BLOG

『ゴールド/金塊の行方』―人間は「金」に翻弄される/宿輪純一のシネマ経済学®(122)

2017年06月01日 17時13分 JST

(GOLD/2016年)

 

Bre-X(ブリ・エックス)事件とは、1995~6年に発生し、アメリカ・カナダの証券市場おいて発生した最大級の鉱山詐欺事件。本作はその実話をベースとしているだけに迫力がある。

『ダラス・バイヤーズクラブ』などのオスカー俳優マシュー・マコノヒーが主演を務めたクライム・サスペンス。しかも、役づくりで腹が出て、髪は薄くなったマシューの演技は、まさに怪演。実際に太ったのは当然のことで、なんと自ら髪を抜いたという噂もある。監督を『シリアナ』などのスティーヴン・ギャガンが務める。

代々の鉱山事業に失敗したケニー・ウェルズ(マシュー・マコノヒー)は残った全財産をつぎ込んで、金鉱を発見するためにインドネシアのボルネオ島へ単身向かう。ケニーは有名な地質学者のマイク・アコスタ(エドガー・ラミレス)と手を組んで金鉱山を探す。

インドネシアの過酷な自然に苦しめられながらも、なんと(!)金鉱が見つかる。会社はニューヨーク証券取引所にも上場し、株価は急上昇するが。詐欺疑惑が浮上。インドネシアでもアメリカでも罠がまっており、ケニーは絶体絶命になっていく。そして、アメリカ映画らしいラストシーンには思わず"にんまり"するのではないか。

映画では「金(きん)」をテーマにしたものも多い。少し前でいうと『007/ゴールドフィンガー』(1964年)や、そのリメイクともいえる『ダイ・ハード3』(1995年)など、強盗ものまでいうときりがない。

まず「金」は金属性能として素晴らしい。錆びないし、金箔で有名であるが伸びる。電気の伝導性もよく、ロケット等の導線は金である。

金融(貨幣論)の観点から言っても「金」は重要な役割を果たしている。近代にはどこ国でも、金・銀・銅の貨幣体制が出来上がっていた。日本だと金貨は小判に当たる。金を裏打ちとして国際通貨制度も出来ていた。

そして「金」は現在でも通貨としての性質をもっている。「金」はそのものに価値があるので、リスクが高まると「金」が買われるのである。しかし、金融商品としての「金」は利息も配当も付かない。さらに「金」は大量に現物を保有することはかなり危険である。そのため「金」を預けることになり、手数料がかかる。ある意味、マイナス金利の金融商品なのである。つまり、積極的に買われるためには「金」の現物価格が上昇し続けることが大事となるのである。

最近「金」を巡るトラブルが多いが、まず「金」は現金決済という慣行があるからである。さらに消費税もかかる。そのため、密輸が多く脱税が横行している。

しかし、人間にとって「金」が魅力的なのは、手に持った時の"ずしっ"とした重さ(「金」は鉱物の中で一番重い)と、あの妖艶な黄金色ではないか。それが古今東西において価値の源泉ではないかと考えている。

【「シネマ経済学」商標登録のお知らせ】

筆者が2003年から様々な媒体で書き、テレビでも解説してきた「シネマ経済学」ですが、平成28日12月18日付で特許庁(小宮義則長官)により、商標登録して頂き、商標登録証も届きました。以前、共著者が共著を英訳し単著として勝手に出版した事件(現在も係争中)が発生し、皆様からのアドバイスも多数頂戴し、以降、著作権や商標権に真剣に対応するようになりました。今後「シネマ経済学」に興味がある方は、筆者までまずご連絡ください。今後「シネマ経済学」(単語)にも®(Registered Trademark)を付けます。

【「宿輪ゼミ」のご案内】

博士(経済学)・帝京大学経済学部経済学科教授・慶應義塾大学経済学部非常勤講師・映画評論家の宿輪先生が2006年4月から行っているボランティア公開講義。その始まりは東京大学大学院の学生達がもっと講義を聞きたいとして始めたもの。どなたでも参加でき、分かりやすいと、経済学博士の講義は好評。「日本経済新聞」や「アエラ」の記事にも。いよいよ4月で11周年、開催回数は227回、会員は1.2万人を超えて、日本一の私塾とも言われています。原則、毎月第1と第3の水曜日に開催。今後の予定は6月7日(水)と21日(水)に開催。Facebook経由の活動が中心となっており、以下からご参加下さい。

https://www.facebook.com/groups/shukuwaseminar/

尚、2017年4月より文化放送「The News Masters TOKYO」に、火曜日朝7時からレギュラー出演中。