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熊本地震から一ヶ月 ~行政は迅速・柔軟な対応を

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熊本地震で、2度目の震度7を観測した「本震」に襲われてから一ヶ月。余震は今も続いています。

震度1以上の地震は16日時点で1440回を超え、自宅の倒壊や余震への不安などから、熊本県内の避難者は1万434人。当初の18万人からすれば減ってはいるものの、依然、車中泊やテント泊などで住居を定められない被災者も多く、また日中は自宅で過ごしながらも、夜は余震を恐れ車中で眠るという人も少なくありません。

ひと月を過ぎても将来への展望が開けない避難生活の中、被災者の方々のストレスも限界を超え始めています。これまでの死者数68名中、震災関連死の疑いのある人は19名、入院を必要とする「エコノミークラス症候群」の患者数は51人にも上っています。

今後、気温も上昇し梅雨の時期を迎える中、これ以上の震災関連死の発生をどのようにくい止めるのか、一刻も早い生活再建をどのように進めていくのか。政府は復旧に向けた7780億円の補正予算案を決定し、国会での審議も今日から始まりましたが、被災地では多くの問題が山積しています。

その第一が、「罹災証明書」の発行の遅れ。罹災証明書は、被災者が国などから支援を受ける際に必ず必要となる書類で、仮設住宅への入居希望申請や倒壊家屋の解体など、生活再建の万事に関わる重要なものです。

熊本県内でこれまでの申請は9万7741件に対し、発行は2万8266件と、いまだ3割弱にすぎません。内訳をみると、発行できたのは熊本市が1万8785件などで3割強、被害の大きかった益城町、西原村、南阿蘇村など9市町村に至っては、まったく発行されていません。

と言うのも、罹災証明書の発行には、被災者の申請を受けて市町村が住宅被害を調査し「全壊」や「半壊」などという判定が必要です。しかし、被害を受けた市町村では圧倒的に人手が不足しており、他県から応援職員のさらなる投入が喫緊の課題となっています。

これまで行政は、阪神大震災、新潟県中越地震、東日本大震災と震度7の震災を幾度も経験し、被災自治体が人手不足に陥ることは「自明の理」であったはずです。しかしながら、九州地方知事会が災害時の支援協定に基づき各県の応援部隊を派遣したのは19日になってから。

最初の震度7の地震は14日にもかかわらず、なぜこんなに派遣が遅れたのでしょうか。その理由は、熊本県が市町村の被害状況をまとめ、人的支援を要請するのを待っていたからだそうです。

これまでの大地震の教訓が、行政で一体どれだけ活かされたのか。早急な検証が必要なようです。

国による物資の支援についても、政府は90万食の発送を16日に指示したものの、結局、現場の人手不足により被災者にはなかなか届かないという惨状が、今回も繰り返されました。

東日本大震災を受けて行われた災害対策基本法改正により可能となった「プッシュ型支援」。被災地からの要請を待たず、国が物資を送り込むことができるようになったのですが、結局、被災者の一歩手前で物資は止まってしまいました。

支援拠点には水や食料が山積みにされ、付近には荷卸しを待つトラックの長い渋滞の列。近隣の被災者たちは、行政から何も連絡がないことにしびれを切らし、積み上げられた物資を自分たちの車に積んで運んで行きました。

地震発生から5日目の18日、熊本市の大西一史市長は「物資を仕分けるマンパワー不足」をツイッターで訴え、その結果、多くの民間ボランティアが支援拠点に駆け付けました。

被災した市町村が深刻な人手不足に陥り、被災者の生活再建が阻害される状況は、罹災証明書の発行手続きや支援物資の仕分けだけに限った話ではありません。

行政はもっと想像力をたくましくし、震災時に有効に機能するリアリティや実効性のある仕組み作りに取り組むとともに、緊急時にはとにかく迅速かつ柔軟な運用に努めてほしいものです。

連休が終わった今も、週末になると多くのボランティアの方々が被災地で汗を流しておられますが、私たち作新学院でも地震発生直後から支援金を募り、先週末その集計がまとまりました。

237万9750円という金額が、4月23日に実施した街頭募金と合わせて集められ、この支援金は日本赤十字社や地元の下野新聞社等を通し、被災された皆さんや自治体に届けられることになっています。

ご協力下さった皆様方、本当にありがとうございました。

実は先週、リオ五輪出場が決定した競泳の萩野公介選手が中学・高校を過ごした作新学院を訪問し、募金にも参加してくれました。

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昨年夏の右ひじ骨折という大怪我から完全復活を果たし、日本新記録をマークして五輪出場を決めた萩野選手。逆境に打ち勝った萩野選手のリオでの活躍が、復興に向けて頑張ってらっしゃる熊本・大分の方々の力となることを祈っています。

作新学院では今後も募金活動を継続するとともに、被災地の皆さんの心を少しでも癒したり、勇気づけたりできるよう、東日本大震災の時と同様に、子どもたちから被災地の学校に絵手紙などをお送りし、学校交流を進めていきたいと思っています。

学院のマスコット・キャラクター「さくしろう」も、くまモンとともに被災地支援に協力できたらと、学内でイラストも制作しました。

できることを、できる時に、できる限り―復興が叶うその日まで、ささやかではありますが息長い支援を、子どもたちと一緒に続けて行かれればと思っています。