南スーダンの子ども達が餓死していても、日本は毎年4,000万人分の食糧を棄てている

私たちは、一体いつまで「大量生産・大量消費」の生活を続けたいのだろう。

私たちは、一体いつまで「大量生産・大量消費」の生活を続けたいのだろう。

今のままの生活スタイルを世界、特に先進国と呼ばれる国々が続けていけば、22世紀に突入する頃には、世界中の資源が枯渇し、環境は破壊され、豊かだと考えられていたはずの現代社会は、終わりを告げるような気さえする。2015年9月に国連総会で採択された「持続可能な開発目標」など、夢のまた夢だろう。そうは思わないだろうか?

昨年には、地球が1年間で再生できる水や食料、清浄な空気など、1年間で割り当てられている自然資源の「予算」が8月8日には使い果たされたと、国際環境NPO(非営利団体)グローバル・フットプリント・ネットワーク(Global Footprint Network/以下GFN)による報告書が明らかにしている。

GFNは、「我々人類は、海と森林が吸収できる量よりも多くの二酸化炭素を大気中に放出しており、またその再生産と再成長よりも早く、海の恵みを枯渇させ森林を伐採している」「エコロジカル・オーバーシュート(Ecological Overshoot=人間の消費量の方が自然の再生産量よりも上回っている状態)を引き起している最も急激な要因は、大気中への炭素の放出である」とも声明を出していた。

「大量生産・大量消費」を考える上で避けては通れない食糧問題はどうだろう。紛争と経済崩壊の影響により、アフリカの南スーダンでは今年2月に飢饉が宣言され、国連機関は10万人が飢餓に直面、また100万人が飢饉寸前の状態に追い込まれていると発表していた。また、私が足を運んでいたウガンダ北部の南スーダン居住区でも、配給される食糧は毎月たったの12キロ。現地スタッフからは、一日一回しか食べられない家族もいると話を聞いていた。

ウガンダ北部の南スーダン難民居住区にて筆者撮影(photo by Kanta Hara)

しばしば「地球全体の人口が増えているのだから、世界中に食糧が行き渡らないのは仕方が無い」ということが聞かれるが、それは全くの誤解だ。日本では年間約1,700万トンの食品が廃棄されており、その中でもまだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」は、年間約500万〜800万トンにものぼる(平成22年度農林水産省調べ)。

人間が生存するのに必要な食糧は年間約200キロと言われているが、つまり、800万トンで単純計算をすると、日本は4,000万人が1年間生きられるだけの食糧を毎年廃棄していることになる。ちなみにだが、昨年からフランスではスーパーでの食料廃棄が法律で禁止されている

難民居住区で生まれた生後2週間の赤ちゃん(photo by Kanta Hara)

今年2月に、私は世界最貧国と言われるアフリカのブルンジ共和国に滞在していた。農村部に足を運ぶと、子どもたちの着ている服はボロボロ、電気も水道も通っていないなど、物質的には決して恵まれていない生活が広がっている。しかし、その中でもブルンジの人々は、日本よりもずっと持続可能な形で自給自足の生活、言わば自然と調和した生活を送っていた。

バケツの蓋を転がして遊ぶブルンジの子ども

高度経済成長期を経て、日本は経済的・物質的には豊かな国になったかもしれないが、資本主義システムという大きな枠組みへと組み込まれた今の私たちの生活は、果たして持続可能なものと呼べるのだろうか。

老子の言葉に、「足るを知る」というものがある。世界で最も裕福な8人が保有する資産が、世界人口のうち経済的に恵まれない下から半分にあたる約36億人が保有する資産と同等と言われる今日毎年4月22日は、地球のことを考えて行動する日「アースデイ」だ。いい加減私たちは、どう考えても行き過ぎている「大量生産・大量消費」の生活スタイルを、見直した方が良いかもしれない。それが、未来を生きる子どもたちへの責任を果たすことだと私は思う。

(2017年4月21日「原貫太公式ブログ『世界まるごと解体新書』」より転載)

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誰だって、一度は思ったことがあるだろう。今この瞬間にも、世界には紛争や貧困で苦しんでいる人がいるのはなぜなのだろうと。その人たちのために、自分にできることはなんだろうと。

僕は、世界を無視しない大人になりたい。 --本文より抜粋

ある日突然誘拐されて兵士になり、戦場に立たされてきたウガンダの元子ども兵たち。終わりの見えない紛争によって故郷を追われ、命からがら逃れてきた南スーダンの難民たち。

様々な葛藤を抱えながらも、"世界の不条理"に挑戦する22歳の大学生がアフリカで見た、「本当の」国際支援とは。アフリカで紛争が続く背景も分かりやすく解説。今を強く生きる勇気が湧いてくる、渾身のノンフィクション。

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記事執筆者:原貫太

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