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ナイジェリアの巧妙な民族浄化、秘密結社オボニ

2014年05月22日 18時11分 JST | 更新 2014年07月21日 18時12分 JST

西アフリカのナイジェリアでは、油田地帯のイボ民族が独立しようとしたビアフラ戦争(1967~1970年)で200万人とも言われる餓死者を出して敗退。その地域はインフラもなおざりにされ、就職や昇進でも不利だとされています。

そのイボ民族の夫が直面したのは税関による窃盗事件でした。警察が認めた窃盗や詐欺未遂は検事が不起訴とし、政府に損害賠償を訴えると弁護士が買収されて裁判はエンドレスになっています。裁判と平行して、車での襲撃や毒薬投与、営業妨害、郵便物の抜き取りなどが後を絶ちません。

窃盗の共犯である通関士が不当拘留で人権を侵害されたと、警察とこちら(窃盗の被害者)を訴えた時には、驚いたことに「(窃盗犯に)賠償金30万ナイラを支払え」(当時の為替レートでほぼ30万円)という判決が出ました。判事は北部イスラム圏の知事夫人でした。

こうした理不尽な出来事は政府や司法、社会の腐敗から来るものだと思っていましたが、次第に大掛かりな背景が見えてきました。後に、放火事件を担当した警察署長が私たちに、「ナイジェリア中探しても、ここまで戦ったやつはいない。半年もしないうちにだいたい死んでいった」と言っただけのことはあったのです。

私達の弁護士も同じイボ民族でクリスチャンですが、妻を元軍人大統領の愛人に、長女は税関OB(イスラム教徒)の第4夫人にされ、事務所を無償提供されていました。下の弁護士によると、彼が依頼人である夫に毒を盛ったのは3回どころではないというのです。逆らえば自分の身が危ないために、裁判を妨害し、同じ民族の依頼人を毒殺する状況に追い込まれているのでした。

折に触れて、その弁護士を含め何人もの人から、私達に災難が振りかかるのは「秘密結社(オボニ)に入らないからだ」と言われ、勧誘されています。数億円の銀行融資を受けないかと偽造書類を渡されたこともありますが、家族を犠牲に差し出したり、詐欺などの犯罪に連座するのは御免です。弁護士も入っているオボニとは、抑圧された民族ががんじがらめになることと引き換えに取り立ててもらうシステムだったのです。

弁護士の裁判妨害を乗り越えると、クリスチャンの判事が窃盗に関して税関の責任を認め、政府側に和解を勧めましたが、私達が資金難で裁判を諦めるよう、ラゴス州政府まで加勢しました。

弁護士の買収にラゴス州知事(イスラム教徒)も資金を出していると若手の弁護士が白状しましたが、ラゴス州政府は工事渋滞で何十台もの列が出来ている中から、うちの車だけ「一方通行を逆走している」と名指しして押収し、州裁判所の執行官が強制執行を装って会社の倉庫と店舗から在庫をすべて持ち去りました。商品は入札処分したというのに記録はなく、その執行官は所在不明です。州知事に陳情すると、「詳細は税関にコンタクトしてくれ」との回答が来ました(写真)。

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税関ら政府相手の裁判を終わらせようとしたクリスチャンの判事は追い出され、替わったイスラム系の判事が「会議で不在」、「弁護士に不幸があった」など、なりふり構わず裁判をエンドレスにしてきました。

一方で、隣家を通じて私達の家に放火しました(写真)。2棟がくっついた建物で、左側の火元から隣家の別室に広がるより先に屋根裏を通じて右側全体(拙宅)に火が回っています。屋根裏に薬剤が撒いてあったことが、焼け跡から分かりました。消防車が来る前に2階が全焼、1階は略奪に遭いました。ナイジェリアでは事件や事故の際、略奪がつきものなのです。

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http://www.news.com.au/breaking-news/looting-after-plane-crashes-in-nigeria-killing-153/story-e6frfku0-1226382327480

隣家の主は同じ民族で、つつましい生活の未亡人だったのに、放火現場には弁護士3人など別の民族がいました。未亡人は犯行後、別の場所に住み、肥え太って現金をバラ撒いています。

警察はその放火グループを不問にし、隣家が放火の痕跡の残った壁を取り壊しているのを刑事が止めに来ましたが、署長(イスラム教徒)の命令で引き返させられました。その刑事は、未亡人が警察署に900万ナイラ(540万円)持ってきた、放火の背景に政治家もいるとリークしてくれましたが、爆破で口封じされてしまいました。情報源と見られる男も即死。捜査現場は爆破だと断言しているのに、ラゴス州の警察トップ(イスラム教徒)は即日、「電気による事故」と発表しました。

http://news.naij.com/24384.html

何度も警察署に通ううち、警察長官(イスラム教徒)が署長に電話で直接指示している場面に行き合わせ、放火の揉み消しは署長単独の判断ではなく、上層部が関与していることが分かりました。大統領や州政府などのFacebookページで警察が放火犯を逃がしていることを投稿していると、放火からおよそ2年後、末端の実行犯である隣家の未亡人だけ起訴されましたが、今度はラゴス州の司法が裁判を棄却しようと画策しています。裁判が始まっているのに、「起訴に相当しない」という検事の偽造書類も登場しました。

放火で保険関係の書類や口座引き落としの明細も焼けたのをよいことに、保険も支払われません。

私達が直面してきた一連の窃盗や凶行は、政府や司法の腐敗、民間人の犯罪に見せかけた巧妙な民族浄化だったのです。

そんな中、Facebookで政府機関による弾圧を訴えているうちに、新聞やテレビで報道されない、油田地帯ビアフラの独立運動に行き着きました。ロンドン発のラジオ・ビアフラです。