遂にアフリカへ運動靴が到着! ~「アフリカ1万足プロジェクト」タンザニアからの報告

1万4,705足は、昨年11月末にアフリカ各地へと旅立ちましたが、一足早くタンザニアの「さくら女子中学校」に到着、生徒さんたちに履いてもらうことができました。

被災された熊本・大分の皆さんへ、支援物資をどうやって届けようかとバタバタしていたところ、全国の皆さんからご協力いただいた「アフリカ1万足プロジェクト」で回収された運動靴が、遂にアフリカの子どもたちに届いたという一報がタンザニアから到着しました!

靴が履けないアフリカの子どもたちに、日本で廃棄処分となった運動靴を集めて贈ろう、と始められたこのプロジェクト。作新学院の生徒たちにより足かけ3年をかけて集められた1万4,705足は、昨年11月末にアフリカ各地へと旅立ちましたが、一足早くタンザニアの「さくら女子中学校」に到着、生徒さんたちに履いてもらうことができました。

「さくら女子中学校」は日本からのODAと民間からの寄付により作られた全寮制の中学校で、キリマンジャロを臨むアルーシャ州パンガタ村に、今年1月23日に開校しました。私も微力ながら建設をサポートさせて頂いてきたので、真新しい制服姿の第一期生が、日本から贈られた運動靴を少しはにかみながらも嬉しそうに履いてくれている写真を見た瞬間には、込み上げてくるものがありました。

アフリカの多くの国々では、義務教育として女子が学校に通えるのは小学校までで、大半の女性が十代半ばで結婚をさせられ、沢山の子どもを産み、貧困の内に一生を終えます。

より高度な教育の機会を女子に与え、多産などによる貧困の連鎖を断ち切り、国を支える中核人材、あるいはリーダーとして育成してゆくことが、国や社会の繁栄や安定をもたらす―そんな先進国では至極当然のことが、発展途上国では社会的慣習や宗教的背景により今も実現を阻まれています。

日本の支援によりタンザニアに設立された「さくら女子中学校」で行われる教育の特色は、主に二つあります。

一つは、日本ならではの秩序ある生活習慣やきめ細かい心遣いを身に付けさせること。毎朝6:30起床で、ラジオ体操も行っているそうです。

また、ひな祭りなどの催事や折り紙などを通じて、日本の文化や習慣について理解を深めてもらっています。

二つ目は、高度な理科教育を実践すること。男尊女卑の激しいアフリカ社会で、男性と同等に社会で働ける知識やスキルを女性に身に付けさせるため、パソコン実習や理科教育に特化したカリキュラムは欠かせないそうです。

実験室を3室備えた理科棟と図書館は、日本の民間からの寄付により建設されました。

実は、さくら女子中で学ぶ生徒たちの学費(日本円で一人当たり12万円程度)の大半が、現在は民間からの支援で賄われています。教職員等の費用はJICAをはじめとした公的援助が得られているのですが、寮費や教材費などの学費は、民間の寄付で手当てしなければなりません。

そんなにお金がかかるのであれば自宅から通学すれば良いし、そもそも私立の女子中学校など作らず、男女共学の公立中学校に女子も通えば良いのではと思われるかもしれません。

日本では想像もできないことですが、現地では女子中学生ともなると学校内や通学途中にレイプされる危険性があり、自宅通学や男女共学が実施できないのです。

国情の違いとは言え、アフリカという地で女子教育を実現して行く上でのハードルの高さを実感します。

ハードルの高さと言えば、タンザニアに次いで4月15日に運動靴がドゥアラ港に到着したカメルーンでは、コンテナが首都ヤウンデまで到着してはいるのですが、ここで運動靴はまず国の教育省に引き渡されるとのこと。その供与式が5月初め頃になるそうで、実際に教育省から子どもたちへ運動靴が配布されるのは相当先になる見込みです。

今後カメルーンでは、テロ組織ボコハラムに蹂躙されているため国内避難民としての生活を余儀なくされている、北部の子どもたちを中心に運動靴を配布するとのことですが、1万5000足近くの運動靴を日本で回収し、一足ずつ洗って乾かし、サイズごとに仕分けして梱包しアフリカへ送付する以上に、アフリカ国内で現地の子どもたちに届けることの方がいかに難しいか、改めて痛感させられます。

そうした中、タンザニアのさくら女子中の皆さんに今回こんなにも早く、日本から運動靴を届けられたこと自体が、むしろ"奇跡"なのかもしれません。

回収や送付にご協力下さったすべての皆さんに、この場を借りて心から御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

作新学院では今後も粘り強く我慢強く、何があっても決して諦めることなく、アフリカへの支援を続けて参ります。残念ながら運動靴の回収は、これ以上の現地への送付が難しいことから実施しませんが、代わりに運動靴の回収で得たネットワークやノウハウを活かし、リコーダーなどの「楽器」を回収してアフリカの子どもたちに贈りたいと考えています。

いつの日か、アフリカに届いた楽器で演奏してもらった音源と、本学の吹奏楽部の生徒たちが演奏した音源を重ねYou Tubeに投稿したり、CDを製作しチャリティー販売したり、ネットを通じてセッションしたり、アフリカと日本を「音楽」でつなぐプロジェクトを、著名なアーティストの方々からのご協力も得て実現したいと企画中です。

まずは「熊本地震」への支援が第一ですが、「さくら女子中学校」へのご寄付をはじめアフリカ支援へのご協力も、どうぞ息長くよろしくお願いいたします。

※「さくら女子中学校」に関するお問い合わせ等は、ホームページ[ http://sakura-project.info/ ]をご覧いただけると幸いです。

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