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大学2年生の私が、バングラデシュのストリートチルドレン問題に向き合おうと決めた3つの想い

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なぜ私は、バングラデシュ国際協力隊のメンバーとしてストリートチルドレン問題に取り組むことを決意したのか。なぜ、そのように決意することが出来たのか。

私は、「ストリートチルドレン」「児童労働」「物乞い」「孤児」「スラム」「虐殺」「HIV/AIDs」「子ども兵」など、学生という立場にも関わらず様々な不条理や社会的弱者と接する機会を得てきた。

そして、彼らの"声なき声"を社会に届けるべく、伝えるべく、その為の一つの手段としてHuffington Post Japanでこれまでに約50本の記事を執筆してきた

その中でも特にウェイトを占めているのが、学生NGOバングラデシュ国際協力隊のメンバーとしての活動であり、そしてその活動の一環として向き合ってきたストリートチルドレン問題だ。

これまで多くの人々に、「なぜバングラデシュのストリートチルドレン問題に取り組もうと決めたのか?なぜそう思えたのか?」と尋ねられてきた。

活動を重ねていく中で日々様々な想いが膨れ上がってはいるが、その中でも特に、「ストリートチルドレン問題に対して問題意識を強く、そして明確に持った」「自分と他者(=バングラデシュのストリートチルドレン)の『繋がり』を感じ、そしてそれが当時の私には新鮮で、価値ある感覚だった」、そして「もう逃げてはだめだ。目を背けてはだめだ。」という、「3つの想い」が大きい。
 
 
一つ目の想い、「ストリートチルドレン問題に対して問題意識を強く、そして明確に持った」について、まず書きたい。

私が「国際協力」という世界に足を踏み込むきっかけとなった原体験は、まだ大学1年生だったころ、2014年2月に参加したフィリピンでのスタディツアーだ。

そのツアーは、ストリートチルドレンに給食活動を行ったり、スラム街を訪問してそこに暮らす子供たちと交流したり、孤児院を訪れて勉強を教えたり...、現地滞在期間はたったの6日間、スタディツアーとしては至って普通の内容だった。

そして私自身も、何か特別な想いを抱えて参加したわけではなく、「この春休みは海外に足を運びたい」「他の人とは一味違った経験を積みたい」「就活の時に話せる話題が欲しい」といった、一般的な動機で参加した。私はその現地滞在中、いわゆる「ボランティア活動」を全力で楽しみ、彼らの笑顔の裏に潜む様々な問題に目を向けようとはしていなかった。

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フィリピン首都マニラのストリートチルドレンと(写真:原貫太)
 
現地滞在最終日。6日間の様々なアクティビティを終えた私は、ある種達成感のようなものを感じながら、日本への帰路に就くためマニラ国際空港に車で向かっていた。その途中、ふと窓から外へと目を向けると、車がひっきりなしに通る3車線の道の上を、車と車の上を練り歩きながら、物乞いをする一人の少女がいた。彼女は、裸の赤ん坊を抱えていた。

私はその時、自分の目の前で何が起きているのかがすぐには理解できなかった。

もちろん、そのような光景は途上国ではよく見られる光景であり、お金を少しでも多く稼ぐための「やらせ」ではあったのだが、いずれにせよ当時の私はその光景に大きな衝撃を受けた(やらせであっても、「危険な状況下で物乞いをしなければならない幼い子供たちが存在する」という事実自体、不条理な現実と呼べるだろうが)。

そして私は、「今まで色々な場所で色々なボランティア活動に携わってきたのに、まだここにも困っている子供たちがいる。この6日間で自分がやってきたことは一体何だったのだろうか。もっと他に目を向けるべき問題、やるべきことがあったのではないか。」と、強い後悔に襲われた。

同時に、「なぜ、お腹が空けばコンビニに立ち寄ってすぐにお菓子を買える日本の大学生がいる一方で、その日生きるために物乞いをしなければならない途上国の幼い子供たちがいるのだろう。」と、一つの"世界の不条理"を痛感した。

そして、ただその状況を呆然と見ているだけの自分の無力さに絶望し、空港に到着した後トイレに駆け込んだ私は、泣いた。ただただ、悔しかった。言葉にならないほど、悔しかった。自分という人間がいかに未熟か。この世界がいかに残酷か。いかに不条理か。痛いほど感じた。

しかし、その時の私は感情に翻弄され、そこに潜む問題の本質に目を向けていなかった。いや、目を向けられていなかった。いわゆる「問題意識」というものを強く、かつ明確に持つ事が出来ていなかった。
 
帰国後私は、「ストリートチルドレン問題に対して、自分にやれることをやりたい!」といった単純な動機、また「何か新しいことに挑戦したい」という抽象的な動機で、高校時代の友人と動き始めた。

そして、「アジア最貧国」という一つのキーワードを元にして様々な文献にあたる中で(実際のところ当時の自分は、本当に「アジア最貧国」なのかどうかも大して調べてはいなかったのだが...)、「バングラデシュでは、首都のダッカだけでも親元を離れて暮らすストリートチルドレンが33万人以上いる」という記事に衝撃と焦りを覚え、バングラデシュという国に目を向けた。

その一文を見た時、「私がフィリピン滞在の最終日に見かけた少女の様な子供たちが、バングラデシュには更に数多くいるのではないか」と、ふと心にフィリピンの少女の姿が浮かんだ。

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バングラデシュのストリートチルドレンたち(写真:原貫太)
 
そして同年9月に行った、第一回現地渡航。バングラデシュでの滞在中、私は改めて"世界の不条理"を痛感した。しかし同時に、そこにある問題を冷静に捉え、分析することが出来ていた。

その時初めて、「本来守られるべき存在の子供たちが、大人の保護監督無しに路上で生きている現状」という問題意識を強く、そして明確に持つことができた。

図書館に籠りストリートチルドレン問題について研究したり、団体のミーティングでストリートチルドレン問題に関するディスカッションを重ねたりと、原体験からその瞬間に至るまでの自分の経験・努力も影響しているだろうが、この世界に腐るほど問題がある中で、ストリートチルドレン問題に対して強く、明確に問題意識を持った。

これが、私がバングラデシュ国際協力隊のメンバーとして、バングラデシュのストリートチルドレン問題に取り組むべき理由となる、一つ目の想いである。

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自閉症を患っているも、物乞いに利用される少年。途上国では、病気や怪我を抱えた子供たちがその姿を「売り」にして物乞いをする。親や周りの大人によって利用されるケースが多い。(写真:原貫太)
 
次に、二つ目の想い、「自分と他者(=バングラデシュのストリートチルドレン)の『繋がり』を感じ、そしてそれが当時の私には新鮮で、価値ある感覚だった」について書きたい。

強烈過ぎるフィリピンでの原体験をきっかけに、私は生まれて初めて、ストリートチルドレン問題、もっと言えば"世界の不条理"に真剣に目を向けた。図書館に籠って様々な文献を漁り、ストリートチルドレン問題について一人で研究した。ミーティングで仲間と議論を重ね、自分たちの組織はどうあるべきなのか、ストリートチルドレン問題に対してどう向き合うべきなのかを考え、寝る間も惜しんで活動に取り組んだ。

その過程があったからこそ、第一回目現地渡航(2014年9月)でバングラデシュのストリートチルドレンと対峙した時、向き合った時、彼らの存在は、もう自分と関係無いものだとは思えなかった。

バングラデシュのストリートチルドレン問題は、もう「どこか遠くの世界の問題」では終わらせることが出来なかった。これまで自分のことばかりを考え、そして恵まれた環境の中で育ってきた私だからこそ、そこで芽生えた想いは新鮮で、価値あるものだと感じた。自分と他者(=ストリートチルドレン)の「繋がり」を感じた。

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バングラデシュ首都ダッカのストリートチルドレンと筆者。(写真:原貫太)

そして3つ目の、「もう逃げてはだめだ。目を背けてはだめだ。」という想い。これについて書く前に、少しだけ私の過去の話をさせて欲しい。

私は小学生だった頃、約2年間不登校だった。自分が納得いかないことが許せない性格で、小学生ながら生意気に、あらゆる事に対して反発していた。そして担任との折り合いが悪くなり、周囲の友達とも上手くいかなかった。上履きのまま学校を飛び出して、家まで帰ったことも数えきれない。そうして私は、不登校になった。

良く言えば、曲がったことが嫌いだったのかもしれないが、実際は相手を非難することで、自分が受け入れられない現実から逃げていたのだろう。数えきれないほど多くの方々に迷惑をかけた。

両親には中学以降の生活を心配されたが、入学した学校の雰囲気が自分に合い、学校生活に溶け込めた。所属した水泳部ではめきめきと力を伸ばし、全国大会に二度出場。学業では学年トップレベルの成績を常に維持していた。しかしそんな私も、高校時代に大きな挫折を二つ味わった。一つ目は水泳で、二つ目は大学受験で。
 
端的に言えば、私は辛い水泳の練習から、逃げた。受験勉強を言い訳として、逃げた。そして期待されていた高3でのインターハイ出場を逃し、結果としてそれまでお世話になった家族や先生、水泳のコーチなどに恩返しが出来なかった。

そして大学受験でも、私は逃げた。部活の引退後、1日17時間の勉強を続けるうちに精神的におかしくなり、言わば強迫性障害のような症状を発症した。

「もしかしたら自分は癌なのではないか」「公衆トイレに血が付いていたような気がする。病気が自分に移っていたらどうしよう...」とまさに疑心暗鬼になり、勉強に集中できなくなった。今では冷静にこのように書いていられるが、当時の自分は本当に気が狂っていた。自殺しようと、本気で何度か考えた。

ところが、受験が終わった途端、その症状はさっぱり消えた。結局、受験のプレッシャーから逃げていたのだろう。結果として第一志望の東京大学に合格することができず、水泳と同様、親や先生、先輩や後輩、友人など、応援してくれていた方々に恩返しできなかった後悔は、今でも消えない。

しかし、これらの後悔は今の私の大きな原動力となっている。第一回現地渡航で改めて"世界の不条理"を痛感し、私は、そこにある彼らストリートチルドレンの事を考えた。逞しく生きる彼らの姿を見ながらも、彼らがこれまで経験してきたであろう複雑な過去、直面している厳しい現実、決して明るいとは言えないであろう未来を考えた。

そしてその時、「この問題から逃げたい、目を背けたい」とも思った。しかし、それを上回ったのが、「もう逃げてはだめだ。目を背けてはだめだ。」という強い気持ちだった。自分の人生を振り返ったとき、今度こそ"世界の不条理"に立ち向かおうと決意した。

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駅で暮らすストリートチルドレンと筆者(写真:原貫太)
 
 
今まで述べてきた「3つの想い」、-「ストリートチルドレン問題に問題意識を強く、そして明確に持つことが出来た」「自分と他者(=ストリートチルドレン)の『繋がり』を感じた、そしてそれが当時の私には新鮮で、価値ある感覚だった」「もう逃げてはだめだ。目を背けてはだめだ。」-、から、私はバングラデシュ国際協力隊という組織として、その組織の一員として、バングラデシュにおけるストリートチルドレン問題に取り組もうと決意することが出来た。

初めて現地を訪れた時、この「3つの想い」が湧き上がっていなかったら、当時の私は、いや当時の団体は、別の問題や別の国へと目を向けていたかもしれない。
 
 
先にも述べたが、私が「国際協力」の世界へと真剣に目を向ける事に繋がった最初のきっかけは、フィリピンでのスタディツアーだった。物乞いをする一人の少女が、私の人生を変えた。

彼女の物乞いをする様子を見て、私は"世界の不条理"を痛感した。そして同時に、この"世界の不条理"をただ仕方のないものとして受け入れるのではなく、どれだけ微力であったとしても、立ち向かいたい。"世界の不条理"に挑戦したい。そう強い信念が私の中に芽生えた。

「国際協力」という世界を学べば学ぶほど、世界には無数に不条理が存在すること、無数に困っている人が存在することを私は知った。フィリピンの少女以外にも、同じような境遇に置かれている子供たちが世界には沢山存在することを知った。ストリートチルドレン問題以外にも、目を向け、手を差し出すべき問題が存在することを知った。

正直に、「自分には、他にもっとやるべきことがあるのではないか?」という思考・葛藤は、「国際協力」を学ぶ中で日々その色彩を強めていく。きっと、この思考と葛藤に終わりなど存在しない。そして、いつまでも私の事を苦しめ続けるのだろう。

これまで述べてきた「3つの想い」も、当時の自分を後から振り返れば言える事であり、これから私が人生で向き合う"世界の不条理"、出会う人々全てに対して、この「3つの想い」が通用することは、きっとないように思える。
 
 
だけれども私は、この"世界の不条理"に挑戦し続けたい。どんな小さな一歩であろうとも、どんな苦しみがあろうとも、どんな困難があろうとも、挑戦し続けたい。フィリピンの少女と出会ったとき、純粋に抱いたあの気持ちをいつまでも持ち続けたい。そう自分に言い聞かせ、私は前を向き、今を生きる。
 
記事執筆者:原貫太
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【お知らせ】
"世界の不条理"を真剣に見つめ、考え、そして行動を起こしてみませんか。
 
学生NGOバングラデシュ国際協力隊は、「"気づき"から始まる国際協力」という理念の下、ストリートチルドレン問題に特化し、現地で直接的な活動を行う学生NGOです。これまでに4回の現地渡航活動を実施してきました。

首都圏の大学生を中心に活動中。7月に活動説明会を実施します。
 
●日時
7/20(水) 18:15~18:45

●開催場所
新宿NPO協働推進センター(高田馬場駅より徒歩15分)
 
●対象
大学生/大学院生

●参加費
無料

参加希望の方は、以下の申し込みフォームに記入をお願いします。
学生NGOバングラデシュ国際協力隊 夏の活動説明会申し込みフォーム

活動説明会の詳しい内容はこちらのページを、また当団体の詳しい活動内容は、公式ホームページをご覧ください。
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バングラデシュ現地での活動の様子(写真:バングラデシュ国際協力隊)

*今回のダッカ邦人殺害事件を受け活動説明会の開催延期を検討しましたが、メンバー間の話し合いの末、予定通りの実施を決定致しました。
 
 
(原貫太ブログ 「拝啓 美しくも不条理な世界へ」より転載)