052 | 食べて学ぶからだにいいこと(1)お父さんの味方、"スープ粥"。

「男心を掴むにはまず、胃袋から」女性たちの間では、大昔からそんなコピーがささやかれてきました。でも、それはきっとお父さんにも言えること。

「男心を掴むにはまず、胃袋から」女性たちの間では、大昔からそんなコピーがささやかれてきました。でも、それはきっとお父さんにも言えること。家族サービスもままならないような忙しい日々のなかでも、"家族心"を掴むのなら自分で何か一品作ってみる。それだけで、お父さんの株がぐんっと上がるはず。さらに健康のことまで考えられたメニューなら妻を怒らせる心配もない。読めばタメになる、作って食べれば家族とからだが喜ぶ、そんなレシピをフードディレクターのダーダさんこと山田英季さんにお伺いしました。

仕事からぐったり疲れて帰ってきた深夜、夕食を食べたのも遠い昔の記憶のよう。寝る前に食べるのは体に良くないとは聞いたことがあるものの、どうしても何かが食べたい。最近気になってきたお腹の出っ張りを撫でながら、「このまま寝てしまえば上出来だ......」なんて考えつつも、視線は冷蔵庫の中をくまなく物色中。カップラーメンがあったっけなぁ、なんて誘惑に負けそうな夜には、体に負担をかけずに満足感を得ることの出来る"スープ粥"が救世主になってくれる。

材料は卵と豆腐、あとは静まり返ったキッチンでひっそりと眠る冷やごはんを少し。ポイントは、このごはんの量にある。ごはんよりも水分の割合を多くすることで、炭水化物を減らしながら空腹感を満たすこのできるお粥に仕上げよう。炭水化物の量と、夜食の罪は比例するのだ。材料に対して多めの水分を鍋に入れ、クツクツと煮込む。材料を入れた鍋が温まるにつれて、じんわりと立ち上ってくる湯気と出汁の香りが、疲れた体を癒してくれる。仕上げは、ごま油よりもすっきり爽やかな仕上がりになるオリーブオイルで。ふんわりとした溶き卵と小さく切った豆腐、スープに混じる少しのごはんが、空っぽだった体を少しずつ満たしていく。

このスープ粥の優しさは万能だ。二日酔いの日の朝ごはんや、風邪などで胃腸の調子が悪いときにもぴったり。豆板醤や柚子胡椒などを加えて、バリエーションを楽しむのも良い。内臓に負担が少ないほっと優しい味わいが、忙しく働くお父さんの味方になってくれる。頑張って働いて帰ってきた夜くらい、少し自分を優しく甘やかしたって良いかもしれない。

写真/石渡朋 文章/平井莉生

●材料(1人分)

卵(1個)、木綿豆腐(1/4丁)、ごはん(80g)、合わせ出汁(500cc)、塩(小さじ1/2)、薄口醤油(小さじ1/2)、みりん(小さじ2)、黒こしょう(多め)、万能ネギ(少々)、オリーブオイル(小さじ1/4)

①鍋に出汁と塩、醤油、みりんを入れて一煮立ちさせます。

②冷やごはんと木綿豆腐を1cm角に切って加え、弱火で5分煮ます。

③中火にして溶き卵を加え、器にもりつける。

④万能ネギ、黒こしょう、オリーブオイルをかければ出来上がりです。

▼POINT

疲れを次の日に残さないためには良質な睡眠は欠かせない。寝る2〜3時間前に食事をすると、睡眠時に内臓を働かせなければいけないため睡眠の妨げになる。どうしても寝る直前に食べたいのならば、固形物を減らした消化に優しいメニューがおすすめだ。

山田英季

●やまだ・ひですえ

1982年兵庫県明石生まれ。愛称はダーダ。19歳の時に料理の面白さに目覚め和食、オーガニックレストラン、フレンチ、イタリアンで修行。その後、レストランでシェフを歴任しながらフードディレクターとして店舗、書籍、テレビなどにレシピを提供する。ケータリングや、器や手ぬぐいのプロデュースなど、活動の幅を広げている。

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(「からだにいい100のこと。」より転載)

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