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『フューリー』― 戦争と構造改革 /宿輪純一のシネマ経済学(65)

2014年11月25日 18時28分 JST | 更新 2015年01月24日 19時12分 JST

(FURY/2014)~furyとは「憤怒」の意味

<11月28日公開>

 ブラッド・ピット主演の第2次世界大戦における戦車隊の戦争ドラマ。戦争映画にありがちな大スペクタクルではなく、局地戦で短編小説のような味わいで人間味もある。個人的には、筆者は戦車も好きな"田宮模型"の年代なので嬉しい。

 第2次世界大戦終盤の1945年4月(30日にヒトラーが自殺)、ナチスドイツに攻撃を仕掛ける連合軍であるが、ドイツ軍の強い抵抗を受け苦戦する。ウォーダディー("Wardaddy"(戦争父さん?))というアメリカ人戦車兵士(ブラッド・ピット)が主人公。彼はカリスマ性もあるベテラン兵士だった。自ら「フューリー」と名付けたアメリカ製戦車シャーマンM4に4人の兵士と乗っていた。しかし、一人殺されて(戦争映画に良くある話であるが)"新兵"ノーマンが加わり、男たちの固いきずなの中、戦争の辛酸をなめ成長していく。

 デヴィッド・エアー監督は軍隊経験もあり、戦闘や軍隊の描写には深みがある。また、『トランスフォーマー』のシャイア・ラブーフは気合いが入って、リアルにするために自分で顔にナイフで傷を付けたとのうわさもある。

 今回のドラマ部分も感動するが、筆者は戦車も好きで、戦闘シーンにも注目したが、良くできていた。まず、ドイツ軍の「タイガーⅠ」戦車は、英国の戦車博物館にある現存する最後の1台とのことで、実際に動いて(!)この作品にも登場する。「タイガーⅠ」などのドイツの戦車はとにかく強い。アメリカ軍のシャーマン戦車との戦闘でも圧倒的な強さで、シャーマン戦車を次々と破壊する。またこの戦闘では、砲弾になんと「曳光弾」が使用されておりアニメの様に鮮やかで、新しいタイプの戦闘シーンとなり、ある意味、美しい。 

 「戦争」というものは、絶対にしてはいけないものであるが、昔は、ある種の「社会全体の構造改革」で、よくいわれる「ガラガラポン」だったのかもしれない。社会の構造が大きく変化し、実力ある人々が伸びて行って、新しい社会や経済を作っていった。

 そもそも「構造改革」というものは難しい。構造改革は、語弊があるかもしれないが、プラスの影響を受ける人々と、マイナスの影響を受ける人々がいる。そして、人間の特性として、マイナスの影響を受けた人の方はどうしても大きな声を出すことになる。この特性は、政治というものを媒介するとさらに強まる。つまり、構造改革をすすめ、日本やその地方の全体の景気が良くなったとしても、結果として、その構造改革を進めた政治家は、得票率が落ち、選挙で落選する可能性が出てくる。政治家の方は、落選により失業するためダメージは大きい。そういった意味で、アベノミクスの「第3の矢」である「成長戦略(構造改革)」に大きな期待は寄せにくい。

 主人公のブラッド・ピット(Brad Pitt)は筆者と同じ1963年生まれで、12月18日で51歳になる。いまや、押しも押されぬハイウッドの大スターである。同い年の彼の活躍やシャイプアップされた体をみると、大したことをしていない自分の励みというか、がんばらねばとう刺激となる。彼はアンジェリーナ・ジョリーと長年交際していたが、この9月に結婚した。

「宿輪ゼミ」

経済学博士・エコノミスト・慶應義塾大学経済学部非常勤講師・映画評論家の宿輪先生が2006年4月から行っているボランティア公開講義。その始まりは東京大学大学院の学生達がもっと講義を聞きたいとして始めたもの。どなたでも参加でき、分かり易い講義は好評。「日本経済新聞」や「アエラ」の記事にも。この2014年4月で"9年目"に突入し、現在"170回"を超えてます。

Facebook経由の活動が中心となっており、以下からご参加下さい。会員は6600人を超えております。https://www.facebook.com/groups/shukuwaseminar/

次回は第171回の宿輪ゼミは12月3日(水)開催です。