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シリーズ:「集団的自衛権」を考える・・・(1)「限定容認」か?「個別的自衛権の解釈適正化」か?

2014年04月14日 14時19分 JST

 「集団的自衛権」をめぐる議論が喧(かまびす)しい。我が結いの党の立場は、国民の生命・財産を守る、領土・領空・領海を守る、さらには日米同盟の効果的運用を図るという観点から、具体的に何が支障となっているのか、何が必要とされているのか、現実の事例、ケースに即して検討されるべきというものだ。現在、賛否両論の立場から識者を招き、党内で鋭意、勉強会を重ねているところで、今、結論を出しているわけではない。

 この問題は、ゆめゆめ「普通の国論」「一人前の国論」といった観念論や、「米国が言うから」といった「米国追従論」(外務省や元外務官僚に多い)で論じてはならない。また、自民党政権も含め、何十年も営々と築き上げられてきた政府の憲法(公権)解釈を変更するのなら、それは、戦後の安全保障政策の大転換を意味するし、解釈改憲で認めれば、では次の違う内閣になればまた否定できるのかという、安全保障の根幹に関わる問題が内閣ごとに左右されるという問題もあるので、色々な角度、総合的な視点から、慎重に深く、「始めに結論ありき」ではなく議論されなければならない。これが、私が「ルビコン川を渡るのは慎重に」と言っている趣旨だ。どこの世界にルビコン川を堂々と渡る御仁がいるのか。

 そういう中で、最近、この集団的自衛権を限定的に容認しようという動き、考え方が出てきた。政府の安保法制懇の「北岡5原則」や自民党内の「高村案」、先般、日本維新の会から出された「6要件」などがそれだ。いずれにせよ、こうした案についても検討の俎上に載せて、現実具体的なケースに即して、我が党として議論していくことに変わりはない。

 重要なのは「自衛権の範囲」、今憲法で認められている「自衛のために必要最小限の範囲」とは何かを精査していくことだ。何度も言うが、国民の生命・財産を守る、領土・領空・領海を守る、更には日米同盟を効果的に運用する、そういった観点から、今何が具体的に支障になっているのか、必要とされているのか、そういった具体的なケースを摘出した上で、それが従来の憲法解釈の範疇で説明できるものなのか、それとも一歩踏み出して集団的自衛権の範疇でなければ説明できないものなのか、そういった議論をじっくりしていくべきだと考えている。空理空論は慎むべきだ。

 その際、私は、従来の「個別的自衛権」の解釈の変更はあり得べしという立場だ。「法律を知っている人間は軍事の現場を知らない」、逆に「軍事の現場を知っている人間は法律を知らない」。これは、近時飛躍的に発展したインターネット、情報技術の世界でもそうだが、文系と理系の壁と言うか、なかなか法律家の頭が、思考が、現実に追いつかないという問題でもある。

 内閣法制局がその典型で、まさに「法律を知っている人間は軍事の現場を知らない」ことから、軍事の常識や現場感覚からはおよそかけ離れた、杓子定規な、現実離れした解釈が、これまでされてきたことも事実だろう。そうした解釈を「適正化」する、個別的自衛権の範囲を現実に合わせる、といったことは少なくとも許されるのではないか。また、察官職務執行法第7条の規定を準用して、自衛隊が「他人に対する防護」のための武器使用ができるようにする道もある。

 例えば、米国を狙った北朝鮮のミサイルが日本上空を横切る場合、いやしくも日本に危害が及ぶ可能性がある以上、「個別的自衛権」の行使で撃ち落とせると解することもできる。PKO活動における「駆けつけ警護」も、警察官職務執行法第7条の規定を準用して対処することも可能ではないか。米艦防護も、すくなくとも日本海で日本防衛や「周辺事態」対処のために出動した米艦船であれば、その場合は日本の米軍基地、日本そのものへの危害が及ぶ事態になっているだろうから、これも「個別的自衛権」の行使でできるとも解せる。こうした「知恵」を出していくべきだと言っているのだ。

 内閣法制局も、私に言わせれば「頑な」だけだったわけではない。時々の政権の要請に応じて、「武力行使一体化論」や「非戦闘地域」という概念を持ち出して、ギリギリのところを認めてきた。いわば、法制局も含め歴代内閣は、安全保障環境の変化に応じて、「生活の知恵」「政治の知恵」というものを出してきたのだ。周辺事態法の「そのまま放置すれば、日本に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等日本周辺の地域における日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態」という要件もそうだし、アフガン戦争における米艦船等への給油活動も、それが米国の「自衛戦争」であったにもかかわらず、「後方支援」ということで合憲化した。今回もそうした知恵を出してもなお、集団的自衛権」に踏み込まなければならないのかが、慎重に検討されなければならない。

 世論調査をみれば、今でも、過半数の国民が「集団的自衛権の行使」に反対だ。日頃なじみがなく、難解で理解しにくいという事情もあるかもしれないが、何かおどろおどろしい「集団的自衛権の行使」に生理的な恐怖感、嫌悪感を持っているということだろう。そうしたことにも配慮して、こうした国の根幹にかかわる政策には国民的理解を得ていかなければならない。この局面でも「政治の知恵」を出すことが強く求められているのだ。

 いずれにせよ、外交や安全保障に一義的に責任を有するのは政権・与党だ。その政権与党、安倍政権ですら、いつ結論を出すかわからない、「今国会中だ」いや「国会中は難しい」といった状況の中で、我々のような野党が先んじて結論を急ぐ必要はない。ただ、安倍政権がこの問題について方針を決めるような段階に至った時には、我が党としてもきちんと、その方向性、結論は出さなければならないと思う。

(2014年3月11日の江田憲司.net「今週の直言」より転載)

南スーダンでの自衛隊の国際平和協力活動(PKO)画像集