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竹内健 Headshot

IoTで儲けるという幻想

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最近、IoT(Internet of Things)、AIが大流行ですね。

IoTは「モノのインターネット」と呼ばれるように、社会の至るとこに設置されたセンサが膨大なデータを収集し、インターネットを通じてデータをデータセンタに送る。

データセンタではAIなどを使ってデータを解析し、解析結果を再び現実世界にフィードバック(アクチュエート)することで、インフラ・サービス・製造までも効率化するのが狙いです。

スマホの成長が鈍化している現在では、IoTはエレクトロニクス、通信、ITなどの産業にとっては期待の星、と言えるかもしれません。

ただ、猫も杓子も「わが社はIoTで儲けます」というのは、違和感を感じます。

特に日本の電機メーカーの多くは半導体から撤退を余儀なくされたため、センサを作るというハードビジネスに賭けようとしているようにも感じます。

センサは重要な部品・技術ですが、センサだけ、部品の売り切り商売で大きな収益をあげることは、おそらく難しいのではないでしょうか。

IoTでのビジネスモデルは、センサのようなデバイス自体で儲けるよりも、普及を促進するためにセンサは極めて安く売る。

そして、センサが集めたデータの解析し、現実世界へ「こうした方が良いですよ」とフィードバック(推奨)するようなサービス、コンサルティング事業で儲けるビジネスモデルではないでしょうか。

すでに車載のレーダーでは世界トップの4割もの市場シェアを持つコンチネンタルはハードの部品販売だけではこれからは厳しいと判断。ソフトのエンジニアを大量に採用し、システムインテグレーターへと脱皮しようとしています。

インダストリアル・インターネットを提唱するGEがソフトウェアを強化し、製造業からサービス業へ転換しようとしているのも同じような文脈でしょう。

さて一方、日本はどうでしょうか。

メーカーの中には、「トリリオンセンサー(一兆個以上のセンサ)」の市場ができれば、部品売りでこれだけ儲かる、と仰る方が少なからずいます。

この風景、どこかで見たことがあると過去を振り返ると、10年位前に、SoC(システムLSI)が流行になった時も似ていました。

アナログ、デジタル、センサ、メモリなど多くの機能を一つのLSIに実装すればきっと儲かるだろう。しっかりしたビジネスモデルを打ち立てることなく、何となくの期待感で、日本の大手電機メーカーの多くが突き進んだように見えました。

結局のところ、SoCは部品単体のビジネスでは、大きなマージンを得ることができませんでした。

ハード屋、部品屋の発想から抜け出せず、日本企業のシステムLSIからの撤退が相次ぎ、今でも残っている企業はわずかです。

今のIoTは儲かる、という風潮は、かつて日本の電機メーカーがSoCで辿った道と似ているように感じます。。

政府もIoT・AIに注力するとのことですが、技術開発だけでなく、ビジネスモデルもしっかり考えている事業者を応援して欲しいものです。

(2016年5月11日「竹内研究室の日記」より転載)