陽光、風力、バイオマス、地熱)ますが、発電単価が違っていて、石炭、LNG火力<水力<太陽光の順で高くなり、太陽光発電は電力コストの面では非常に不利な状態にあります。

◆石炭火力が増えてCO2発生量が増加する、地球温暖化に逆行?

石炭火力は燃料費が安い為、発電コストを抑えることができます。しかし硫黄や炭素の含有率が高い為、SO2 やCO2の発生量が増加します。

■電気代がどれだけ安くなるか計算してみる

東京電力管内で電気代の試算をしてみます。電気使用量が300KWH、40A契約をしている
標準的な家庭の場合

1) 東京電力の電気料金

基本料金(40A)(銭以下は切り捨て)1、123円
最初の120KWHまで  120×19.43=2,331円
120~300KWHまで  180×25.91=4,663円   合計で¥8、122円

2) 新電力の電気料金

新電力でいろいろなメニューがありますので、ここは5%安くなるとして単純計算をします
8、122円×0.05=406円   年間で406×12ヶ月=4,862円安くなります。
年間で5千円程度電気代が安くなると予測できます。この金額が大きいと思えば新電力に切り替え、切り替えの申請書など手間の割には安くならないと思えば「何もしない、既存電力会社を継続」と言う判断もできます。

<編者プロフィール>
日本政策学校 協力編集者 奈良 貴一
奈良県生まれ関西育ち。民間会社に就職して海外勤務も経験。定年前に独立し、自営業を営む傍らライテングに取り組んでいます。得意なジャンルは健康、医療、科学、歴史など。誠実な仕事、WIN-WINをモットーにしています。