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家めし歴15年!ジャーナリスト佐々木俊尚さんに聞く創意工夫あふれる家めし哲学|KitchHike

2015年06月27日 00時53分 JST | 更新 2016年10月31日 16時01分 JST

みなさん、暑い日々いかがお過ごしですか。KitchHike編集部のスズキです。

KitchHikeインタビュー企画、第3弾!今回は、『簡単なのに美味い!家めしこそ、最高のごちそうである。』の著者・ジャーナリストの佐々木俊尚さんにお話を伺いました。

佐々木さんは毎日新聞社等を経て、現在はIT、メディア分野を中心にフリージャーナリストとしてご活躍されています。そのかたわら、ご自宅の食事はすべて (!) 自分で作られているとのこと。

「家めし歴15年の佐々木さん」×「家庭料理で人をつないで早2年のKitchHike」。都内の素敵なご自宅に図々しくもおじゃましてきました!

家めしの大先輩からどんなお話が聞けるのか...... 「今日は野菜をシンプルに食べる料理にしようと思います」と、ホレボレする手さばきで作ってくださる佐々木さんのかたわら、インタビュースタートです!

■"思いつき"料理ではない。日常をきちんと構築する料理=家めし

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朗らかな笑顔でキッチンに立つ姿がとても自然。

今日は宜しくお願いします!

早速ですが、佐々木さんが料理をするようになったきっかけは何ですか?

-佐々木俊尚さん (以下、敬略)

学生時代から山登りをしていて、それがきっかけで以来ずっとやり続けています。山の食事というと普通はせいぜいラーメンやおにぎり、カレーとサトウのごはん、といった感じですが、結構気合を入れて作ります。荷物は重くなってもいいから食材も沢山持って行って、ワインも全部水筒に入れて持って行きます (笑)。この前はマルガリータも作りました。

マルガリータ!凄いですねぇ

-佐々木

企画は決まってないけど、次はアウトドア料理の本も出したいですね。あと旅行先でも作ります。

昨年はハワイに行った時にキッチン付きの所を借りて、オーガニックスーパーの「ホールフーズ」とかファーマーズマーケットで買って、毎日作っていました。野菜の味が濃くて、日本とは違った野性的な美味しさがあるんですよね。

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青々しいゴーヤ。佐々木さんも編集部もこの夏、初ゴーヤ!

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「ゴーヤはワタを取れば苦くないし、下処理もいらないよ。」とのこと。

ちなみに学生時代に料理のアルバイトをされていたことはあるんですか?

-佐々木

全くありません。全て独学です。

なんと!!ますます凄いですね。本に「お祖母様が料理好きだった」と書かれていましたが、その影響はありますか?

-佐々木

そうですね。シンプルな考え方が良かったんですよね。電子レンジが無い時代の人なので、例えば結婚式の引き出物に良くある、まずそうな冷えた鯛のおかしらつきをほぐして蒸して美味しくしたり。そういったちょっとした工夫が美味しい人でした。帰省すると2時間おきに色々食べさせたがったり (笑)。

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瀟洒なお部屋に素敵なインテリアの数々!アーティストである奥様の作品も飾られています。

お料理が好きな方だったんですね。佐々木さんご自身はイタリアン、エスニックと何でも作られていますが、やはり和食がお好きですか?

-佐々木

(何料理というより) 素材が好きです。その素材に合った味付けを考えるし、同じ味付けだと飽きるので工夫します。例えば今日のキャベツの塩もみも、他に野菜料理が何品もあるので全部塩味だとフラットすぎるから、ナンプラーとライムを足してタイ風塩もみとか。そんなものないんだけど (笑)。

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本日の家めしの材料、久松農園の野菜たち!見るからに新鮮。それぞれの佇まいに主張を感じてしまうほど。

そういうアイデアはどこから生まれるんですか?

-佐々木

日常の料理の創意工夫からですね。いわゆる「お父さんの週末料理」は、急に思いつきで色々なスパイスを使ってカレー作ったりするんだけど、あれは日常じゃないでしょ。そういう思いつき料理とは違う。

同じような材料を使って毎日作る中で、創意工夫をして、日常を構築していく感じが好きです。ハレとケと言いますが、僕の場合は完全なケ、日常の料理ですね。こういう夏みかんをむく作業も多くの人が嫌いだと思うんだけど......僕も別に好きではないけど (笑)。ただこういう時にどうやったらキレイにむけるのかとか、考えるのが好きです。

確かにそういう日常的な作業も好きじゃないと、毎日は出来ないですよね。

-佐々木

あとだんだん慣れてきて、上手くむけるようになったり、包丁さばきが良くなったり、自分のアップデート感も楽しいですよね。

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ひとつひとつ丁寧に剥かれた夏みかん。この後、どうなるでしょうか......お楽しみ!

季節感も意識されるんですか?

-佐々木

野菜もその時沢山売っている物を買いますね。久松農園 (佐々木さん御用達の茨城県の農家さん。「エロうま野菜」として有名。) からは、旬の物が届きます。月2回で、里芋とか小松菜が来たりとか (笑)。

材料が限られるとバリエーションも増えますね。

-佐々木

そうですね。それで工夫をするのが楽しい。

■家めしと外めしの違いとは?

本の中で「お酒に合う料理こそが美味い」と書かれていますが、それは意識されているんですか?

-佐々木

酒好きだからね (笑)。

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遠くを見ながら、お酒について語る佐々木さん。

-佐々木

前に獺祭 (だっさい: 山口県の山奥で生まれた、国内外から喝采を浴びる大人気の日本酒) の社長さんと対談した時に、なるほどなと思ったことがあって。最近居酒屋で日本酒はあまり無くて、ハイボールとか焼酎が流行っているのは料理の味が濃いからだと。

日本酒は料理の味が濃いと合わないんですね。そうでなければ日本酒はほとんど何にでも合うのがスゴイ。例えば魚卵や発酵系、納豆とか、へしことか、日本酒は合いますがワインは合わないですね。実はチーズも日本酒に合うので、薄味のピザと合うんですよ。

興味深い話ですね!日本酒を見る目が変わりました。外食はされますか?

-佐々木

ほとんどしません。「今日は疲れ切って到底料理する気が起きない」という日が数カ月に1回ぐらいかな。1人でもお弁当を買ってくる、ということも無いですね。

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佐々木さんの代表的な家めしレシピ、ごちそうおひたし!

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サッと茹でた後に氷でギュッと締めます。

1人でもきちんと作られるんですね。

-佐々木

手順は省略はしますが、ほうれん草のおひたしと冷奴だけでも作りますね。パンだけ買ってきてちょっとしたサラダとか。夏だとガスパチョとかよく作ります。家で絶対作れない物、寿司とかは外で食べますね。ただ、良くある「旬彩ダイニング」よりは、大衆酒場派です (笑)。

家めしと外食の一番の違いは何だと思いますか?

-佐々木

シンプルに素材だけ楽しむのが家めし。凝った味付け、料理、演出が外めしですね。

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ニラの鮮やかな緑!縛ったまま茹でるのが、盛りつけしやすくするポイント。工夫されています。

■先入観なく料理を捉えること

今まで作った中で「これは!」とヒットしたメニューはありますか?

-佐々木

「パイナップル入り酢豚」です。

え?!パイナップル入り酢豚ですか!

-佐々木

アレは、普通は美味しくないでしょ (笑)。まず、味付けはケチャップがメインだから、パイナップルと合うわけないし、缶詰のパインだから美味しくない。ただ酢豚はそもそもケチャップで作る必要はまったくないです。

日本の家庭の中華料理は、戦後見よう見まねで日本に手に入る材料で作っている物があるので、エビチリもケチャップを使っていたりとか。本来の中華料理はケチャップは使ってないし、酢豚は野菜も入ってなくて、揚げた肉にソースを絡めるだけ。そのソースは黒酢とかオイスタソースとか豆板醤。だからケチャップは使わずに、ソースもシンプルで、パイナップルも生の物を合わせたら、とても美味しくできました。

創意工夫を感じられる酢豚ですね!

-佐々木

他に最近美味しくできたのは「バインミー」です。ベトナム風のサンドイッチですが、日本にある材料で十分美味しく作れます。何でも「アレが食べたい!」と思ったらちょっと調べて、でも調べると難しいことが色々書いてあるので (笑)。自分で工夫して作ります。

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家めしのレシピや工夫について語る時の佐々木さんは、とても嬉しそう。

レシピサイトは見ますか?

-佐々木

使いますが、それを見て作ることは無いですね。例えば目の前に豚肉と春菊が合った時に、「これって組み合わせとしてアリかな?」というベースの確認では使いますが。

そんな使い方をしている人に初めて会いました (笑)。レシピサイトで調べてその通りに作るという、一般的な料理に取り組む姿勢とは違いますね。固定観念や先入観が無い料理ですね。

-佐々木

そうですね。「パスタを茹でる時は塩」「肉には塩コショウ」といった先入観がありますが、肉のコショウは保存状態が悪かった時代に、匂い消しの為に使われていただけなので、僕はしません。そういった決められた先入観、ルールみたいなものは、実はほとんどいらないのです。

前編はここまで!「これって本当かな?」と既存のレシピや料理に疑問を持ち、無駄をそぎ落として、シンプルに素材だけを楽しむ家めし。佐々木さんの家めしのコンセプトは、家庭料理の概念が変わるようでした。

後編は、佐々木さんのお待ちかねの家めしをいただきながら、初夏にも負けないアツい家めしトークへ続きます。お腹を空かせて乞うご期待!

■佐々木さんの著書『簡単なのに美味い!家めしこそ、最高のごちそうである。』

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佐々木さんの家めしに至るまでのヒストリーと、家めし哲学、実践ポイントなど盛りだくさんの一冊。

これを読めば、自分の食生活、さらにはライフスタイルも変わるでしょう。なんて、KitchHikeと相性の良いタイトルなんでしょう。

私も早速「黄金のカルボナーラ (牛乳、生クリーム不使用のカルボナーラ!)」を作って、たまげました。ご一読あれ!

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(2015年6月15日「KitchHike マガジン」より転載)