就活もいよいよ正念場、面接ですね。でも、本当にヤバイのは、面接官のオジサン世代ではないかな。

就活で何だかなあ・・・と思うのは、学生を審査する企業のオジサンは、学生に何か言えるのかな、ということ。

いよいよ就活も本格化。各社ごとに微妙に違うエントリーシートを書いて、ジョブマッチング、度重なる面接やプレゼン・・・今どきの就活は本当に大変です。

自分を振り返ると、私が東芝に入社したのは1993年ですから経済バブルが崩壊したころ。長銀や山一證券など大手の金融機関が潰れだしていたと思いますが、電機メーカーは磐石・・・と少なくとも自分には思えた時代でした。

電機メーカーへの就職は引く手あまたで、今の学生のような厳しいセレクションを経て入社したとはとても言えません。

いつの時代も若者は叩かれるものですが、今の就活は間違いなく自分の頃より遥かに大変です。

そんな厳しい就活の良い面をあえて見出すと、就活を経て学生は鍛えられ、確かに成長していく。

就活する学生は、面接で落ちてしまったら自信を失ってしまうこともあるでしょう。でも、人が人を選ぶわけで、偶然や相性も大きいから、過度に気にする必要はありません。

それに「選んでいる人」こそ、大丈夫か?、と私は思ってしまいます。

就活で何だかなあ・・・と思うのは、学生を審査する企業のオジサンは、学生に何か言えるのかな、ということ。

ちょうど管理職として採用を決めているのは、私の世代の前後の人たち。

自分は楽して入社して、同じ会社に留まっていて、学生に偉そうなことを言える分際なのか・・・私はとてもそんなこと言えないと思います。

むしろ、(社会状況が全く違うので仕方ないのでしょうが)学生たちは良く頑張っている、と感心してしまいます。

自分がもし企業の管理職をやっていたら、凄い自己嫌悪になるだろうと思います。

楽して入社できた自分たちが、就活で頑張っている若者を落とさざるを得ない。ここにも世代間の格差がある。

同じように感じている企業の方も多いのでしょう。仕事でご一緒する企業の管理職の方には、「もし今自分が学生だったら、この会社に入れていませんよ」と言われる方も多いのです。

学生は就活はつらいかもしれませんが、こういう状況でむしろヤバイのは学生よりも、私のようなオジサン世代ではないか。

私自身も全く他人事ではない。

自分のことを客観的に見れている人はまだ良いのでしょうが、新卒で入社してから同じ会社一筋のオジサンには、結構、偏ってる方も多い。

それで定年まで勤め上げることができれば幸運でしょうが、突然事業が傾いてリストラされることも珍しくない。

中高年の転職は厳しいです。

仕事探しに関しては、より厳しい環境で鍛えられている上に、「若い」という売りがある下の世代と競争しなければいけないのですから。

更に、実は大企業にずっと居続けたオジサンこそ、リストラされた時にまともな履歴書を書けない方が多いのです。

昔はそれでも入社できたし、同じ会社に居ると自己アピールのトレーニングの機会もさほど無いでしょう。

あれだけ採用のときに学生のエントリーシートを見ていながら、なぜ自分の履歴書が書けないのか。

やはり当事者として差し迫った立場にならないと難しいのでしょうね。

結局のところ、労働市場の相対的な関係では競争力が低いオジサンが、競争力が高い学生の採用を決めるという現状は、年功序列という歪んだ労働市場が作り出した悲劇であり、喜劇。

ですから就活で落とされた学生は過度に悲観しないで欲しい。

採用する方だって人間だし、しかも自分の世代の様に、バブルの時代に楽して入社できて、その後日本をダメにしていった人達だから。

若者をけなす前に、本当は自分たちこそが反省しなければいけません。そんな人達に学生は評価されている、という現実があります。

そして、実は若者の方が、大企業の管理職のオジサンよりも労働市場で競争力があります。

本当にヤバイのは、自分の様に楽して入社できたオジサンと、そんな人が管理職をやってる企業の方でしょう。

(2016年5月7日「竹内研究室の日記」より転載)

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