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難民支援で見えた"ジレンマ"「変わるべきなのは途上国ではなく先進国だ」

2017年08月09日 23時40分 JST

早稲田大学に期末レポートを提出し、その足で成田空港に向かいアフリカに渡航するという「ドタバタ出発劇」を終え、ウガンダにやって来てからはもう一週間が経った。

アフリカのいわゆる現場へとやって来ると、アフリカン・パワーなのかどうか知らないが、どこからともなく根拠のない自信が湧いてきて、それでいてやる気も出てくるわけだが、滞在わずか5日目にして早くも、僕は「あるジレンマ」を感じてしまっていた。

先日、一人は紛争被害者の支援、もう一人はソーシャルビジネスと、ウガンダで事業を行う日本人の方たちと夕飯をご一緒した際に、二人が口を揃えて言っていたことを、もう日本中のすべての人へ届けたい。

「変わらなければいけないのは先進国だ。 (日本を含む)

お二人とも現地では物凄い事業に取り組んでいる方のため、そのような彼らがこの発言をしているのを見て、何というか、少し悲しくなってしまった。

日本にいる時は、「(問題が起きている)途上国の現場に早く行きたい」と思うものだが、いざ其処へとやって来ると、「世界から紛争が無くなるためには、変わるべきなのはそれが起きている途上国ではなく、その要因の多くを作り出している先進国(と一部の途上国上層部)という事実に改めて気付かされる。

そして、紛争の要因を作り出している側、さらには世界を「支配」している側を本気で変えていくためには、端的に凄まじい熱量を注がなければならないことを痛感する。

この事を考える際、南スーダンは分かりやすい例になる。南スーダン紛争は石油を巡る先進国の利害に翻弄されて紛争が起きているという側面があるからだ。

独立前の「スーダン」だった時代からずっと、この国では「石油」という資源をめぐって争いが続いており、さらには日本はこの石油をスーダンから輸入し消費して、僕たちは「豊かな生活」を享受してきたのだ。

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南スーダン紛争を逃れてウガンダへと避難してきた難民の子ども達(photo by Kanta Hara

これから現場で難民への人道支援を行なっても、"ジレンマ"を感じる瞬間が来るのが目に見えてしまっている。

つまり、不条理な苦しみに晒されている人たちの傷を「今」和らげる必要性があることは当然のことである一方で、言ってしまえばそれは大火災(南スーダン紛争)によって火傷を負った人々に対するほんの僅かな治療をしているのに過ぎず、(言葉を選ばなければ)「こんなこと(人道支援)をしていてもキリが無い」と感じる瞬間が来ることが、目に見えてしまっている。

繰り返すが、「今」苦しんでいる人を(より正しい方法で)「今」支援することは、疑いの余地なく必要なことだ。しかしながら、そもそもの紛争が起こるメカニズムや世界のシステムを変えていかないと、現場での支援はキリが無いものになってしまう。

ここを見失ってしまうと、世界から不条理を無くすことはできない。なぜなら、僕らが難民支援などを通じて途上国の現場における不条理を無くす努力をしていても、それと同じかそれ以上のスピードで、新たな不条理が産み出されているから。

だから、日本にいる間は「早く途上国の現場に足を運んで不条理な苦しみに晒されている人を『今』支援したい」と思うのだが、ウガンダに来た今は、「現場での支援も大切だが、紛争を根本から無くしていくために、先進国である日本に戻ってそこから声を上げていきたい」という想いにも駆られてしまう。

これを僕は、「支援と不条理のジレンマ」と名付けてみた。

もちろん、紛争が起きている原因のすべてが先進国側にあるわけではないが、その多くは、特に先進国や一部の途上国をはじめとした経済活動(そしてそれに付随する政治的なパワーバランス)によって引き起こされている側面があり、現行の世界システムである資本主義社会で大きな力を持つ「消費者」と「企業」を中心として、意識や行動に変容をもたらしていかなければならない。

なぜこんなにも一生懸命にならなくてはならないのか。それは、現場に来るとその不条理によって傷つけられている人々が、ただただ「被害者」であることを痛感するからだ。

南スーダンから逃れてきた難民の方に、「なぜあなたの国では紛争が起きているのですか?」と聞いても、ほとんどの人は「分からない」と答える。先進国をはじめ、一部の権力者たちが勝手な都合で勝手に始めた紛争で傷ついている人たちは、自分たちがなぜ傷ついているかも分からない。

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(photo by Kanta Hara

「支援と不条理のジレンマ」。ウガンダに来て早い段階で、改めてこの事を考えることができた。「不条理の無い公正な世界を実現する」というビジョンに一歩でも近づくために、この2か月間全力で活動に取り組みたい。

(2017年8月7日 原貫太公式ブログ「世界まるごと解体新書」より転載、一部編集)

記事執筆者:原貫太

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