アフリカ1万足プロジェクト、遂に完結! ~12,000足の運動靴がカメルーン極北州に到着

兵士の背中に担がれた特大のライフル銃が、地元の治安情勢を物語っています。

英国のEU離脱、米国大統領選でのトランプ氏勝利に続き、EU再建を提唱し改革を進めてきたイタリアのレンツィ首相が憲法改正を問う国民投票で敗北、辞意を表明しました。

オーストリアでの大統領選はリベラル派が極右政党に僅差で勝利したものの、反EU・反移民を掲げる勢力が巻き起こすポピュリズム(大衆迎合主義)旋風が今後さらに勢いを増し、世界の分断と不安定化が加速するのは必至の様相です。

来年には3月にオランダ議会、4~5月にかけてフランス大統領選、秋にはドイツ連邦議会選と欧州では重要な選挙・投票が相次ぎ、いずれも極右政党の躍進が予想され、フランス極右政党のル・ペン党首は大統領選で決選投票に進むと目されています。

4月中旬に首都ヤウンデに搬送され同国政府に寄贈する贈呈式をおこなった後、日本人の立ち入りが禁止されている危険地帯である極北州のマルアへと、カメルーン政府の手により搬送されていました。

担当責任者であるユスフ・ハディジャ・アリム初等教育大臣は、現地トリビューン紙のインタビューに答え、「来年度初めには届けられるだろうと」話していましたが、搬送時には襲撃や略奪など様々なリスクが予想されていましたので、まさかこんなに早く、しかも正確に届けて頂けるとは思ってもいませんでした。

それだけに、カメルーンの子どもたちが私たちの贈った運動靴を確かに手にしている写真を見た瞬間、一緒に活動してきた生徒や教職員たちの顔や折々のシーンがフラッシュバックのように蘇り、しばらく涙が止まりませんでした。

20世紀に繰り返された大戦から、人類がその重要性を尊い犠牲と引き換えに学んだはずの「寛容」や「連帯」の精神といった"レガシー"が音を立てて瓦解して行くような今日この頃。何かと曇りがちな心に希望の光が差し込むようなニュースが、アフリカから届きました。

作新学院の「アフリカ一万足プロジェクト」により回収され海を渡った運動靴11,944足が、テロ組織ボコ・ハラムによって居住地を追われ国内避難民となっている子どもたちの避難先である、カメルーン極北州の小学校へ遂に到着したのです!

作新の生徒と教職員で貼ったさくしろうシールと仕分け票が見てとれるダンボール箱の山に掲げられた横断幕には、フランス語で「極北州の児童たちに日本政府から靴の贈与」と記されています。

ダンボール箱約500箱にもなる運動靴は、足かけ3年かけて作新学院の生徒たちによって回収・洗浄・乾燥・仕分け・梱包され、昨年11月に本学を出発し、3月下旬にカメルーンのドゥアラ港に到着。

運動靴が届けられたマルアは、ボコ・ハラムが制圧しているナイジェリア国境から約100km。写真手前に後ろ姿で立っている兵士の背中に担がれた特大のライフル銃が、地元の治安情勢を物語っています。

そんな危険地帯にあるこの公立小学校も、日本からの無償資金協力事業によって建設されています。

こうした日本からの地道な援助によりカメルーン政府との間に強い信頼関係が構築されていたからこそ、今回の運動靴もこんなにスムーズに危険地域とされる極北州へと届けられたのだと思います。

学院から贈った運動靴も、実にささやかではありますが日本とアフリカの人たちの信頼をつなぐ"縁(よすが)"になれたら、こんなに嬉しいことはありません。

アフリカ1万足プロジェクトに参加したことをきっかけに、将来、発展途上国などで貧困に苦しむ人たちを支援する仕事を希望する生徒が、学院には相当数います。

希望の種は気づかぬところで気づかぬうちに成長し、蒔いた本人もすっかり忘れかけていたそんなある日、大きな花を咲かせ沢山の実を成らせてくれることを、教育にたずさわる者はみな知っています。

チャーチルの言葉通り、「築き上げることは、多年の長く骨の折れる仕事で、破壊することは、たった一日の思慮なき行為で足る」のかもしれませんが、どんな時代になっても、いえ困難な時代だからこそ、希望を見失うことなく粘り強く人類の"レガシー"を子どもたちとともに守っていきたいと思います。

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