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若者への健康支援と臨床心理士の言葉

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昨日、ケアプロ株式会社、東京大学との協働プロジェクトについてプレスリリースを行いました。

無業の若者 所属と収入なく健診受けず -若者無業者への健康支援をヘルスケアベンチャーとNPOで提供開始- 

本日の日経新聞朝刊でも協働プロジェクトについて記事掲載いただきました。

6月15日/6月22日に予定しているプロジェクト実施、健康チェックと保健指導の導入に先立ち、少しでも不安や疑問を解消するため、本日事前セミナーを開催しました。

会場は満員となり、就労支援プログラムを利用する若者とスタッフ約40名が参加しました。予想外の熱気に驚きましたが、それ以上に、「健康」に関心のある若者が多く、事前にご家族の方々にも当該プロジェクトについてアナウンスしておりますが、健康状態の確認についてたくさんの感謝の言葉をいただきました。

身体の状態について確認する機会は、若者自身のみならず、ご家族にとっても小さくない関心事項であることがわかりました。

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当初は、生活習慣病についての基本的なインプットをお願いしていましたが、参加した若者のなかに看護師や栄養士を目指される可能性も十分にあるということで、ケアプロ株式会社の設立経緯、ビジョン・ミッション、活動について川添社長に説明していただきました。

その後、生活習慣病について、また、日常生活で気を付けるポイントなどを簡潔に伝えていただいたのですが、川添さんの話は粛々と、静かに、穏やかであるにもかかわらず、会場が笑いに包まれるという、なかなかない体験し得ない空間となりました。

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ひとつの傾向として、ワークショップや講座で質疑を取ると、なかなか手があがらないことが多いため、最初のきっかけをスタッフが挙手で作ったりします。しかし、今回は会場参加者の挙手が止まらず、また、食事、お酒、たばこなど、自身の生活と生活習慣病の質問から、体調不良を改善するための具体的な食事など、質問が止まりません。

川添社長のブログに受けた質問が細かく紹介されています。
・若者無業者への健康支援キックオフ!

これほどまで健康に関心があるのかと驚かされる一方、質問を聞いていても、普段の生活でなかなか直接専門家に質問ができる機会がないことに気がつきました。もちろん、検索して調べることはできますが、目の前に看護師や栄養士の方がいらっしゃって、個人的なことを尋ねられる場の大切さを改めて感じました。解散後も個人的に質問している若者の姿も。

ケアプロ社の健康チェックは、自らが簡易な採血をして、健康状態を調べるものです。つまり、小さな針を自分で指します。本当に痛いのか。どれくらい痛いのか。自分でさせるだろうか、という懸念を払しょくすべく、スタッフが全員の前で体験することに。

この機材は本当に小さく、針はもちろんですが、機材そのものも、後ろに座ると確認が難しいほどです。

スタッフ自身もどれくらい痛いのかわからず、周囲で観ていても「いついくのか」「リアクションはどうなのか」を見守ります。

そして、「そろそろだろう」と会場が思い始める前に、「終わりました」の一言。会場一同「え?」と。

「痛みは?」には、「まったく……」。

そうですか。痛みの有無よりは、リアクションに期待が高まっていたのか、なんとなく静かに。

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そして指ににじむくらいの血をチェッカーに。周囲の期待をよそに、あっさりと本人の健康が確認され終了しました。

今回のプロジェクトでは、血糖値、BMI、血圧を測定します。保健指導と生活上で工夫できること、改善項目の助言もいただきます。

終了後、臨床心理士の資格を持つスタッフと話をして、なるほどと思いました。それは、若者支援に限りませんが、支援機関においては「こころの相談」のように、臨床心理士等が心理面、メンタルヘルスの分野からかかわることがとても増えました。

相談者のなかには、頭痛や肩こり、倦怠感、痛みなどを訴えることもあり、その原因が本当に「こころ」の問題であるのかどうかを確認する手段がいるのですが、今回のような健康チェックがあると、それらの痛みなどが身体的な何かに起因するかどうかが把握できるため、仮に身体的なものであれば病院で検査、必要に応じて治療という流れが決まりますし、そうでない場合は、臨床心理士としてしっかりと対応がしやすくなる、というものでした。

もちろん、心身どちらも不調ということもあるでしょうが、少なくとも、いま拡充してきているこころの相談、メンタルヘルス・ケアの専門家から見たとき、今回のような身体面の健康チェックがあることはかなり重要であり、相談者にとっての自己把握や安心につながるのではないかということでした。

今後、就労支援プログラムでは健康チェックと保健指導を実装、継続していきますが、それ以外の場所や個人に対しても機会を提供していけるよう努力します。

(2016年6月01日「若者と社会をつなぐ支援NPO/ 育て上げネット理事長工藤啓のBlog」より転載)