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女性の"産む権利"に光明!「卵子・卵巣凍結技術」と、その賛否

2015年02月10日 01時57分 JST | 更新 2015年04月10日 18時12分 JST

先日、千葉県浦安市が、順天堂大学医学部附属浦安病院とタッグを組んで、「卵子・卵巣凍結技術」に公費助成を行う方針との報道がなされた。

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これは、もともとは若年性の女性がん患者が放射線治療をした結果子どもが産めなくなる前に、卵子や卵巣を取り出して冷凍保存しておくことで将来に出産する可能性を残す、というものだ。

それが、産みたいのに産めないまま歳を重ねる不妊治療中のカップルにも適用されるようになり、2年前からは、健康体の女性であってもこの技術を使えるようにガイドラインが変更された。

私は以前、この技術について議会で提案した。

積極的に推奨する、という趣旨ではなく、女性の産む権利における選択肢の一つとして研究を進めるべき、と考えてのことだ。

そこで、世論の反応を注視していたところ、「こんな技術を進めるよりも、若いうちに産める'社会'を作る方が優先されるべき」と言う意見が目立った。

確かに、それは最もな意見だと思う。そこには反論の余地はないが、「社会の仕組みを変える」なんて何年かかるか分からない、半ば'夢'のようなことをただ語るだけなのは、何もしないのと一緒だと私は思っている。

正論の「べき論」を語る一方で、当座困っている人を救う支援も並行して考えねばならない。

卵子・卵巣凍結技術は、様々な事情から、若いうちに産みたくても産めずに悩んでいる女性へ、既に確立された技術を選択肢として示してあげる事が出来る、生殖医療の進歩の結実である。

これは、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点からも、非常に有為だ。

そうして、出産平均年齢(30.4歳)と出産適齢期(20代)のギャップをまずは埋めていく、というのは、女性の人生を豊かにする上で、極めて有効な事業ではないかと思う。

子育て支援策を進める時にいつもぶち当たる「正論」の壁。これは、正論故に本当に質が悪い。

私が以前、病児保育を推進していた時にたびたび出たのは「子供が病気の時くらい親が仕事を休むべきだし、休んでいいよ、と言ってもらえる社会を作ることが大事」という正論。

そんなことは他人に言われなくても、当事者が誰よりも痛いくらいわかっている。

熱を出す我が子を寝ずに看病し、後ろ髪を引かれながらも出社しなくてはならない親、その親たちが抱える様々な事情を考えることなく吐かれる正論は、本来あるべき支援の足をむしろ引っ張るものでしかない。

そして、得てしてそうした綺麗な意見は、その事に関係ない人が彼岸から声高に叫ぶものだ。

今回の、卵子・卵巣凍結技術も「若いうちに産める社会を作るべき」「逆に晩産化に拍車をかけるのでは」「産む時期を恣意的に操作するのは生命倫理に反する」などの意見が出るのではないかと想像される。

運用当初、様々な議論がなされるのは健全なことだし、解が複数あるものは大いに賛否を出し合うべきだと思う。

ただ、その時に、自分の価値観だけを主張するのではなく、それを利用せねばならない当事者たちの背景にも少し想像力を働かせて意見を交わし、始まろうとしているこの事業がこの国の少子化対策の一つとして、そして女性の生き辛さを解消する策として円熟していくことを願っている。