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『ワールド・ウォーZ』-宿輪純一のシネマ経済学(8)

2013年08月27日 15時15分 JST | 更新 2013年10月26日 18時12分 JST

『ワールド・ウォーZ』(World War Z)2013年(米)

 

本作品はいわゆる「ゾンビ映画」である。この『ワールド・ウォーZ』の"Z"はゾンビ(Zombie)のZで、"最後"という意味もあるそうである。

主演はブラッド・ピットで、彼の映画という印象が強い。監督はドイツ出身(最近多い)のマーク・フォースターで、代表作は『007/慰めの報酬』、『ネバーランド』、『チョコレート』など。

本作品と、いままでのゾンビ映画との違いは"早い"ということである。感染力が早い、動きが早いのである。ゆっくりと噛まれて血だらけになるようなシーンも少なく、そういう意味ではライトではある。しかし、主人公の周りのメンバーはどんどん死んでいく、もちろん、主人公自身は大丈夫である。またこの作品では"ワールド"と付いているだけあって、世界中を飛びまくる。ざっと挙げても、米国(フィラデルフィア、ニューヨーク)、韓国、イスラエル、カナダ・・・。『ダ・ヴィンチ・コード』以上の短時間移動である。

さて、ブラッド・ピットは"フィラデルフィア"に住む主人公元国連職員ジェリー・レイン役。妻と娘たちと一緒に自動車に乗っていたが、渋滞の中、ゾンビの大群に襲われる。人々が大混乱になる中、ゾンビに噛まれた男が(今までのゾンビ映画と違い)即時にゾンビ化した。

なんとか難を逃れたが、国連事務次長ティエリーから連絡が入り、国連現場への復帰を命令される。ティエリーが派遣した軍用ヘリコプターで"ニューヨーク"沖の海上に浮かぶ米海軍航空母艦アーガスに収容される。ジェリーは、地上の避難所よりも安全な艦にと家族をとどめておくため、危険な対ゾンビ作戦への参加を決意。まずは"韓国"の米軍基地へと向かう。到着し輸送機から降りると同時にゾンビが急襲。ウイルス学者がいきなり死亡。

"イスラエル"ではエルサレムに高い壁を築いてゾンビが侵入するのを防衛しているとのことで、イスラエルに向かうことをこれまた決意。輸送機に乗ろうとしたところ、またもゾンビたちが急襲。噛まれた兵士はゾンビ化する前に自決・・・。

ジェリーらはイスラエルに到着。仇敵のパレスチナ人を含めた避難民を受け入れていた。しかし、コーランを大きくスピーカーで流したため外部のゾンビが興奮してさらに暴徒化。ゾンビ自身が柱となり壁を登って乗り越えた。

毎度のことでパニックになるが、ジェリーは襲われない"病気"の少年に気がつく。そこにヒントを見出して、対策を見つけていく・・・・。その後も、飛行機を爆破して墜落させたりして、元国連職員とは思えない活躍によって、一筋の期待が見えてくる・・・。

かなり失礼ないい方だとは思うが、「ゾンビ企業」という言葉がある。倒産すべきなのに公的な援助等によって、生き残っている企業のことのようである。最近、考えているのは、日本の経済構造や制度、そのものが「現状維持(固定)」の考え方がある、「変化」を許容出来ないのではないかということである。たとえば、経営者にダメージの大きい企業倒産の制度や、転職者に辛い年金・退職金制度なども、現状維持型ではないかと考える。そのままの形で拡大していくのには適しているが、変化が求められる時には足かせとなる。詰まり、日本経済の改革は、まずは社会制度の改革が必要なのである。

経済の分野では「固定」という言葉は、リスクに近いのではないかと筆者は考えている。たとえば「通貨制度」で通貨危機が発生するのは「固定相場制」が多い。経済は生き物であり、人間の一生と一緒で成長のスピードや段階が違う。それを永遠に固定しようという考え方に無理がある。

ギリシャやデトロイトが話題となっているが、日本の社会保障制度も含めた財政経済構造も限界に近いのは、どなたも理解はしていただいているのではないか。健康と同様に、「自分だけは大丈夫」といった根拠のない思い込みこそ危険である。財政経済構造も時代に合わせて、改革していかないといけない。本当に概数でいうと、日本の歳出(支出)は約90兆円で、歳入(収入)は約40兆円で、差額は国債で穴埋めをしている。黒字になる予定もなかなか見えない。国際公約であった2020年の黒字化もできないようである。これが企業や個人だったら、大変深刻なことになる。景気が良かったと言われるバブルの時も税収は約60兆円程度だったので、このままの制度だとどうやっても無理である。昔はこのようなときに戦争でリセットしたようであるが、現在は、それはない。このままだと"ガラガラポン"(すっかり入れ替えること)が本当に起こるかもしれない。

一つの救いは、筆者と同期(同じ1963年生まれ)のブラッド・ピットの映画界での活躍である。1963年は映画業界では当たり年で、ジョニー・デップ、ジェット・リー、ヘレン・ハント、ホイットニー・ヒューストン(故)、クエンティン・タランティーノ等が第一線で頑張っている。筆者自身、彼らから刺激を受けている。彼らに負けないように頑張らねばと思う(笑)。