フェイスブックがニュースを排除する:2018年、メディアのサバイバルプラン(その3)

「ソーシャル」と「メディア」が分離していく――その中で、メディアはどう生き残るのか。

メディアがユーザーへのリーチやトラフィックを、フェイスブックなどのプラットフォームに依存し続けていくと何が起こるのか?

その一つの実例が、11日に公開されたフェイスブックのニュースフィードにおけるアルゴリズムの変更だ。家族や友人とのエンゲージメントの高いコンテンツを優先表示し、メディアが配信するニュースコンテンツなどの優先度を下げる。

フェイスブックによる「ニュースの排除」、とメディアでは受け止められている。

メディアはフェイスブックに頼っているが、フェイスブックはメディアのコンテンツを必要としていない――そんな2018年の現実が、動き出している。

前回前々回と紹介してきたニーマンラボの「2018年のジャーナリズム予測」でも、ニュースメディアと、フェイスブックなどのソーシャルメディア、そしてそのアルゴリズムとの関わりを見通す論考が寄せられている。

「ソーシャル」と「メディア」が分離していく――その中で、メディアはどう生き残るのか。

●「ニュース」の優先度を下げる

フェイスブックのニュースフィードの変更を、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏のコメント付きで公開当日にスクープしたのは、

ほどなく、ザッカーバーグ氏の声明がフェイスブック上で発表され、さらにニュースフィードの責任者、アダム・モッセリ氏がリリース文を公開した

ザッカーバーグ氏は声明の中で、メディアや企業によるフェイスブックへの投稿を「パブリックコンテンツ」と呼び、それらがユーザー間のコミュニケーションを「締め出している」との声が寄せられている、という。

パブリックコンテンツが友人や家族からの投稿を上回っていることで、ニュースフィードに表示されるもののバランスが、フェイスブックが貢献できる最も重要な使命を外れてしまった――ユーザーが互いにつながることの手助けだ。

そこで、ニュースフィードに友人や家族からの投稿をより多く表示することにした、と言う。

この変更をリリースしたことで、ユーザーはビジネス、ブランド、メディアによるパブリックコンテンツの投稿を目にすることは減るだろう。そして、ニュースフィードで目にするパブリックコンテンツには、他のコンテンツと同じ基準が適用される――ユーザーに有意義なコミュニケーションを促すものである、ということだ。

●「フェイスブックはメンタルヘルスに悪影響」

「我々はこのサービスが単に使って楽しい、というだけでなく、人々のウェルビーイング(良好な状態)にとってもよいものにしていく責任を感じている」とザッカーバーグ氏。

今回のアルゴリズムの変更は、そのための研究結果に基づいたものだ、としている。

ザッカーバーグ氏がここで言う「研究結果」とは、フェイスブックのリサーチチームが、カーネギーメロン大学などの専門家とともに昨年12月に発表した報告書のことを指す。

この報告書では、フェイスブックの投稿を受動的に読むだけの場合には、メンタルヘルスに悪影響が出ることがあると指摘。その一方で、友人や家族と積極的に双方向のやりとりを交わすことで、ウェルビーイングを向上させることが確認された、としていた。

つまり、フェイスブックのメンタルヘルスへの「悪影響」を排除するために、メディアが配信するニュースなどの「パブリックコンテンツ」の優先度を下げることにした、と述べているのだ。ユーザーが、受動的に消費するだけだから、と。

テレビ番組やスポーツチームには多数の緊密なコミュニティがあり、コミュニケーションを喚起するライブ動画やニュースもあるとはしながら、ザッカーバーグ氏はこう指摘する。

しかし、今日では大抵の場合、動画を見る、ニュースを読む、ページの更新を受け取るといった行為は、あくまで受動的な体験にすぎない。

ニュースフィード上では、早速、「フレンズ・アンド・ファミリー・ファースト」と題したアルゴリズムの変更を知らせる告知が、ヘルプセンターへのリンクとともに表示されている。

フェイスブックはいつも、あなたが気にかけている人たちとつながるためのものでした。それこそが、ニュースフィードを変更した理由です。あなたにとって、友人にとって大事なものを、もっとたくさん目にするでしょう。

●ニュースフィードの8割は非表示

月間のアクティブユーザーが20億人を超し(2017年9月末現在)、全人類の4分の1近くが使うフェイスブック。米国では成人の45%がニュース接触に利用しているといい、メディアにとっても、ユーザーにとっても大きな存在だ。

しかも、フェイスブックは、ユーザーが目にするニュースフィードへの表示を、1日当たり約1500件寄せられる投稿から、アルゴリズムによって約300件へと2割程度に絞り込んでいることを明らかにしている。

フェイスブック上でフォローしているユーザーの投稿の8割は、アルゴリズムが自動的に非表示にしているのだ。

そして、友人や家族の投稿を優先表示するアルゴリズム変更は、すでに2015年から継続的に実施されている。

今回の変更の特徴は、メンタルヘルスへの悪影響への対応と位置づけた点と、メディアなどのパブリックコンテンツの優先度の低下を明確にうたった点だ。

ザッカーバーグ氏は声明の中で、アルゴリズムの変更が、短期的にはフェイスブックにとって逆風になる、と認めている。

ここではっきりさせておきたい:この変更によって、ユーザーがフェイスブックで過ごす時間とある程度のエンゲージメントは低下するだろうと見ている。ただ、フェイスブックで過ごす時間は、より価値のあるものになるだろう。我々が正しい対処をすれば、それは長い目でみて、我々のコミュニティにとっても、ビジネスにとっても、いい結果をもたらすと信じている。

短期的な結果は、市場でたちまち出た

フェイスブックの発表の翌日、12日には、ナスダックでのフェイスブック株が急落、時価総額で250億ドル分が消えた、という。

●ニュースを排除する実験

今回のアルゴリズムの変更に先立って、「ニュース排除」を目の当たりにする騒動があった。

昨年10月、フェイスブックのメニューの中に、新たに「おすすめのFacebookのトップ投稿」と題した「発見(エクスプロア)フィード」というメニューが登場した。

フォローや「いいね」をしていないページからのコンテンツを、フェイスブックでの注目度をベースに、アルゴリズムが自動表示する、というものだ。

ところが「発見フィード」の公開に合わせて、一部の国には異変が起きていた、という。

スロバキア、スリランカ、セルビア、ボリビア、グアテマラ、カンボジアの6カ国では、メディアなどのフェイスブックページから配信したコンテンツが、通常のニュースフィードからは姿を消し、この「発見フィード」にのみ表示されるようになった、というのだ。

スロバキアのメディア「デニックN」のジャーナリスト、フィリップ・ストルハリック氏がその混乱を「ミディアム」上で報告している。

それによると、スロバキアでは、フェイスブックページのリーチ(閲覧)数が、それまでの半分以下に低下。60にのぼるスロバキアのメディアによるフェイスブックページの「いいね」などのエンゲージメント数を、ソーシャル分析の「クラウドタングル」で調べたところ、4割程度に激減していた、という。

エンゲージメント数の激減は、カンボジア、グアテマラでも同様の傾向が見られた、という。

これは、フェイスブックによる、「実験」だったようだ。

だが、「ニュース排除」の前哨戦とも見ることができるこの「実験」に、メディア騒然となった。

これに対しては、フェイスブックのモッセリ氏が「実験」の事実を認め、こう釈明をしている

実験の目的は、パーソナルなコンテンツとパブリックコンテンツを、別々の場所に表示することをユーザーが望むかどうか、理解するためだった。

その上で、「現在のところ、これを実験実施国以外で行う計画はない」としていた。

そして、今回の変更についてもモッセリ氏は、「実験」とは別物だとしている。

今回の変更は、最近行った実験と同じものではない。実験ではフェイスブックページのコンテンツをすべて、発見フィードに移動した。だが、今回はページの投稿もなお、ニュースフィードには表示される。ただ、表示が少なくなるだけだ。

だがメディアから見れば、「ニュース排除」の流れであることに、変わりはない。

●フェイクニュースの氾濫と有料の壁

そして、これらの「実験」実施国で起きたのは、リーチやエンゲージメントの激減だけではなかった、という。

ニューヨーク・タイムズによると、影響はさらに深刻だった。フェイクニュースの氾濫と"有料の壁"だ。

スロバキアでは、「財布を拾ってもらったイスラム教徒が、クリスマスの『クリスマスのテロ計画に注意しろ』と言い残した」といったフェイクニュースが広く拡散した、という。

これを打ち消すようなメディア報道や、警察による警告も、ニュースフィードに表示する手立ては、今のところ、有料の広告扱いで投稿するしかない、という。

ボリビアでも、ニュースフィードからメディアの表示が消える一方、「裁判官選挙では候補者の隣に×を書いたもののみ有効」「投票ブースに後で消去可能なインクをつめたペンが置かれていた」などのフェイクニュースが氾濫した、という。

有料投稿の壁とフェイクニュース氾濫。いずれも今回のアルゴリズム変更でも想定される影響だ。

この6カ国での「実験」は現在も継続中で、終了の予定は告知されていないようだ。

●「ソーシャルニュース時代の終わり」

フェイスブックによる、この「ニュース排除」の動きを、メディア関係者はどう見ているのか。

ニューヨーク・タイムズのインタビューに、ウェブメディア「スレート」などを運営するスレート・グループの会長兼編集長、ジェイコブ・ワイズバーグ氏は、こう述べている

これがどんな影響を及ぼすか、誰にもわからない。ただ、ソーシャルニュース時代の終わりのように見える。どのメディアもフェイスブックからのトラフィックは通年で下落している。だから、彼らもニュースには重きを置かなくなっていた。ただ、彼らがプラットフォームにこんな根本的な変更を加えることに関しては、ユーザーが本当に望んでいるとは思えないが。

フェイスブックが、メディアなどへ誘導するユーザーのトラフィック(リファラル)については、すでに陰りが指摘されてきた。

デジタル分析会社「パースリー」の調査では、トラフィック誘導では首位にあったフェイスブックの下落傾向は止まらず、昨年夏ごろ、上昇基調のグーグル検索が逆転。

1月14日現在で、グーグル46%、フェイスブック24%と、その差は拡大傾向にある。フェイスブックの下落傾向について、前述の「発見フィード実験」のような、パブリックコンテンツ排除の流れも一因では、とパースリーは見立てる。

米バズフィードのチャーリー・ウォーゼル氏は、このアルゴリズム変更を、ニュースからの「撤退」と表現する。

多くの点で、フェイスブックのニュースフィードへの変更は、同社が創設に尽力したネットの公共広場からの撤退だ。彼らは、壮大なニュースの実験を行い、それによって、世界で最も成功したメディアの一つとなりながら、それが失敗だったことを、戦略的に認めた。今やフェイスブックは、政治的過激主義のページや虚偽情報、そしてフェイクニュースとは無縁の、理想的な安全空間に戻りたい、と考えているのだ。

フェイスブックが2006年にニュースフィードを公開した時は、友人たちの近況をタイムライン形式で流し、共有する機能としてスタートしている。

だが現在のニュースフィードは、ロシア政府までが介入し、フェイクニュースが氾濫する苛烈な空間に変貌した。そんなニュースフィードを捨て去り、かつてのプライベートな空間に戻りたいのだろう、との見立てだ。

ニーマン・ジャーナリズム・ラボのディレクター、ジョシュア・ベントン氏は、フェイスブックの「ニュース排除」について、「これは既存メディアにとって、デジタルネイティブなメディアよりはいいニュースだ」と述べる。

メディアのサバイバルプラン(その1)」でも紹介したように、グーグル、フェイスブックのデジタル広告市場の支配で、メディアの広告依存モデルは行き詰まり、新聞などの既存メディアを中心に、課金モデルへと舵を切る動きが広がり始めている。

今回の動きは、それでも広告依存モデルにとどまるネットメディアを直撃するだろう、とベントン氏。

この変化が、新聞にとっていいことだ、と言っているわけではない。それは違う。ただ、確立されたブランドと、際だったコンテンツ、そして課金モデルがあるメディアにとっては、一般大衆向けのデジタルネイティブメディアに対して、競争上のエッジを手にすることになる。

ベントン氏は、「コミュニケーションを喚起するコンテンツ」というフェイスブックのコンセプトに、危うさも見る。それこそが、フェイクニュースの温床となった「フィルターバブル」を強めてしまう可能性があるためだ。

これは、読者に感情的な反応を引き起こすニュースを後押しするように見える。それは、政治的な過激主義のフェイスブックページがこの数年、虚偽情報の拡散のため、ユーザーに使ってきた手法だ。

そしてその懸念は、上述のようにスロバキアなどの「発見フィード」の実験国で、現在進行中だ。

テックニュースサイト「マザーボード」のジェイソン・コブラー氏の反応はこうだ。「結構じゃないか」

長期的に見れば、これは結構なことだ。我々みんなにとって。第一に、個人的にはホッとしている。私を含むいかなるジャーナリストも、もはや1秒たりともフェイスブックのニュースフィードのことを気にしないですむようになって欲しい。より重要なのは、バイラルに拡散するよう、「いいね」されたり、アルゴリズムに拾われたりするよう細工されたジャーナリズムは、ジャーナリズムではないということだ。それはマーケティングだ。中央集権化したポータルに依存するニュースメディアは、そのポータルの気まぐれに支配されることになる。そして、中央集権化したポータルに依存する社会は、まず間違いなく破滅する。

ニューヨーク市立大学ジャーナリズムスクール教授のジェフ・ジャービス氏は、フェイスブックに関しては、他の専門家とは違う立ち位置にいる。

同大学は昨年4月、フェイクニュース対策として、ニュースリテラシーの促進とジャーナリズムの信頼向上のため、フェイスブックやクレイグ・ニューマーク慈善基金などから総額1400万ドルの助成金を受けたプロジェクト「ニュース・インテグリティ・イニシアチブ」を立ち上げている

その中心的な役割を担うのがジャービス氏だ。つまり、今回の件では、フェイスブックとメディアの間で板挟みとなった状態なのだ。

ジャービス氏はこう述べる。

今や社会におけるニュースと情報の最も重要な配信を担うフェイスブックは、その役回りが本意でなかったとはいえ、市民への情報伝達の手助けをする責任を、今さら放棄することなど不可能なはずではないか。

そして、このようなフェイスブックへの要望を掲げている。

私は、フェイスブックが、ニュースのクオリティ向上への後押しと支援を続けることを願っている。フェイスブックはすべてのいわゆる"パブリックコンテンツ"を、一からげで巨大で粗雑なバケツに放り込んだ。フェイスブックは、ウソコンテンツの排除で息も絶えだえだ。それによってフェイスブックは政治的、そしてPR上のトラブルに巻き込まれ、フェイスブック上の体験も、我々の実生活も悪影響を受けてきた。確かに。だが、大事なジャーナリズム的価値まで、いっしょに放棄してしまうべきではない。フェイスブックは、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、その他世界中にある数千もの責任ある、有益で、役に立つ新旧のニュースメディアのクオリティコンテンツを区別し、尊重する必要があるのだ。

今回のアルゴリズム変更の影響を受けるのは、メディアだけではない。マーケターもまた、対応を迫られる。

デジタルエージェンシー「360i」CEOのサラ・ホフスタッター氏は、ウォールストリート・ジャーナルのインタビューに、こう答えている。

(今回の変更は)実質的に、オーガニックな投稿に、完全にとどめを刺すことになる。

そして、ブランドは、ペイドポストを通じてエンゲージメントを深めていく必要がある、と。

つまり、無料のフェイスブックページからの投稿が排除されるなら、有料の広告コンテンツとしての掲載へとシフトしていくだけのことだ、と。

●ニュースを分離し、絞り込む

ニーマンラボの「2018年のジャーナリズム予測」でも、この「ニュース排除」に通じる指摘が、いくつか見られた。

オックスフォード大学ロイター・ジャーナリズム研究所のリサーチディレクター、ラスムス・クライス・ニールセン氏は、メディアによる自由なニュース配信の場としてのソーシャルメディアが、終わりを告げるのでは、と予測していた。

2018年は、大手プラットフォームが「ニュースにはトラブルにわずらわされるほどの価値はない」と判断する年になるのでは、と恐れている。その結果、(1)ニュースの役割を低下させ、システム的に他のコンテンツと分離し、(2)プラットフォームでニュース配信を許される報道機関の数を絞り込み、誰がそのチャンスを手にするかを厳密にコントロールすることになるのでは、と。

ニールセン氏がいう「トラブル」とは、フェイクニュース騒動における、フェイスブックやグーグルに対する批判の嵐のことだ。

特にフェイスブックは、米大統領選期間中の2016年5月の「保守派メディアの排除」疑惑に始まり、ベトナム戦争報道写真「ナパーム弾の少女」削除騒動、そして、同年11月のトランプ氏当選にいたるフェイクニュース拡散問題、さらには現在もなお進行中の「ロシア疑惑」まで、「ニュース」の取り扱いをめぐる批判への対応に追われ続けた1年半だった。

そんなリスクがあるなら、いっそ、「ニュース排除」の選択がビジネスとして合理性がある――そんな判断に行き着いても不思議ではない。

フェイスブックのアルゴリズム変更は、まさに(1)の実装だ。

上述の専門家たちの見立てとも通じるが、今回の「ニュース排除」は、「ニュース」の扱いにほとほと嫌気がさしたフェイスブックによる"手じまい"と見ることもできる。

ただ、ニールセン氏が実例としてあげたのは、まさにその(1)と(2)を実装している動画メッセージアプリのスナップチャットだ。そして、この予測を「スナップチャット・シナリオ」を名付けている。

昨年11月末、スナップチャットはアプリの新デザインを公開した。CEOのエヴァン・シュビーゲル氏が掲げたコンセプトは、「ソーシャルとメディアの分離」だ。

立ち上げ画面の左にパーソナルな友人とのやりとりのアイコン、右側にメディアが配信するコンテンツへのアイコン、と明確に分離した。フェイスブックのアルゴリズムの変更を先取りしたような、リニューアルだ。

またスナップチャットは以前から、メディアの配信スペースとして、参加を少数に限定した「ディスカバー」というコーナーが知られている。

従来のオープンなソーシャルメディアのプラットフォームから、よりクローズドでコントロールされたメッセージアプリの世界へ。ニールセン氏は、その中でメディアの自由は、はるかに制限されていく、と指摘する。

テックニュースサイト「デイリービースト」のテイラー・ロレンツ氏も、「予測」の中で、やはり「ソーシャルとメディアは分離する」と見立てていた。

オープンなソーシャルメディアでの炎上などを避け、ユーザーはどんどんクローズドで少人数のグループチャットなどにシフトしている、とロレンツ氏。

ユーザーがクローズドなシステムに移行していくにつれ、第一世代のソーシャルメディアの特徴だった、広範な、ニュースとメディアコンテンツが詰まったアルゴリズムによるフィードも、捨て去っていくのだ。 (中略) これは、人々のメディア消費が低下する、というわけではない。そんなことはない。ただ、メディア消費はより、個別に分離した、意図的な行動になるだろう、と見ている。

オープンなソーシャルメディアでの、大人数による受動的なメディア消費とは逆のベクトル。つまり個々のユーザーが、それぞれに選び取るパーソナルなメディア消費に向かっていく、という見立てだ。

「パブリック」から「パーソナル」へ。

フェイスブック、スナップチャットに共通する動きには、メディアの側の変革も迫られているようだ。(続く)

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■新刊『信じてはいけない 民主主義を壊すフェイクニュースの正体』(朝日新書)6月13日発売。

(2018年1月13日「新聞紙学的」より転載)

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