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世界最高峰の「エル・ブジ」からアマゾン料理まで。世界中で修行を重ねた太田哲雄シェフの冒険譚|KitchHike

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みなさま、こんにちは。KitchHike編集部のスズキです。暑い夏いかがお過ごしでしょうか?KitchHikeインタビュー企画第4弾!今回は、腕一本で世界を飛び回る太田哲雄シェフにインタビューです。

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太田哲雄: 料理人を志し、19歳でイタリアへ。その後イタリアの名だたるレストランや、「世界一予約の取れないレストラン」として有名なスペイン「エル・ブジ」、世界のベストレストラン50に選出される、ペルー「アストリッド・イ・ガストン」などで経験を積む。2015年6月に日本に帰国。最近では、未知の食材と土着の食文化を求めて単身アマゾンへ。

華々しい経歴の太田さんですが、常に大切にしているのは"土着&オリジナル"の料理。それを学ぶ為には、時には砂漠と野犬だらけの村や、さらにはアマゾンの奥地にまでも?!修行へ行きます。

ツテが無かろうが、治安が悪いと周りに反対されようが「行ってみないと分からない」をモットーに、持ち前の探求心と行動力で飛んでいく太田さん。まるで映画のような数々の冒険譚に夢中になってしまい、4時間に及ぶインタビューとなりました。ということで、今回のインタビュー企画は三部構成でお届けします!

そしてインタビュー企画恒例の、図々しくも手料理をいただいちゃおう!というお願いも快く引き受けてくださり、太田さんが修行されたあの国(後半でくわしく登場します、乞うご期待!)のお手製ランチをいただきながら、太田さんの物語スタートです!

■1999年 19歳イタリア放浪の旅へ


早速ですが、料理を始めようと思ったきっかけは何ですか?

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笑顔が素敵な太田シェフ!KitchHikeが入居するシェアオフィス「PoRTAL」のキッチンに来てくれました。

-太田哲雄さん(以下、敬略)
僕は19歳で初めて海外に行きましたが、実家が長野の白馬でペンションを営んでいて、スキーのシーズン等には色々な国の選手たちが泊まっていたので、海外を身近に感じていました。食べることが好きだったので、海外で学んで将来は料理関係の仕事に就きたいと考えていました。

最初はフランスに行こうと思っていたんですが、ちょうどその時に泊まりに来ていたイタリア人が「イタリア最高だよ!フランスなんて行っちゃダメだよ、俺が全部手配してあげるから。」と言ってくれて、半ば乗せられて行くことを決めました。結局手配してもらえなかったんですけど(笑)。

なんと!偶然のきっかけですね。

-太田
ところが、いざ行ってみたら、イタリア語はイエスとノーしか喋れなかったので、空港に着いても右も左も分からず、出ちゃいけない出口から出たために、警備員に小部屋に連行されて (笑)。全部予定が狂ってしまって。なんとか4時間遅れでホストファミリーの元に辿りつきました。

最初は語学学校に通ったのですが、生徒が4人しかいなくて僕以外全員上級者で、授業についていくのが大変だったんですね。これではダメだと思ってバッグ片手にイタリア放浪の旅に出たんです。

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今回の料理の主役、黄金に輝く豚バラ!ただ揚げるのではなく「揚げきる」のがポイントだそう。

放浪の旅......!急展開ですね!

-太田
食べることが好きでスーツは持っていったので、毎晩有名な星付きレストランに行って食べ歩きました。「ハリーズ・バー」(ヘミングウェイやエリザベス女王も訪れた、数々の有名人に愛される伝説的レストランバー)が予約して行った最初のレストランでした。

そこでの思い出なんですが、ラビオリを頼んだらパルメザンチーズを給仕が振ってくれるんですよね。「ストップって言ってね。」って言ってくれたんですけど、イタリア語ができなかったのでその意味が分からなくて。降り注ぐチーズをじーっと見ていたら、パルメザンチーズがアルプス山脈みたいになってしまいました (笑)。

でもこんな社交場のレストランで「あ!」とか言えないしな......と思っていたら、下にひかれたラビオリが一切見えなくなったぐらいの時に「ストップ?」って聞かれて、っていう思い出があります(笑)。

そういう感じでレストランを渡り歩いて、街で会った人に自己紹介し泊まらせてもらったりしていました。

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この輝きはまさにインカ帝国?ヒントは、お芋が3,000種類ある国の料理。

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お手製のピクルスと、料理に欠かせないミント。色鮮やかで夏らしい清涼感です!

イタリア語も話せるようになったんですか?

-太田
徐々に話せるようにもなりましたが、高校時代にアルバイトで貯めたお金で行ったので、半年ぐらいで無くなっちゃって。これからどうしようかと考え始めて、紹介してあげるからどこかでこのまま働きなよ、とも言われましたが、日本に帰って基礎を身につけてからまたきちんと学びに来ようと、一旦帰国しました。

■2003年 再びイタリアへ マフィアの友人との出会い?!


日本ではどんなところで修行されてたんですか?

-太田
クラシックなイタリアンレストランや、色々な所で4、5年ぐらい修行していました。それでイタリア料理の基礎も身についたので、日本を発つ前から問い合わせて、働きたいとずっと思っていたレストランで働けることになりました。トスカーナ、エミリアロマーニャ、ピエモンテで働いていたんですけど、ピエモンテ時代にはイタリアンマフィアの人に可愛がってもらったりして。

マフィアですか?!まさにゴッド・ファーザーの世界ですね。

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イタリア時代のお仕事。ジュエリーデザイナーさんのお宅にて。

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コーン生地にブラータチーズやスズキを詰めたアペリティフ。アートのようですね!

-太田
はい (笑)。交通事故起こしちゃった時も助けてもらいました。クリスマスイブの日に美容室に行った帰りにちょっと飛ばしちゃってたんですよね。農道のカーブを曲がらずに谷に落ちちゃって、ガラス全部割れて。自分は出血がひどくて。その時に彼が登場してくれて、いっさいがっさい全部やってくれました。

そんな恩もあって、可愛がってもらって5年ぐらいいちゃったんですよね。でも、ある時、もうイタリアがダメかもしれないと思ったんですよ。当時は国全体が停滞していて、考え方がすべてに対してポジディブじゃないように見えたんです。

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凄まじいエピソードの数々もフツ―に語る太田さん。

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赤玉ねぎは欠かせないそう!一体、何が出来るのか楽しみですね。

イタリアと言うと「なんとかなるさ」という気質のイメージですが......

-太田
「なんとかなるさ&なんにもしたくないさ」という感じなんです (笑)。そんな時にスペインに2日間旅行に行ったんですね。そして「スペインが俺を呼んでいる!」と思ってしまって。料理も人も空気もドンピシャで良かったんですよ。でもツテもないしどうしようと雇ってくれるレストランを探していたら、「エル・ブジ」が雇ってくれるということで入りました。

■2010年 モリを片手に狩りに明け暮れる、スペイン「エル・ブジ」時代


-太田
エル・ブジは、ビザと寝床とまかないを出してくれる代わりに無賃でした。1年の予約が1時間で埋まり、50人の客席に対して50人の従業員がつき、料理も科学的でちょっとおかしなレストランです。ただ、ここを出たら東大法学部出身ぐらいのキャリアになって大抵のレストランに行けるから、経験を積んでると思って我慢しろと (笑)。

なので、まかない以外の食事は自分たちの貯金を崩してやっていかないといけなくて、若かったしとにかくお腹が減るんですよ。でも、大層な食べ物を買う余裕もないし、「そうだ、自分で獲ろう。」と思って。それでビーチがエル・ブジから200mぐらいのところにあったので、モリとシュノーケルと足ヒレを手に入れて、海の幸を狩り始めたんですよ。岩場についてるムール貝とかタコを一生懸命獲ったり。一緒に住む寮の子たちに食べさせてあげてました。タコ捕り名人の意味を込めて「プルポマン」(※タコはスペイン語でpulpo=プルポ)というあだ名ももらいました (笑)。

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エル・ブジ時代の仲間たちと。世界中から集った超一流のシェフの皆さんです。

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エル・ブジの寮にて。楽しそうな雰囲気が伝わってきます!

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タコ狩りの様子。今にも動き出しそうです! (※ 解像度の低い画像ではありますが、タコの生々しさが伝わりますね!)

エル・ブジと言うととてつもなく洗練されたイメージでしたが、裏側がそんなに野性的だったとは知りませんでした(笑)。

-太田
スペインに1年ぐらいいて、次はブラジルに行こうと思ったんです。スペインで会った南米の子たちと相性が凄く合って、「次は南米に呼ばれてるんじゃないか?」と(笑)。調べたらブラジルが最近熱いらしいと聞いて、ポルトガル語の履歴書作ってレストランに応募してたんですよね。
そんな時にあるミラノのマダムから、電話があって......。

前編の今回はここまで!あぁ、まるで映画のような料理人の人生!

話を聞いているだけで追体験できそうな臨場感溢れるエピソードばかり。腕一本で、世界中の料理界を飛び回る太田さん。どこをどう切っても日本が世界に誇る超一流のシェフなのですが、親戚のお兄ちゃんのように気さくに話をしてくれる太田さんに、KitchHike編集部はすっかり魅了されてしまいました。

次回は、「プライベート・シェフ」の響きに魅せられて、ブラジル行きを急遽変更!ミラノに舞い戻ってからのエピソードをご紹介します。このマダムとの出会いから、壮絶な日々が始まる?!

暑さもふっ飛ばす、太田さんの料理を巡る冒険はまだまだ続きます!お楽しみに!

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(「KitchHike マガジン」より転載)

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