Huffpost Japan
ブログ

ハフポストの言論空間を作るブロガーより、新しい視点とリアルタイムの分析をお届けします

宮地勘司 Headshot

先生を支援することが、日本をよくする

投稿日: 更新:
印刷

2016-07-20-1468983271-8947481-DSC_4906.JPG

■世界一忙しい日本の先生に学ぶ機会を

企業は人である、と言います。しかし、教育こそ人です。教育制度も、学習指導要領も、教科書ももちろん大事ですが、教育において最も大事なのは日々現場で生徒に向き合う先生だと思います。先生の力を抜きにして教育の向上はありえません。

これまで10年以上「クエストエデュケーション」という探求型のキャリア教育プログラムを全国の中学・高校に提供する中で、千人を超える先生方に出会ってきました。先生たちに研修を行い、時には酒を酌み交わし、語り合ってきました。

純粋で熱血な先生、静かさの奥に深い慈愛を湛える先生、一風変わった雰囲気だけど学ぶ歓びに溢れている先生。個性豊かな先生たちに共通するのは「すべては生徒のために」という目的の純度の高さです。そんな先生を私は心から尊敬するし、応援したいと思っています。

日本の先生は世界一忙しいと言われています。そして優秀なのに自らの指導に対する自己効力感が低く、もっと学びたいと思っても、学ぶための時間も、お金も不足しているのが現状です。(OECD国際教員環境調査TALISより)

この状況を変えたい。先生が自らの仕事と能力に自信と誇りを持ち、生涯学び続け、いつでもどこでも誰とでも学ぶ歓びをつくり出せるようになることが、教育改革のど真ん中だと私は思います。

■こどもたちは教師から何を学ぶのか?

高校進学率が97%を越える今、あらゆる人が小中高の学校というプロセスを経て世の中に出ていきます。受験や進学ももちろん大事ですが、この時期にどんな体験をするか、本質的に何を学ぶかが、その人のその後の人生に大きな影響を与え、その集積が社会の基盤をつくります。そしてそのプロセスに最も大きな影響を与えることができるのが学校の先生です。

先生が自ら学ぶ歓びに溢れ、日々成長し続けるとき、そこからこどもたちが学ぶことは大きいはずです。「先生という仕事を20年やっていても、学び続けなければならいほど世界は未知のことに溢れている」先生の学ぶ姿勢を間近に見たこどもたちの心の中には探求の種が芽吹きます。

そして今日、世界が更新されるスピードが何倍にも速くなり、こどもたちの学び方も変わる必要が出てきました。すぐに劣化してしまう、膨大なサーバーの中にあるようなコンテンツを学ぶのではなく、学び方や考え方、答えを見つける方法や検証する方法、そしてそれを使って世の中をどのようにしてより良く出来るのかという実践の力を学ばなければなりません。

果たして先生は、このような変化にどう対応していけばよいのでしょうか? 最近、アクティブ・ラーニングが教育現場で話題になることが多くなりました。従来の学び方を変えようという試みは素晴らしいですが、単に話し合う、発表する、だけではその学びの効果は知れています。変化する世界や社会と向き合える「躍動する知」をこどもたちの中にどのように育むか、が大事だと思います。

■ティーチャーからファシリテイターへ(「教える人」から「場をつくる人」へ)

21世紀の学びは創発的です。予定調和ではなく、多様な文脈の中で、ダイナミックに自らの正解を見つけていくこと、仲間と力を合わせてそれを実現していくことが、これからの時代を生きるすべての人に求められています。

そのためには、先生はこれまでと違うやり方を試さなければなりません。単に教え込むのではなく、こどもたちが主体的に学びはじめるための場づくりが必要となります。その起点となるのは安心・安全の場づくりです。

こどもたちの中に、この世に確かな自分の居場所があって、世界と自分はつながっているんだ、という感覚を育むこと。予定調和や空気を読むのではなく、何を言っても受け入れられる豊かな相互理解の場があること。そのような場があるからこそ、こどもたちは自分自身を解放し、そこから創造性が生まれてきます。自分の手で社会を変えていくことができるという感覚を育むことができます。

そうして21世紀を生きる人に必要な、主体性、創造性、協働の力を育むことができるのです。先生は、従来の知識の伝達者という立ち位置から、自ら学ぶ生徒をサポートする伴走者へとその立ち位置を変えなければなりません。これまでのティーチングの力に加えて、ファシリテーションの力が必要になってきます。

■先生の成長を社会が支援する

文部科学省も、自立、協働、創造の3つをこれからの学びにおける重要な理念として掲げ、その実践を目指しています。しかし、現場の先生たちはどのようにして、その教育のパラダイムシフトに対応していけばよいのか。

大学における教員養成課程、採用試験、年次研修、免許更新などの機会においても、21世紀型の学びを本質的に織り込んだものはほとんどみられないのが現状です。今必要な日本の教育のパラダイムシフトを成功させるには、全国100万人の先生たちが、21世紀型の学びの実践者となることが必須だと考えています。そのために社会全体で先生を応援・支援するために、一般社団法人ティーチャーズ・イニシアティブを立ち上げました。

志高き先生は、大きすぎる問題、多すぎる課題にぶつかり、くじけそうになっています。孤軍奮闘する先生たちが集い、学び合い、創発の力で日本の教育を高めていく。それを社会は全力で支援する。先生たちと私たちが踏み出す一歩は小さな一歩です。しかし大きな変革へとつながる最初の一歩だと思っています。

2016-07-20-1468983215-3746338-rogo.PNG

【一般社団法人 ティーチャーズ・イニシアティブ】

21世紀に必要な学びの実現を目指し、日々生徒に向き合う教師を社会全体で支援するために設立されました。
7月23日(土)に設立記念シンポジウム「シフトする教育~未来をつくる教師」を開催します。
また、7月より、教師向けに「21世紀ティーチャーズプログラム」を始動します。
当団体HPはこちら