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里親制度について基本的なことを調べてみた。

2013年11月27日 01時54分 JST | 更新 2014年01月26日 19時12分 JST

今年度より、PHILIP MORRIS INTERNATIONALが取り組んでいる「PMJフォスターファミリー奨学助成」に関わらせていただくことになりました。

虐待などさまざまな事由により、実親と暮らすことができず、里親の下で養育されている子どもたちへ、自立支援の一環として、進学する際に必要となる学費の一部を助成するものです。

若者の就労・自立支援に取り組むなかで、里親という言葉はおぼろげながら知っていたものの、恥ずかしながらその制度や概要については不勉強でした。今回の関わりで里親制度を支える方々との情報交換や、里親のもとで暮らしており、進学を希望している子どもたちの実情に触れ、改めてその制度について基本的なことを調べてみました。

既に里親制度を支えていらっしゃる方々にとっては大変基本的なことで恐縮です。今後は自身の活動範囲ということで深く勉強をしていきますが、まずは厚労省サイトから得られた情報を抜粋していきます。

以下の情報の大半は、ここがソースになります。

・厚生労働省「里親制度について

・厚生労働省「社会的養護の充実

・厚生労働省「社会的養護の現状について(参考資料)

里親制度とは:

里親制度は、何らかの事情により家庭での養育が困難または受けられなくなった子どもたちに"暖かい愛情と正しい理解を持った家庭環境のもとで養育を提供する制度となっています。

里親委託の役割:

・里親家庭に子どもを委託することにより、特定の大人との愛着関係のもとでの養育を通じて、安心感を提供し、自己肯定感を育みます。対人関係の土台ともなる他者への信頼感を獲得します。

・里親家庭に入ることで、家族それぞれのライフサイクルにおけるありようを学び、将来、家庭生活を築くうえでのモデルとする。

・家庭生活のなかで関係性を学びつつ、身近な地域社会のなかで必要な社会性を養うとともに、豊かな生活経験を通じて生活技術を獲得する。

ことを担います。逆に考えれば、家庭での養育のもとにない場合には、これらを身に付けたり、獲得することがとても難しくなっていくことであり、社会的に考えれば当然「投資」的な制度だと思います。

里親制度4類型 :

里親制度には、要保護児童を養育する「養育里親」。虐待を受けたり非行等の問題を抱える、障がいなど有する児童は「専門里親」が養育します。養子縁組を希望される里親は「養子縁組希望里親」に分類されます。

その他、要保護児童において親族里親に扶養義務があったり、両親が亡くなる、行方不明になる、拘禁や入院という状態となり、養育ができないときには「親族里親」が養育します。

上記4類型がありますが、それぞれの里親家庭には手当てなどが支給されています。

要保護児童を取り巻く社会的養護のカタチ:

要保護児童の養育にあたっては里親以外にもさまざまな形があります。大きくわけると、「乳児院および児童養護施設」「小規模グループケア」「地域小規模児童養護施設(グループホーム)」「小規模住居型児童養護事業(ファミリーホーム)」そして「里親」です。

厚労省の資料によると、乳児院や児童養護施設から里親という形に従って"より家庭的な養育環境"と位置づけているようです。

その他にも、児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)があり養護施設などを退所した後、就職する児童などが共同生活を営む住居のもとで自立支援を行うようで、平成24年度は99ヶ所であったものを平成26年度には160ヶ所に拡充する目標を立てています。

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社会的養護の現状について(参考資料)

高校生や大学生の就職状況が取りざたされますが、養護施設を退所してすぐに安定的な就職をすることが難しくなっている、または、過去よりも複雑な問題や課題を抱えている子どもたちが増えている可能性が示唆されます。

特に、養育環境にないということは、基本的には18歳を超えたところで、完全自立が求められます。制度だから仕方がないということではなく、自立までの一定期間、18歳を超えても社会的に支援していくことが重要だというもので、私は拡充に賛成します。

ただ、内実は素人でわからないため、拡充(受け皿)は必要であるがそのコンテンツも整えていくことが大切です。言うまでもありません。

このような制度の拡充で重要なのは、国民の合意や応援でありその意味で基本的な制度を知らなかったことは恥ずべきではありますが質の伴った制度拡充に対して、理解ある大人の発言や行動が重要です。

私たちの役割です。

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社会的養護の現状について(参考資料)

上図は、進学と就職の状況です。高校進学率はかなり高くなっていますが高校卒業後の進路は一般の進学率と比較して著しく低くなっています。すべての高卒者の大学、短大、専門学校などへの進学は80%に迫るなか児童養護施設児の進学率は10%-20%です。

「PMJフォスターファミリー奨学助成」はまさにここへの奨学金を提供する活動ですが、奨学金の申請は学生支援機構のみならず知らなかったものが多数記載してありました。どれが欠けても進学および自活は厳しいですが、それぞれが掲げたアルバイトで稼ぐ月額も10万円前後と稼げたらいいのではなく、稼がなければならないというものです。

PMJは給付型ですが、そうでない場合は卒業後の返済となります。奨学金の問題が取り沙汰されていますが、彼ら・彼女らのことも念頭に入れて議論したいところです。

18歳以降の「措置延長」について:

児童福祉法において、児童は18歳未満と定義されます。しかし、児童養護施設や里親については、必要な場合20歳未満まで措置延長が可能となります。

実際の運用は、18歳の年度末(高校卒業時点)で、就職や進学などにより児童養護施設を退所するケースが多く、19歳で退所する児童は1割以下となっています。

平成23年12月には厚労省から措置延長を積極的活用を図る通知が各所にあったようです。

ただ、深くは調べていませんが、先日の情報交換の機会でも、措置延長の申請が断られるケースは多々あるようです。なぜ断られたのか。どういうケースは断られないのかはこれからの宿題ですが、積極的活用の通知が出されても、現場ではさまざまな課題があるものと推察されます。

里親になる場合の制度ももちろん整備されており、社会的養護の現状について(参考資料)こちらにわかりやすく解説されています。本来は制度設計の運用面にスポットをあて、個別のケースを見ていくべきですが、それぞれの事例やケースを見ることと、そもそも制度がどうなっているのかなど基本的な情報は両輪です。ここではまずその基本的な制度を勉強がてら書いてみました。

その他、里親等の委託率の推移なども上記の資料にあります。委託率の低さや、自治体ごとのバラつきも大きく、そしてその背景には里親委託が進まない課題があります。こちらも引き続き、調べていきたいと思います。

若者支援の現場では、「里親」「児童養護施設」を退所された若者も来られています。目の前の若者に、支援を始める段階でそこまで踏み込んできていませんが、中長期の関わりのなかで、若者自身から出てくることはあります。育て上げネットのデータベースでも少しみてみたいと考えています。

若年無業者の問題と類似していると思うのですが、あまり知られていない制度、および社会課題の多くは、地域や一部の支援者などが地道に現場で関わってきた一方、詳細な調査、特に母数あるデータなどは積み上げられていません。

これは現場でどうなる問題ではなく(そもそも一ヶ所の母数が少ない)やはり国なり自治体なりが率先してトピックにあげてほしいと思います。個人のプライバシーに深く入るものですから、民間では限界があります。

(※この記事は、2013年11月26日の「若者と社会をつなぐ支援NPO/ 育て上げネット理事長工藤啓のBlog」から転載しました)