就活してない就職希望者、沖縄と首都圏の違い

沖縄では仕事を失っても、ひとのつながりは失われず、自宅にひきこもりがちになるとは言い切れない。

平成26年度沖縄市若年者雇用対策事業の一貫で行われた「若年者就労等対策調査報告」が公開された。

※Evernoteに貼付されており、リンクがうまく表示されなかったため貼付先のNPO法人キャリア・サポート・ネットおきなわのfacebookページをリンク先にしている。

株式会社琉球人材派遣センターNPO法人キャリア・サポート・ネットおきなわがコンソーシアムを組んで行った調査だ。認定NPO法人育て上げネット立命館大学(西田亮介立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授)による「若年無業者白書-その実態と社会経済構造分析-」が主に都市部の若年無業者の分析をしていることから、沖縄との差異・地域性を明らかにしたいということで協力した。

若年無業者3類型と各調査の定義

それぞれの類型のなかで、顕著な違いを見て取れるのが「非求職型」である。就職を希望しているが、具体的な就職活動を行っていない若者であるが、例えば、「日々の過ごし方」では、都市部の非求職型の若者の約60%が自宅で過ごしているのに対し、沖縄では40%弱しかいない。60%近くの若者が一人または友人らと外出をしている。

また、首都圏の非求職型お若者は、40%近くが学生時代にアルバイトを経験している一方、沖縄では80%以上がアルバイトを経験している。就職を希望していない若者であっても、60%以上がアルバイトを経験している。

そして何より大きな差異は人間関係にある。仕事をしていない状態であっても、沖縄の若者は70%以上、非求職型は90%以上が相談のできる友人がいると回答しているが、首都圏では半数以下(求職型は約66%)である。

仕事を失うと、人間関係を喪失しやすく、自宅にひきこもりがちになるというのは、かなり一般的に認知されていると感じており、首都圏の無業の若者の調査でも、その通りであった。しかし、沖縄ではかなり実情が異なる。仕事を失ってもひとのつながりは失われず、自宅にひきこもりがちになるとは言い切れない。

その他、さまざまな比較調査などが行われているが、これだけ差異が明確になれば全国一律に同じ枠組み/仕様書のもとでの対応は適切とは言い切れず、個々人はもとより、地域の特徴に合わせた柔軟なサポートが求められる。これまでも同じようなことは言われてきたが、この調査報告書を見る限り、ほとんどデータのない若年無業者については、全国規模の詳細な調査をしっかり行い、政策や制度の議論を行っていくべきではないか。

研究予算の獲得が非常に難しいと思われるが、支援現場としてもできるだけ協力をしたく、若者分野を研究フィールドにされている研究者のみなさまにはより一層の詳細な研究分析を期待する。

今回の沖縄と首都圏の比較調査など、公式な調査ではない民間調査であっても、その利活用に発展性があることがわかった。現在、第二弾の若年無業者白書の制作に向けて資金調達を行っており、政府による大規模調査実施につながる試金石としていきたい。

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