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民進党・蓮舫代表の二重国籍問題から見える日本の矛盾「蓮舫氏はバリバリの嘘つきなのだろうか?」

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RENHO
Kim Kyung Hoon / Reuters
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カジノ法案の強行採決について、民進党代表の蓮舫氏は安倍総理を「息をするように嘘をつく」と批判した。これに対し、参議院議員の佐藤正久氏が「そもそも二重国籍問題で説明が二転三転し、戸籍謄本を開示していない蓮舫代表に総理も言われたくないだろう」との意見を、橋下徹氏が「人を嘘つき呼ばわりしたら、蓮舫さんなんか二重国籍問題ではバリバリの嘘つきだ」との批判をTwitterで展開した。父親が台湾人、母親が日本人である民進党代表の蓮舫氏の二重国籍問題は、蓮舫氏の言動に対し、事あるごとに、取り沙汰される。

この二重国籍問題を巡っては、安倍首相が2016年10月13日に国会で蓮舫氏に対し、「戸籍謄本を示すなどして説明責任を果たすべきだ」と追及。蓮舫氏は「10月7日に日本国籍の選択宣言をした」と訴えていた。
それに対し、金田勝年法相が2016年10月18日の会見で、一般論としたうえで「法律の定める期限後に日本国籍の選択を宣言したとしても、それまでの間は国籍法上の義務に違反していた」という認識を明らかにした。

この問題に対する蓮舫氏の一連の言動に対し、前述の佐藤氏や橋本氏だけでなく、世論は「違法行為だ」「悪質な嘘つきだ」などと叩いているが、蓮舫氏がここまで、嘘つきと言われるのは、なぜなんだろうか。

在日台湾人である筆者は、どうも腑に落ちない点がある。事の発端は、蓮舫氏が民進党の代表選に出馬した途端、「台湾国籍と日本国籍の両方保持しているのではないか?」という話が取り沙汰されたことだ。
3期にわたり議員を務め、大臣に任命された経験も持つ蓮舫氏。いったいなぜ、そのタイミングで問題がクローズアップされたのか。


■ 国籍は台湾でも表記は「中国人」として扱われてきた

この「二重国籍」問題には、多くの疑問点がある。

公職選挙法によれば、被選挙権に二重国籍者を除外する規定はなく、国籍法でも二重国籍者が日本国籍を選択しても外国籍の離脱の「努力義務」が生じるのみである。今回の蓮舫氏はこの「努力義務」を果たさず、違反していた、とされている。

筆者がこのニュースを知って、まず感じたのは、「台湾は日本に国として認められていたのか?」という驚きだった。

なぜなら、筆者が持つ台湾の国籍は、一度たりとも日本の公的機関で認められたことはないからだ。

かつて、台湾は、日本の植民地であった。第二次世界大戦後、台湾から日本が引き揚げた後、クーデターで「中華人民共和国(現在の中国)」に追われた「中華民国」の国民党が、台湾を支配した。それから現在まで、台湾は「中華民国」として「中華人民共和国」とは通貨も政府も全く別の独立した島国として成り立っている。

しかし、中華人民共和国(中国)は、「台湾は中国の一部だ」と世界に主張している。 1970年代には、中国は日本と国交を復交する条件として、中華民国(台湾)を国として認めないよう呼びかけた。

その結果、日本は台湾との国交を断絶。中国との国交を復活させて、以降、台湾を国ではなく「中国の地域の一部」として取り扱ってきた。

だから、日本には台湾の大使館はない。日本では、蓮舫氏が国籍放棄の手続きを行った台北駐日経済文化代表処という機関が、台湾政府の窓口役として実質の大使館の役割を担う。

こうした日中関係上の政治的都合によって、日本にいる台湾人は、台湾の国籍やパスポートを保持しながらも、免許証や外国人登録証などは、本籍や国籍の表記を中国とされ、中国人として扱われる屈辱を受けてきた(近年は「国、または地域」とされている項目については「台湾」と記述できるようになっている)。

筆者も、かつて、家族で親戚の見舞いにアメリカを訪ねる時、日本の出国窓口で再入国許可申請書類の国籍を「台湾」と記述すると、審査の際に「中国と書き直せ」と、列から外され、最後尾に並び直さなければならなかったり、免許取得の際、本籍に「中国」と印字され「中国でなく、台湾です」と何度も押し問答したりと、様々な場面で台湾国籍を認められず、中国籍扱いをされてきた。

昨年、日本人である夫と結婚をした際に作られた戸籍にも「中国」と記載され、これまで生きてきた自分のアイデンティティーを否定され、尊厳が奪われたように感じた。


■ 日本国籍を選択しても台湾国籍を離脱できない?!

日本は1984年(昭和59年)までは、いわゆる「父系血統主義」だった。

そのため、1967年生まれの蓮舫氏は、当時、台湾籍しか取得ができなかったと思われる。法改正によって、父母のいずれかが日本人であれば国籍取得できるようになった17歳の際に日本国籍を取得したのであろう。そして、本来であれば、今回、蓮舫氏が10月7日に行ったとされる「日本国籍の選択宣言」は、この日本国籍の取得と同時に行う必要があったというのが、今回の金田勝年法相の言い分であろう。

通常、外国人が日本国籍の取得を行う場合は、帰化手続きを行う。帰化の条件には、継続した在留資格で5年以上日本に住んでいることや、年齢が20歳以上で本国の法律によっても成人の年齢に達していること(ただし家族全員での帰化の場合には20歳未満であっても手続きが可能)などの様々な条件が必要になる。そんな条件の1つとして謳われているのが、「母国の国籍の放棄」だ。

蓮舫氏が17歳で日本国籍が取得できたのは、家族と一緒に申請という要件を満たしていたからだろうが、もし、帰化手続きにより国籍を取得しているとすれば、条件を満たすため、台湾籍が放棄されていることを手続きの際に法務局の職員が確認しているはずだ。

ただ、蓮舫氏の場合は、母親が日本人なので、日本国籍取得の届け出のみで取得ができた可能性も高く、当人もそう話している。

しかし、ただでさえ国籍関連の手続きは書類も多く、複雑だ。家族で申請したとすれば、手続きは自分で行ったわけでなく、どのように取得したかなど当時17歳の蓮舫氏が詳しく理解できてなかったとしても致し方ない。

ここで大切なのは、もし、台湾籍を放棄していなかったとしても、そもそも日本は台湾を国として認めず、中国籍としているので、中国の国籍法が適用されるはずであれば「中国国外に在住していて、自己の意思で外国籍を取得した者は中国籍を自動的に失う」はずなので、二重国籍にならないのである。蓮舫氏が台湾籍の離脱がわざわざ必要という認識がなかったとしても何も不思議ではない。

通常、二重国籍を解消するには、下記の二つの方法があるとされる。

①戸籍法106条の「その国の法に基づき、国籍を離脱する手続きをとり、これを証明する書面を市区町村役場または大使館・領事館に外国国籍喪失届をする」という方法

②戸籍法104条の「日本の国籍を選択し、外国の国籍を放棄する旨の国籍選択届を市町村役場または大使館・領事館に提出すること」で日本国籍の選択が完了するという方法。

しかし、今回、蓮舫氏が、①を行ったところ、冒頭でも述べたように「一般論として、日本政府は台湾を正式な政府として認めていないので、台湾当局が発行した外国国籍喪失届は受理していない」となったのである。そもそも、日本政府が正式に認めていない「国籍」なのに、どうして「二重国籍」と言えるのだろうか。

①の方法が取れなかった蓮舫氏は、仕方なく②の日本国籍選択の宣言により「日本国籍を選んだ」としたものの、その場合、外国国籍の離脱したことにはならず、国籍法16条による「外国国籍の離脱の努力をすること」とされ、①に戻ることになる。つまり、言うなれば、無限ループの状態に陥るのだ。


嘘をついているのは、蓮舫氏なのか日本政府なのか?

台湾を国として認めていないのに「国籍を放棄しろ」と言われ、国籍放棄の手続きをとろうとすると「受理できない」と突き返される矛盾。この複雑な日本の行政手続きに翻弄されてきた結果、蓮舫氏は自らの発言も二転三転してしまったのではないか。

安倍首相が求めるように、戸籍謄本の開示をしたとしても、仮に蓮舫氏が台湾籍を保有したままであれば、戸籍上の国籍は中国と記載されていると思う。ただ、そうなると「台湾籍との二重国籍」という話は白紙に戻り、中国籍との二重国籍問題ということになる。前述の通り、中国の国籍法であれば、日本国籍の取得と同時に自動で中国籍を失うはずなので、なんら問題はなかったはずである。話が二転三転しているのは果たして蓮舫氏だけだろうか。

一体、嘘をついているのは、蓮舫氏なのか日本政府なのか?何か日本の「本音と建て前」文化に、日本の世論も翻弄されているように思えてならない。

筆者としては、日本が台湾籍を国籍として認め、二重国籍として取り扱ってくれるのであれば、むしろ有難い話だと思う。一方、日本としては、中国との関係の手前、台湾を国として認めていないにも関わらず、今回、台湾籍を「国」籍として取り上げてしまったこと自体が、日中関係上の不都合とされる本当の問題なのではないだろうか。