福祉作業所に革命を起こす 元東京都職員が職を投げ打ってのチャレンジ

東京都の職員として福祉関連の部署で働いてきた光枝茉莉子さんが、退職して「これまでにないスタイル」の福祉作業所を立ち上げた。
堀潤

昨年4月、東京・南青山に全国で初めての、障がいのある人たちによる本格的なフラワーアレンジメントの花屋がオープンした。

運営するのは一般社団法人「アプローズ」だ。

東京都の職員として福祉関連の部署で働いてきた光枝茉莉子(みつえだまりこ)さんが、去年、一念発起し8年間勤めた都を退職して「これまでにないスタイル」の福祉作業所を立ち上げた。

「アプローズ南青山」には、知的・精神障がいや大人の発達障がいなど様々なスタッフが日々通っており、ここでフラワーアレンジメントの技術を学び、働いている。企業や個人客からフラワーギフトの注文を受け付け、その売上をスタッフの工賃としている。

厚生労働省によるとこうした作業所で働く障がい者の数は全国でおよそ16万人。

課題は賃金の低さと労働環境の改善だ。

実は光枝さんは、都庁在職中の3年間、福祉施設に通う障がい者の工賃アップを図るための支援策を担当していた。

施設職員への聞き取りや現地の確認などのため、都内数百余りの施設に出向く毎日を過ごしていたという。

そうした中、目の当たりにした賃金の低さ。

全国の就労継続支援事業所の平均工賃は、一人当たり月給14,190円、時給176円。障がい者の自立は果たしてこの金額で妥当なのか。

光枝さんは「障がい者が将来納税者としても活躍できるような仕組みができれば」と、夢を語る。

光枝さんは、現在クラウドファンディングサイト「A-port」でプロジェクトを立案。

作業所で出来上がったブーケや花を運搬するための専用車の購入・維持費用として500万円を集めている。

残り3日で、30万円以上を調達できればプロジェクトは成功。車が手に入る。

なぜ補助金を使わないのか?

光枝さんは言う。「私は都庁時代はスタンプを押す側でした。申請書を出せばそこに補助金や物理的な支援を得られてしまう。果たしてそれでよいのか」。光枝さんは都に申請を出すことなく、自分の力で資金を獲得する道を選んだ。

「施設側も自立した経営の必要があるんです」

若き改革者の取り組みを追った。

テーマ曲:青木健

8bitNewsが運営する光枝さんとのトーク番組「みんなのクロス」

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