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(相対的貧困の一端)子どもが経験をするということ

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kamakura

こんなニュースが流れました。

「子供の貧困が分からない」という投稿が物議 「相対的貧困」を実感することの難しさ
キャリコネニュース

食うや食わずというような絶対的貧困とは異なり、「それなりの生活をしているのでは」というのが理解を難しく、想像力のおよびずらい範囲なのかもしれません。

育て上げネットに通う子どもたちからひとつの提案がありました。それは、学習スペースに通う仲間と「卒業旅行に行きたい!」というものです。

単純に卒業するから思い出作りということもありますが、その理由として子どもたちから「修学旅行に行けなかった」「学校によい思い出がない」という話がありました。また、卒業という人生の区切りにおいて、特に家庭で何か、ささやかであっても、特別なことはないようです。

いくらくらい必要なの?と聞くと、鎌倉に日帰り旅行で2万円弱ということでした。子どもたちと担当スタッフがカレーを作り、職員がそれを寄付的購入をすることになりました。管理職会議にあててきたのは、子どもたちなりの戦略のようです(笑)

結果、32,000円が集まり、子どもたちは”もう一つの卒業旅行”を楽しんだようです。その報告が写真です。

そこには当日のスケジュールや会計報告があり、それぞれの感想が書かれています(一部)。写真の「名前」はHNです。

いくつか紹介をすると、

「今回、鎌倉に行って歴史の教科書に出てきた古い神社や大きな大仏を実際に見ることができてとてもよい経験になりました。また、銭洗弁財天でお金を洗ったり江ノ電に乗ったりと、とても楽しい思い出ができました。ありがとうございました」(宗政)


「鎌倉・江の島へ行く前は楽しめるか不安だったけど、計画を立てていくうちにだんだんと行くのが楽しみになってきて、いざ行ってみると自分が思っていた以上に楽しめました。日常生活の中では体験できないようなことをたくさんできました。海では走りまわったりして、みんなで面白い写真をとることができました。また私は大仏を初めてみたのですが近くでみると迫力がすごくて圧倒されました。高校を卒業する前に学習スペースで過ごすメンバーと一緒に鎌倉・江の島へ行けて、すごく楽しかったし、良かったです」(頼朝さん)


「鎌倉は街の雰囲気や建造物に圧倒されました。いままで高徳院の大仏の体内に入ることができることを知らず、より近くで鑑賞することで、人類の歴史というものを強く感じました。一人ではなかなか行く機会がないので、今回皆で行くことができ、とても良い思い出になりました。ありがとうございました」(寧々)


その他、寄付の御礼や、今度は泊まりで旅行に行ってみたいなど、子どもらしい希望も書かれています。

旅行の有無や、みんなで学校外で遊びに行けないことが、相対的貧困とイコールではありませんが、上記の感想にある学びや経験、「皆」や「初めて」というキーワードが、まさに経験不足として蓄積されていくのが、子どもたちに共通するもののひとつです。

学習支援もとても重要ですが、それと同じくらい、多くの人が当たり前に経験をしていることを経験する、ということの積み重ねも、子どもたちの育みには不可欠であると考えます。サマーキャンプ、Jリーグ観戦、企業訪問、食事支援、今回の卒業旅行などを行っていますが、学習支援と合わせて、これからも寄付者の方々や企業の皆様のご理解のもと、子どもたちに機会を提供していきます。

ある高校進学が決まった子どもが、私は「育て上げネット6年生」と言ってました。小学校四年生からかかわっていますが、子どもとかかわるというのは長い時間を要するものだと感じています。

(2017年3月22日「若者と社会をつなぐ支援NPO/ 育て上げネット理事長工藤啓のBlog」より転載)