Huffpost Japan
ブログ

ハフポストの言論空間を作るブロガーより、新しい視点とリアルタイムの分析をお届けします

高橋謙造 Headshot

麻疹(はしか)感染に注意! 疑わしくても慌てないで、周囲に拡げないで

投稿日: 更新:
印刷

キーメッセージ


1)幕張メッセで8/14に開催されたジャスティン・ビーバーコンサートに麻疹(はしか)を発症している患者さんがいた事が確認されました。

2)麻疹は空気感染しますので、会場にいた方は感染している可能性があります。過去に麻疹に感染した事がない方、あるいは麻疹ワクチンを接種していない方は感染している可能性が考えられます。」

3)もし、発熱、発疹等の症状が出現した場合には、あらかじめ医療機関に電話連絡の上受診して下さい。受診の際には、公共交通機関等は使用せず、人の集まる場所(スーパー、コンビニ、ファーストフード店等)には行かないで下さい。

帝京大学公衆衛生学研究科の高橋謙造と申します。

今回、幕張メッセでのコンサートにて、麻疹患者さんの発生が確認されました。感染の拡大が懸念されますので、麻疹予防に携わる一医療者、一小児科医として情報をお伝えします。今回は、麻疹の特徴説明(症状、治療、予防など)は後回しにして、まず対応に必要と考えられる事項についてご説明します。

1.経緯のご説明(公開されている情報に基づきます)


・10代の男性(麻疹ワクチン接種歴なし)が、インドネシアにて感染。8/9より発熱。

発疹が出現していたが、8/13ー15に上京(東京、神奈川を訪問との事)

8/14に幕張メッセのジャスティン・ビーバーコンサートに参加。

8/19に麻疹の診断が確定。

公開されている情報では、場所の移動手段は明確にされていません。

2.感染可能性は?


・麻疹は空気感染(飛沫核感染といいます)しますので、同じ場所(特に電車、バスなどの密閉空間)にいた場合には感染の可能性が高まります。また、コンサートで大声を上げたりしていた場合には麻疹ウイルスが拡散される可能性も高まります。

・免疫をもっていない方(ワクチン接種歴なし、あるいは過去の感染歴なし) いわゆる免疫を持っていない方が麻疹ウイルスに感染すると、発症の可能性は情報源にもよりますが90~100%程度になります。

3.ご注意頂きたい方々


・感染可能性のある方々は、麻疹ワクチン(あるいはMRワクチン)接種歴がない方です。
小児であれば、1歳未満の方は接種されていない筈なのでご注意下さい。
1歳以上であっても、保護者の方々は母子健康手帳を確実にご確認下さい。
小学校入学以上の場合、MRワクチンの接種歴が2回以上あればまずは安心です。

・成人であっても、過去に麻疹に罹っていない方、ワクチン接種歴のない方は感染の可能性があります。

・特に、8/13-15に東京付近で公共交通機関を利用されていた方々、8/14に幕張メッセに行っていた方々はご注意下さい。

4.何に注意すればいい?


・麻疹の初期症状としては発熱です。また、カタル症状(咳、鼻水グジュグジュ、目の充血など)を伴う事があります。こういった症状がある場合には、最寄りの医療機関を受診して下さい。

・受診の際には、まず電話連絡して、「麻疹患者と接触の可能性あり。いつ頃から、どんな症状がある。」と伝えてから受診して下さい。一回の診察のみで診断がつくとは限りませんが、麻疹の疑いがあると判断された場合には、必要な検査(咽頭の診察、血液検査等)はしてもらえるはずです。

・ただし、検査の結果が出るまでは時間がかかります。インフルエンザのような迅速検査はありません。その場で、診断してもらえるという期待はしないで下さい。

・「心配だから。」と、発熱などの症状がないのに受診しても、診断は出来ません。不要な受診は避けて下さい。あくまでも、発熱やカタル症状が存在する場合に受診をおすすめします。

・受診に際しては、公共交通機関(バス、電車など)の使用は避けて下さい。

・また、人が集中する場所(スーパー、コンビニ、ファーストフード店等)には立ち寄らないで下さい。発熱していれば人にウイルスを感染させる可能性が高くなっているからです。

5.麻疹の自然経過と合併症


・麻疹の初期症状は、大体38度台の発熱とカタル症状(咳、鼻水、眼球結膜の充血等)です。これらが数日(約2-4日)続きます。

・その後、口の中に、麻疹に特徴的とされる白い斑点(コプリック斑)が現れます。コプリック斑が出現すると、一旦体温は下がり傾向になります。

・しかし、すぐに高熱(39度台が多い)となり、体に赤い発疹が出始めて、全身に広がります。解熱までには約1週間かかります。インフルエンザでは解熱までに約5日かかる事と比較しても、発熱期間は明らかに長いです。

・麻疹感染者では約3割に何らかの合併症が生ずると言われています。肺炎の合併率は15%程度あり、脳炎の合併率は0.1-0.2%(1,000人に1-2人)と報告されています。もし脳炎になってしまった場合、後遺症を残す確率は、20~40%あると言われています。また、1万人に1人程度が致死的な転帰を取ると言われています。

6.治療、予防法は?


・麻疹に対して、特別な治療法はありません。症状に合わせて脱水予防の点滴や、咳止め等を使用して解熱寛解するのを待たねばなりません。

・予防としてはワクチン接種が有効です。1歳のお誕生日を過ぎていれば、自治体の費用補助を受けての接種は可能です。1回の接種で約95%の方が免疫を獲得すると言われています。2006年6月2日以降では、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)の2回接種制度が始まっています。

・また、2008年の段階で高校3年生だった方以降は、ワクチン接種を受けている可能性があります。親が記録を持っているかもしれません。母子健康手帳などで確認してみて下さい。

参考文献:
国立感染症研究所.麻疹とは
http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/518-measles.html

(2016年9月5日 「MRIC by 医療ガバナンス学会」より転載)