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理系が経営を学ぶ時代に、文系はどうすれば生き残れるのか

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シリコンバレーにあるスタンフォード大学のMBAコースに私が留学したのは、随分前、15年前になります。

MBAで驚いたことはたくさんあるのですが、最初に驚いたのは学生の出身学部の過半数が工学部など理系であること。

自己紹介で「私はエンジニアをやっていて・・・」と私が言うと日本では、「えー、なぜエンジニアがMBAですか?」という反応をされましたが、スタンフォードでは「自分もそうだ」と言う人が多くいたのです。

当時、日本では理系でエンジニアになったら、一生、エンジニアとして仕事をするもの、とされていたと思います。今でもそうかもしれません。

理系学部でも卒業する時に金融機関などに就職する、いわゆる「文系就職」する人は居ましたが、キャリアの途中でMBAに行く人は極めて少数でした。

MBAは経営大学院 修士課程ですから、学生は学部を卒業してから数年間働いてから再び経営について学ぶためにMBAに入学してきます。

工学部などのいわゆる理系学部を卒業した人は、数年間エンジニアとして働き、マネジメントに転向するため、キャリアチェンジの機会としてMBAに来ていた人が多かった。

1/20に出版した著書「10年後、生き残る理系の条件」で理系に新たに必要なのは「文系力」と書きましたが、そんなことは15年前のシリコンバレーでは当たり前だったのです。

ITの急激な進化を見るまでもなく、多くの産業では技術がイノベーションを牽引します。

以前は古い産業とされ、最先端技術と無縁と思われがちだった第一次産業でも、IoTと言われるようにITによってデータを活用して最適化をはかるようになりました。

このように多くの産業では技術がイノベーションを牽引するのですから、経営者が技術を深く理解することは必要です。

理系学部を出た人材が最初はエンジニアとしてキャリアを始め、経営を学んでマネジメントもするようになるのは必然とも言えるでしょう。

一方、日本はどうでしょうか。自分が本を出しておきながら申し訳ないですが、シリコンバレーでは15年前でさえも、MBAの過半数が理系だったことと比べると、今頃「理系も文系力をつけよう」などと言う事自体が、はなはだ時代遅れです。

さて、技術者が経営を当たり前のように学ぶ時代に、文系はどうやって生き残るのでしょうか。

実はこの本の想定している読者は理系だけではありません。文系はどうやれば生き残れるのか。

答えは明確で、理系が文系力をつけるならば、文系は技術を理解できるようにする。

文系の方も、技術を大雑把に理解したり、技術者と会話できることが必要になります。

こうして、文系・理系が相互に進入し、文理を分けること自体が時代遅れになるようになるのが本書の究極の目標です。

では具体的に、文系の学生は何をすべきか。

総合大学でも文系、理系でキャンパスが違ったりして、文理の学生間の交流はそんなに頻繁ではありません。

例えば、私が所属する中央大学では、文系は多摩キャンパス、理系は後楽園キャンパスです。

文系の学生は文系だけで固まらず、ぜひ理系の学生を捕まえて起業に結びつくような技術の種を発掘して下さい。

そして、理系を利用することで、ビジネスを作るくらいの姿勢で頑張って下さい。

実はこれは私が留学した時に、スタンフォード大学で行われていたことなのです。

文系学生と理系学生が「お見合い」して知り合い、起業させるようなコンテストが頻繁に行われていました。

そういう時に積極的なのは文系の人です。

多くのイノベーションは技術をきっかけに起こりますので、起業の種を持っているのは理系。

尖がった技術を持った理系の学生を見つけ、文系が技術アイデアを実際のビジネスに結びつける。

文系の学生がアイデアを持った理系の学生を物色し、つかまえる(リクルートする)という感じでした。

そして、実際に起業したら、CEOになるのは文系で、理系はCTOやChief Scientistという役割分担になります。

銀行出身の三木谷さんと技術者の本城さんが出会うことで、楽天が生まれ発展したというのも、そのような例なのでしょう。

今の日本では、理系は理系だけ、文系は文系だけで固まって、なかなかチームを作る機会も少ないのはもったいないことです。

環境の変化も理系と文系のコラボレーションを後押ししています。

理系が経営を学んで文系の領域に踏み込む一方、今まで参入障壁が高かったモノづくりでさえも、ファブレスで設計・製造委託を使えば以前に比べれば簡単にモノが作れるようになりました。

つまり、文系にとっては、理系の領域に踏みめるようになってきたのです。

全く技術がわからないとさすがにダメですが、文系でも製造業に参入しやすくなったと言えるでしょう。

こうして理系・文系が相互浸入して混沌とする中で新しい製品・サービスが生まれる。

その結果、理系、文系という言葉が死語になるくらい融合が進めば良いのですが。

(2016年1月23日「竹内研究室の日記」より転載)

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