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上瀧和子 Headshot

人工知能 x 次世代マーケティングはマルチラリティをもたらすか(前編)

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iPhone、Android端末などスマートフォンの発展とクラウドコンピューティングの普及に伴い、人工知能(AI)の焦点とされるディープラーニング(深層学習)は、日常の場面で適応が進んでいます。こうしたなか、消費者が企業のマーケティング活動を通じて自己実現をかなえるという次世代マーケティングがどう具体化するのか。そして、人工知能が人間の脳の処理能力を超える特異点、いわゆるシンギュラリティが個々人それぞれに訪れるというマルチラリティはどうやって訪れるのか...。

5月20日(金)に開催された、筆者がボランティア運営委員を務める次世代マーケティングプラットフォーム研究会(NMPLAB) 第8回総会をもとに考察します。今回の総会テーマは、前回の出席者アンケートで決まった「AI-人工知能」。過去最大規模の参加者数から、その注目度の高さがうかがわれました。この前篇では、マーケティングと人工知能の歴史をひも解き、関連性に着目します。

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次世代マーケティングプラットフォーム研究会(NMPLAB)とは、発起人の株式会社アイ・エム・ジェイ執行役員CMO江端 浩人氏を中心に、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院SCジョンソン特別教授フィリップ・コトラー氏が提唱するこれからのマーケティングのあり方を研究する会。

東京を拠点に、Facebook上で3,842名(5月20日現在。8月26日に5,000名を突破)が集うボランティア運営の団体として、旬なテーマを巡り識者と議論を深める研究会を実施しています。

コトラー氏は来る2016年10月14日(金)・15日(土)、広島市内でビジネスと平和構築のあり方との関係を議論する「2016国際平和のための世界経済人会議」(実行委員会会長:湯﨑英彦 広島県知事)に参加予定。「より良き社会に向かうために人を動かす学問がマーケティング」(出典: 5月30日 日経MJ「広島訪問、コトラーも――マーケティングで平和を(斜光線)」)と語る氏の来日により、本研究会もさらなる盛り上がりが期待されます。

1.デジタル&ソーシャルで自己実現をかなえるマーケティングへ


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今回の開会挨拶に先立ち、江端氏が過去1年半におよぶNMPLABの活動を紹介するビデオ上映。バックグラウンドでコトラー教授の肉声で、日本のビジネスパーソンにデジタル時代の新しいマーケティング活動を呼びかけるメッセージが流れました。続けて会の研究趣旨説明。次世代マーケティング、マーケティング4.0とは、コトラー教授が、World Marketing Summit 2014で必要性を説いた、マズローの欲求5段階説の第4段階にあたる、自己実現の欲求を満たすマーケティングのことです。

マーケティングの変遷を辿ると、1.0は消費者の生理的、安全の物理的な欲求に応えるカタログによる製品差別化の段階、2.0は消費者の所属、愛の欲求に応えるよう心をつかむブランディングの段階。3.0は消費者の承認、尊重の欲求に応えるよう精神をつかむCSR活動やクリーンな企業イメージ重視の段階。4.0の段階、消費者の自己実現の欲求に応える時代を迎えた今、消費者が製品開発や改善に関わりながら企業と新たにつながる過程が生まれています。

こうして消費者の自己実現がマーケティングと連動する背景には、デジタルとソーシャルの関与があります。World Marketing Summit 2015でコトラーが「Digitalize or Die (デジタルか死か)」(参考:2015年10月28日AdverTimes「Digitize or Die: ワールド・マーケティング・サミットで見えてきたマーケティングと経営の融合」)と唱えたとおり、企業はデジタル革命に乗り遅れると生き残れない。
そして今回のテーマAIは、そのデジタル革命の重要な一角をなすものです。

2.人工知能の過去、現在、未来


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キーノートスピーチには「人工知能は私たちを滅ぼすか」の著者、児玉 哲彦氏が登壇。去る3月に韓国で開催された囲碁の対局では、Google(傘下で人工知能を研究するDeepMind)が開発したAI「アルファ碁(AlphaGo)」がプロ棋士に圧勝しましたが、それは折しもその出版の前夜だったほど連日、人工知能の話題が尽きない昨今。児玉氏は、AIとともにこれからマーケティングがどう変わるのか、という視点で基調講演。著書のエッセンスを織り交ぜながら、人工知能の過去、現在、未来を俯瞰して、マーケティングについての考察を述べました。

  • 人工知能を生んだ計算機

歴史を振り返ると、人工知能の歴史は軍事技術と深く結びついてきました。映画「イミテーション・ゲーム」の主人公、数学者アラン・チューリング氏が1941年、計算機によりあらゆる計算機を模倣(シミュレーション)するエミュレーターを積んだ「チューリングマシン」(今日のコンピュータのもととなる概念)を作り、これに則ってナチスの暗号が解読されました。チューリング氏は、機械はほかの機械だけでなく人の神経や心まで模倣できると考え、機械を人間と対話させ審判が判別できるかをみるチューリングテストを考案し、計算による人工知能を考えだしました。

そして1945年、数学者ジョン・フォン・ノイマン氏が、ナチス打倒のためアメリカで最初のチューリングマシンの原理に基づく大規模なデジタルコンピュータ「ENIAC」の開発に携わり、その経験に基づいて今日では「ノイマン型コンピュータ」と呼ばれるデジタルコンピュータの設計指針をまとめ、原爆の計算、水爆の開発などに携わりました。ちなみにこのノイマン型コンピュータは今日のiPhone、Android、Mac、Windowsなどの設計の基礎となっています。

1940年代~1950年代は、ノイマン氏も関わった「サイバネティクス」、生物がおこなう制御を機械で模倣するという理論が盛り上がり、これに則して「ニューラルネットワーク」の開発が行われました。ニューラルネットワークとは、チューリングマシンで人間の神経細胞(ニューロン)の仕組みをまねる手法です。これにより、計算によりあらゆるものを模倣できるという仮説が正しいと受け止められました。

後にこのニューラルネットワークの技術が、今話題のディープラーニングの基礎となりました。しかしこの時代、十分なデータを集めること、十分な計算力を持たせることが難しくニューラルネットワークの研究は進みませんでした。

  • ムーアの法則とメカトーフの法則

1960年代に入ると、ゴードン・ムーア氏の「ムーアの法則」が登場し転機を迎えます。ムーアの法則は、コンピュータの処理能力をつかさどる中央演算装置(CPU)、半導体の集積度は2年で2倍になる、40年で100万倍になるというものです。これがパーソナルコンピュータとインターネットの原理につながり、インターネットはDARPA(アメリカ国防高等研究計画局)のもと脳科学者、心理学者が主導的な役割を果たし発展しました。

1980年には、今日も現役のネットワーク規格Ethernetを開発したボブ・メトカーフ氏が、「メトカーフの法則」を発見します。これは、ネットワークの価値はつながっている端末(ノード)の数の2乗に比例して指数関数的に上がる、というものでインターネットの発展を支えました。

さらに1992年、「インターネット」の商用接続に伴い、ティム・バーナズ・リー氏がインターネット上で誰もが情報が見られるようにする仕組み、WWW (World Wide Web)を発表。アラン・チューリング氏とともに最初のコンピュータを作った両親の影響を受けたバーナーズ・リー氏は、(通説となっているクモの巣ではなく)細胞同士がその時々で結合して偶発的に連結するような神経網にならった情報ネットワークを設計したのでした。

1996年には今や時価総額世界一、人工知能を支えるクラウドコンピューティングのバックエンドを作り、AI企業の代表格となろうとしているGoogleの誕生。人工知能研究者でもあった指導教官テリー・ウィノグラード氏を師とする創業者ラリー・ペイジ氏らが立ち上げたGoogleはWeb情報の解析、検索から事業を発展させ、2015年36億ドル、約4200億円(参考:2016年3月25日DIAMOND online グーグルはなぜ、人工知能に莫大な投資を行うのか?)を検索以外に投資し、人工知能の開発に邁進しています。

人工知能が目に見える形、フロントエンドのパーソナルコンピューティング分野では2003年に脳科学者ジェフリー・ホーキンズ氏が世界で初めてのスマートフォン、Palm(パーム)を発表。これは人間の脳の仕組みを研究して手書き文字認識の精度向上を図り、成功した製品でした。

そして2012年、ニューラルネットワークの概念を型(パターン)に落とし込んで機械に学習させるパターン認識の仕組みとしてジェフリー・ヒントン氏が開発した「ディープラーニング」(深層学習)の技術が、「画像認識」と「音声認識」の精度を劇的に向上させました。ヒントン氏のパターン認識により、画像認識ではイギリスで開催された国際的なコンペティションでぶっちぎりの優勝。音声認識では、マイクロソフトがその精度を想定の4倍(5%が25%)に向上させ、この年、ディープラーニングが一躍脚光を浴びました。

ディープラーニングはその元になっている原理が最初に提案された1986年から約30年かけて、今年のアルファ碁の人間への勝利につながりました。これは、パターン認識で計算量を劇的に減らすことで、不可能と思われていたことを可能にしたものでした。

今後2〜3年にかけ、論文や学会をにぎわせている「自然言語処理」は、ディープラーニングのパターン認識を言語、音声に用いています。自然言語処理は、AppleのSiriほか、Googleフォトの撮影された対象物を自動的に分類してくれる仕組に用いられ、恐ろしさを覚えるような精度をみせています。

  • スマートフォンとクラウドコンピューティング

なぜ今、人工知能が1940年代からの歴史をもって結実してきているのか。それはスマートフォンとクラウドコンピューティングによるといえます。計算手法そのものが大きく変わっていたのでなく、膨大なデータがスマートフォンのような様々な機器から収集されるようになったこと、その膨大なデータを計算能力を並列化して処理できるようになったことが要因です。

IntelのCPUは、1971~2011年の40年間で35万倍(ムーアの法則の誤算の範囲)の性能向上を、微細化により集積度を上げることで実現しています。Googleがクラウド上にもつコンピュータは500万台〜1000万台分といわれるCPUを搭載しています。つまり、1970年代と比較して人々が使える計算量は35万倍x1000万台(3兆5000億)分も増加しています。そしてインターネットに接続するコンピュータは1975年~2015年で1000台から10億台へと、40年間で100万倍へと桁違いの延びを見せています。

この40年間区切りの未曾有の計算能力の伸びと、2010年に10億個を超えたウェブサイトなどによるデータが相まって、人工知能を成長させたといえます。

  • AIを取り巻く産業構造

AIを取り巻く産業構造でいうと、アメリカは官(政府、軍)が大きな予算を研究に投じて学術機関(スタンフォード、MIT、SRIインターナショナル、Xeroxのパロアルト研究所など)を支え、その研究成果に産業界(Google、Appleといった大企業)が莫大な予算をつけて大きく事業化し、そこから得た資金がまた研究に回る、というトライアングル関係による技術開発、産官学連携ができています。アメリカでは、研究開発において政府、軍が大きな役割を担い、DARPA(アメリカ国防高等研究計画局)がインターネット、インターネット、コンピュータ、半導体、GPS、AI、Siri、ロボティクスチャレンジなどを次々と生んでいるところが特徴的です。

一方で日本は、文部科学省が概算請求で、人工知能/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクトに100億円新規予算(参考:情報科学技術委員会(第91回) 議事録)を割り当てています。民間では大手としてはトヨタ、リクルートなど、またベンチャーではトヨタ、ファナックなどのファクトリーオートメーションのAIを担うプリファードネットワークス、などが人工知能の開発における存在感を示しています。

  • モラベックのパラドックス

今後の人工知能のロードマップを展望すると、人間の成長と逆をいく「モラベックのパラドックス」に則ると予想されます。

人間は、赤ちゃんがまず身体をばたばたさせて周りを認識し、それから耳や目でパターン情報を認識するようになり、成長に伴って言語や数字による記号情報処理をするようになります。反対に、コンピュータは、そもそも数学の記号情報処理をするために開発され、人間と逆の発達段階を経て今、パターン認識によるディープラーニングで人間以上のパフォーマンスを出せるようになってきています。
とはいえ今日でも、機械に現実の空間で運動をさせることは最もむずかしく、介護、肉体労働などでロボットが活用するのはまだ先と考えられています。

実際のライフスタイルの場面でみると、人工知能はすでに様々な分野で応用されています。フィットネスにおいては、Apple Watchなどのウェアラブル端末が、消費カロリーを図ったり運動を促したりといった機能を提供して広く使われています。

投資では、AlpacaDBがCapitalicoという投資のアプリケーションを提供し、株の値動きに対し売り買いのパターン認識をさせ予測を可能にしています。教育では、アリゾナ州立のAustin Peay大学がディグリーコンパスという、高成績をとるための単位取得パターンの推薦システムを導入しています。保険では、欧米を中心に車載装置、ドライブレコーダーが記録する加速度情報などを用いて保険額を調整する動きが進んでおり、日本でもソニー損保のやさしい運転キャッシュバック型などが例にあげられます。さらには、米国では弁護士業務における言語パターンの認識や、癌治療における画像診断などにも、IBMのWatsonの自然言語処理が用いられてきています。

こうして、「モラベックのパラドックス」のとおり、金融ほか弁護士いった士(サムライ)業、医師など人間の付加価値の高い分野のサポート業務がまず先に、人工知能に置き換わってきています。

さらに進んだ動きとしては、都市環境のマネジメント分野で、Googleが支援するSidewalk Labsにおいてビッグデータ活用を進めています。国家でいうとシンガポール政府は、混みそうな道路を予測して通行料を課すエレクトロニック・ロードプライシングを導入しています。

安全、安心の分野では米Palantirがビッグデータからテロリスト情報などを抽出しFBI、CIAなどに提供しています。そして米PredPolは、ビッグデータもとにした犯罪発生の地域、時間帯の事前予測により、サンタクルーズ市警とともに犯罪件数を17%減少させました。
今後、こうした安全、安心、テロリスト対策における人工知能の活用が活性化するとみられます。

「モラベックのパラドックス」が最も難しいと定義する、AIが現実の空間で動くこと、つまり自動運転や機械による物流などは、時間がかかるものの2030年めどに実現すると考えられます。自動車の運転という危険な行為を人間がすることがなくなり、人間に自動車保険が下りなくなると予測されます。

  • AIがマーケティングにもたらす影響

AIの発展、普及は消費者行動をどう変えるか。マーケティングに目を向けて考察すると、インターネット時代の消費者行動として電通が唱えたAISAS(Attention、Interest、Search、Act、Share)の考え方が変わるでしょう。

まずAttention、注意喚起の場面では、環境のなかにさまざまなサービスやデバイスが溶け込む状況になり、ひとつのデバイスのインターフェイスがタッチポイントになって注意を集めるのでなく、見える部分の裏側、意識されないところで横断的に走るサービスから情報を得るようになると考えられます。そこで音声対話のエージェント(AppleのSiri、AmazonのEcho、FacebookやLINEのChatbot、SharpのRoBoHoNなど)が重要になってくるでしょう。

興味獲得のInterestでは、ターゲティングが個々人に最適化されるため、ソーシャルグラフ上の平均値にあたるものは見えなくなり、極端に突出したもの、バイアス(偏り)が強いもののみが浮かび上がるようになる。BABYMETALが世界でヒットするように、AIと相性がよい、AIが興味を引くのはこうしたバイアスが強いコンテンツになるでしょう。

検索、Searchにいたっては、検索に端を発したGoogleがAI企業になろうとしているとおり、その重要性は低くなるでしょう。そしてGoogle Nowが個々人にあわせた情報を自動的に端末に表示するように、自身が保持して無意識に発信している情報の脈絡(コンテクスト)から、必要と思われる情報をエージェントがおすすめ(レコメンド)するようになると考えられます。

マーケティングで重要な行動、Actionでは、こうした無意識の世界におけるKPI(指標)の対象が、ワンオフ(単発)のコンバージョンではなく、継続課金、継続契約へと移行するでしょう。

共有、Shareにおいては、もはや書く、画像処理する、リブログするといった意識の資源を使わずに、キャプチャー(取り込み)したコンテンツをシェアするようになる。RicohのThetaやFacebook 360のように、360度の映像をキャプチャーしたものがコンテンツになる動きが加速すると予想されます。

参考:2016年6月1日 AdverTimes 
「AISASモデル」は、AI(人工知能)時代にどう変わる?

  • ポストモダンの次

哲学者フリードリヒ・ニーチェ氏は19世紀、「神は死んだ」(Gott ist tot)と唱え、人間が宗教、神、超越者のくびきから解かれて自由な意思で生きる時代の訪れを示しました。これを支えたのは、ルネサンス以降のヒューマニズムをもって人間中心主義と、宗教によらず科学ですべてを説明する科学主義でした。この人間中心主義と科学主義は、1960年代の、ポストモダン主義の高まりと、コンピュータ、メディア、情報技術の台頭へと移行しています。

AIに照らして考えると、かつてのマスメディアに対して消費者が受け身だった時代から、最近の消費者が能動的なソーシャルの時代に移行してきましたが、今後のAIの時代には消費者がサービスを買う、使うという意識がない時代になると考えられます。

これからは、エージェントがコンテクスト情報などのデータを取り、そこから次のコンテンツをレコメンドし、継続的な契約が締結され、体験のキャプチャーが共有される、というメディア、情報サービスの設計になるでしょう。そこでは、車、時計、PC、モバイルなどのあらゆるデバイスをまたがってサービスが存在することが重要です。また、計算力がカギとなる、計算力がないと太刀打ちできなくなります。
例えば、アルファ碁のトレーニングにはGoogleのクラウドコンピューティング従量課金で30億〜50億円ほどかかる計算量が投じられたといわれています。(参考:2016年3月24日 ITmedia AlphaGoの運用料金は30億円以上?

AIの世界では、ニーチェ氏が唱えた自由な意思を持った個人が自分の責任で行動するという前提、つまり人間が責任を取るという世界観が変わる、と考えられます。 

ポストモダンが唱えられた1960年代から、生活のなかにメディアが入り、サービスが自分を常時見ている時代、自分もサービスに影響されて行動する時代になりました。今日、自動運転のトロッコ問題(トロッコの分岐点により轢かれる人数が変わることをどう受け止めるか)が議論されていますが、AIがさらに生活のなかに入っていくことで、人間が責任を取るといった世界のあり方が終わるのではないかと考えられます。

3.AI x 次世代マーケティングで変わる世界


以上の江端氏、児玉氏の講演から、テクノロジーとマーケティングの進展に伴い変わる、人間の世界観、社会の前提、消費者行動、企業と消費者のあり方があぶり出されました。

人間が機械を動かすことに責任を持つ、という構図の変異は、AIのロードマップや自動運転の将来像を鑑みると腑に落ちます。AIのアウトプットは独立したデータとして存在し、人間の生産・労働活動とどう相乗効果を生むか、という議論が想像できます。

消費者行動としてわたし自身は、Interest、Search、Action部分の革新が身近になってきているように思います。Interestを得るコンテンツはバイアスが強いもの、という意味ではまさに、AlphaGoならぬポケモンGOが拡張現実(AR)技術でキャラクターを実世界に融合させて世界を席巻している。すでに日常のなかで、Apple Watchでより簡単に情報にたどり着くために音声サービスを使い、膨大な情報を検索しきれずにレコメンドを頼り、通信やアプリやVODなどの継続的なサービスを使っている。
これからさらに進む労働のAIへの置換で、Attention、Shareがどう変わり、消費者行動モデル自体がどう変貌するのか、どう世界が進化するか、その時に自分がどういった役割を担えるか...と想像や期待が膨らみます。

次世代マーケティングプラットフォーム研究会(NMPLAB) 第8回総会の後半では、パネルディスカッションを交え、人工知能が人間の能力を超える特異点、シンギュラリティを個々人がどう迎えるのか、マルチラリティとはの議論が繰り広げられました。そのレポートと考察を後編に記します。