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アフリカの諺から学ぶ争いを解決する知恵 「もう一つの大虐殺」後の社会で

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「アフリカの大地で起きた大虐殺(ジェノサイド)」と聞けば、きっと多くの人がルワンダ大虐殺を思い起こすだろう。2004年のアカデミー賞でノミネートされた作品『ホテル・ルワンダ』でも映画化されており、多くの人がこの悲劇について一度は耳にしたことがあるかと思う。

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虐殺の跡地に安置された犠牲者の遺骨。老若男女問わず、100日間で80万人もの人々が虐殺された。(photo by Kanta Hara)

1994年、フツ人系の政府とそれに同調する過激派フツ人の手によって、100日間で少数派ツチ人と穏健派フツ人約80万人が殺害された。ルワンダ大虐殺での死亡率は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツによって行われたユダヤ人大虐殺(ホロコースト)の3倍に匹敵するとも言われており、老若男女問わず多くの人々が殺害された。その詳しい様子については、私が一夜にして45,000人が虐殺された技術学校の跡地を訪れた際のルポタージュ「ルワンダ虐殺から22年。80万人の死から、世界は何を学んだのか?(前編)」をご覧頂きたい。

その一方、世界から忘れられたもう一つの大虐殺がある。それは、ルワンダの隣国、ブルンジという小さな国で起きた。ブルンジでは、1993年から始まった紛争の結果として30万人もの命が奪われ、40万人もの人々が難民として国外に逃れた。

また、内戦中は最大14,000人の子どもたちが戦闘に駆り出されており、その多くがわずか12歳前後だったとも言われている。その詳しい様子は、「世界から忘れ去られたもう一つの大虐殺-平和を願うブルンジのハチミツ」「愛する家族を奪われても、平和のために闘う父-アフリカと日本を繋ぐ想い」をご覧頂きたい。

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子ども兵(photo by 認定NPO法人テラ・ルネッサンス)

私がインターン生として働く認定NPO法人テラ・ルネッサンスでは、ブルンジ内戦の当時激戦区の一つだったムランビヤ県にて、紛争被害者の支援プロジェクトを行っている。私も来月から足を運び、活動に携わる予定だ。(現在私はブルンジの隣国ウガンダに滞在している)

昨年12月、テラ・ルネッサンスでは支援プロジェクトの一環として、現地の人々が「平和を維持することの大切さ」を学ぶための平和教育ワークショップを開催した。

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ワークショップ中の様子(photo by 認定NPO法人テラ・ルネッサンス)

「平和教育」というと、先進国の考え方で平和の大切さを説かれるようなイメージが湧くかもしれないが、テラ・ルネッサンスがブルンジで実施している平和教育では、現地の人たちの伝統的な語りや現地の諺を元にして、平和を作る知恵や知識を学んでもらっている

アフリカには、自然と人間が共存するための知恵だけでなく、人と人との争いを予防したり、解決したりするための知恵や伝統が沢山眠っている。今回の平和教育で取り上げられたブルンジの諺に、「口から出るどんな言葉も遠くへ行ってしまう」というものがある。これは、話した言葉は、周り(遠く)へ広がるにつれて違う意味で受け取られてしまうので、言葉だけに頼ってはいけない、という教えだ。

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ワークショップで使用されたスライドの一枚。「平和教育ワークショップ―私たちの伝統から平和を学ぶ―」と書いてある。(photo by 認定NPO法人テラ・ルネッサンス)

言葉は時として人を傷つけ、争いや対立の原因になることもある。当然ながら、これは日本に暮らす私たちの生活にも当てはまる事だろう。何気なく発した言葉が、時として自分の意図とは違う意味で受け取られ、誰かを傷つけたり、人間関係に摩擦が生じたり、喧嘩(争い)に発展したりする。だからこそ、人づてに「あの人はこんなことを話していたよ」なども、その言葉だけを聞いて反応するのではなく、直接その人がどんな文脈で話したのかを考えることが大切だ、という教えだ。

今回テラ・ルネッサンスが実施した平和教育ワークショップでは、こうした諺を一つ一つみんなで学び、その意義や解釈を考えてもらった。
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ワークショップ中の様子(photo by 認定NPO法人テラ・ルネッサンス)

先進国の人たちの中には、アフリカは対立や紛争に溢れており、アフリカの人たちには平和を作る力がないと決めつけて、外部の考え方や価値観を教え込もうとする傾向があるように思える。しかしながら、現地に暮らす人々の生活や文化、伝統へと草の根レベルで目を向けてみれば、そこには元来、このような紛争予防や紛争解決、また平和を構築していくための知恵や文化が数え切れないほど多く存在しているのだ。

テラ・ルネッサンスでは、決して外部(先進国)から押し付けられる「平和教育」ではなく、アフリカの人々がその伝統として大切にしてきた知恵や考え方を活かし、平和教育を実施している。そこから学ぶべき人々は、本当は先進国に生きる私たち日本人なのかもしれない。

(2016年1月11日 原貫太ブログ「世界まるごと解体新書」より転載)

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記事執筆者:原貫太
1994年、神奈川県生まれ。早稲田大学文学部社会学コース4年。認定NPO法人テラ・ルネッサンスインターン生。
大学1年時に参加したスタディーツアーで物乞いをする少女に出逢ったことをきっかけに、「国際協力」の世界へと踏み込む。2014年に学生NGOバングラデシュ国際協力隊を創設、第一期代表。国内での講演多数。
交換留学生として、カリフォルニア州立大学チコ校にて国際関係論を専攻。帰国後、赤十字国際委員会駐日事務所や認定NPO法人テラ・ルネッサンスでインターン生として活動。政治解説メディアPlatnewsでは国際ニュースの解説ライターを務める。
認定NPO法人テラ・ルネッサンスのインターン生として、2017年1月~2月末にウガンダ&ブルンジで勤務予定。
Twitter:http://twitter.com/kantahara
Facebook:http://www.facebook.com/kanta0422
ブログ:http://www.kantahara.com/
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