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『アナと雪の女王』―アニメで"夢"の世界へ 宿輪純一のシネマ経済学(34)

2014年03月24日 16時29分 JST | 更新 2014年05月23日 18時12分 JST

ディズニーは1923年にスタートし、2013年で創立90年ということで、本作は90周年記念作品。日本では、同時にウォルト・ディズニーの映画製作の舞台裏を描いた『ウォルト・ディズニーの約束』も公開されている。

本作はディズニー長編アニメ第53作目で、原題はあっさりと『Frozen』。アンデルセンの童話「雪の女王」をベースにしてヒントに、ヨーロッパの王家の姉妹が繰り広げる"真実の愛"を描いた"感動的"なディズニー・アニメ・ミュージカル。

エルサ(雪の女王)とアナ(主人公)は美しきヨーロッパの王家の姉妹。姉エルサは触ったものを凍らせてしまい、雪を降らせる魔力を持っていたが、その能力を隠して生きてきた。しかし、女王に即位するときに、アナと他国の王子ハンスとの婚約など様々なことが刺激して、彼女は自分で力を抑えられなくなる。エルサは、王宮を飛び出し夏の王国を完全な冬の世界に変えてしまった。妹のアナは、行方不明になったエルサを探し、凍った王国を何とかすべく、山男のクリストフ、トナカイのスヴェン、夏に憧れる雪だるまのオラフと一緒に雪山の奥深くへと入っていく。その冒険の中で、ハンスとの離別を決め、真実の愛に目覚めていく。極めて映像も綺麗なミュージカルで、感動的な盛り上がりが随所にある。主題歌『Let It Go』(日本語の意味は「ありのままに」)は名曲で、日本版では松たか子が熱唱している。アメリカでは『アバター』、『タイタニック』に続くヒットになっているそうである。

ディズニー長編アニメは、ほぼ毎年制作し53作もあるが、ピクサーと比べ、大ヒットには恵まれていない。ヒットし印象に残っているのも、50作『塔の上のラプンツェル』(2010年)、42作『リロ・アンド・スティッチ』(2002年)、32作『ライオンキング』(94年)、31作『アラジン』(92年)、30作『美女と野獣』(91年)、 28作『リトル・マーメイド』(89年)、17作『101匹わんちゃん』(61年)、16作『眠れる森の美女』(59年)、15作『わんわん物語』(55年)、 14作『ピーター・パン』(53年)、13作『ふしぎの国のアリス』(51年)、12作『シンデレラ』(50年)、5作『バンビ』(42年)、4作『ダンボ』(41年)、3作『ファンタジア』(40年)、2作『ピノキオ』(40年)、1作『白雪姫』(37年)ぐらいか。しかも17作目以前はクラシックである。ディズニーはアンデルセン童話やグリム童話の原作をアレンジし、残酷な部分は捨てて、さらに綺麗に磨きを掛けて、映画やキャラクターに取り入れてきた。著作権等の概念がなかった昔だからできたことか。そのディズニーが逆にキャラクターの商権で莫大な収入を上げているのは、時代の流れか。しかも、ライバル会社であったピクサーも2006年にディズニーに買収されて傘下の会社となってしまった。

映画はそもそも"夢"の世界であるが、アニメはさらにその度合いが高まる。実写の映画だと人間が演じまだ現実臭いが、アニメだとそういったこともない。架空の世界が自由に作れ、辛い現実から、理想の夢の世界に入っていける。

しかも、最近、特にアメリカ映画のアニメでは、"マーケティング"が進んでおり、綺麗な映像と素敵な歌は前提で、最後に悪人をやっつける勧善懲悪、前半の辛いイジメ、挑戦する勇気、低い能力やコンプレックスを乗越える頑張り、自己犠牲の精神、貧しい家の出身、ブ男のいい男への変身などの"なかなか世の中に少ない感動の要素"が散りばめられている。"辛い世の中"を生きる我々に受ける要素は揃っているわけである。

ちなみに筆者はテレビで映画評論をするときのキャッチフレーズは「映画は2時間の夢」である。

「宿輪ゼミ」

経済学博士・エコノミスト・慶應義塾大学経済学部非常勤講師・映画評論家の宿輪先生が2006年4月から行っているボランティア公開講義。その始まりは東京大学大学院の学生さんがもっと講義を聞きたいとして始めたもの。どなたにも分かり易い講義は定評。「日本経済新聞」や「アエラ」の記事にも。この2014年4月2日の第155回で"9年目"になります。

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