障がい者用駐車スペースについて考える:ハワイからの提案

ハワイでは幼いうちから「チャレンジャーと共存する優しい社会が、住みやすい社会」という事を教えていると実感します。

日本在住のハンディを持つ友人が、度々ブログで「障がい者用駐車スペースに健常者が車を停めていて、利用する事ができない」と書いています。日本の場合は、このスペースに停めるかどうかはマナーの範囲と聞きました。

障がい者用駐車スペースにはこのプレートが立っています

ハワイの場合は、州から発行されたプラカードがなければ、障がい者用駐車スペースに停める事はできません。プラカードなしで停めた場合は、500ドルまでの罰金が科せられます。

ブルーのカードは6年間有効です

車椅子のマークがついたプラカードを受け取るには、医師の診断についてのサインが必要で、Department of HealthのDisability and Communication Access Boardに申し込みます。プラカードは青(病気や事故など慢性の障がいがある人。6年間有効)と赤(一時的な怪我の人)の2種類。一つ一つに番号がついていて、同じカードは存在しません。

建物の入り口やエレベーターの近くにある障がい者用パーキング

またプラカードをつけておけば、公共のコインパーキングなどでは、障がい者用駐車スペースでなくても、無料で駐車する事ができます。障がい者の人たちにとって、とてもありがたいカードです。我が家の娘も車椅子を使っているので、このプラカードにお世話になっています。

ハワイのコインパーキング(いくつかの種類がある)

日本でもこのように法律となれば、本当に必要な人が利用できるのにと、友人の嘆きを見る度に思います。

ただここで思うのは、「例え法律になったとしても、周りの人の意識が変わらなければ、何も変わらないのではないか」という事です。

「アメリカではハンディを持った人をチャレンジャーと呼び、敬意を払っている」と言われます。

娘の車椅子を押しているとき、前方からよちよち歩きの赤ちゃんがこちらに寄ってきます。そんな時、さっと若いお母さんやお父さんが、子供を脇に寄せます。「Thank you」という言葉に、向こうも笑顔で返してくれます。それは「ぶつかったら危ないから」ではなく、優しさから。そしてお互いの笑顔に心が和みます。

ハワイでは幼いうちから「チャレンジャーと共存する優しい社会が、住みやすい社会」という事を教えていると実感します。

困難と闘う人たちをサポートするボランティア団体も数多くあります。

てんかん啓蒙イベントで、街頭に立ち、手を振る子。ハワイではこうした啓蒙活動が沢山あります

「チャレンジャーだけでなく、文化や民族が違っても、誰もが共存できる優しい社会が住みやすい社会」とも言えます。

残念ですが、日本も含めアジアの観光客は、エレベーターなどでも車椅子の娘が目に入らない事が多いです。

私は自分の子供が障がい者だから優先してほしいと考える訳ではありません。また何でもハワイの方が優れていると思ってもいません。日本にも日本の素晴らしさがあります。

ただ「誰にでも優しい社会が住みやすい社会」という事に関しては、日本でもそうなったらいいなと思っています。

車椅子の娘も参加しました

車に向かって手を振ると、クラクションを鳴らして返事をしてくれます。知らない人同士が、優しさで繋がるっていいですね。

写真撮影 : 塩沢淳子

Hawaii Web TVより転載

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