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一段と不透明感を増す米国大統領選挙の行方と外交政策への影響

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◇ 党内分裂の動きが共和党のみならず、民主党内でも強まってきているため、大統領選挙の行方は3か月前に比べて混沌の度合いをさらに増しており、結果は開票するまでわからない状況となっている。

◇ サンダース氏の支持者の中には、クリントン氏が大統領候補になるのであれば、トランプ氏に投票する、あるいは投票に行かないという選択をする人々がかなりの数に上る可能性が指摘されている。クリントン氏は今後掲げる政策運営方針について、左寄りの支持者層に一定の配慮をすることが不可避となっていると見られている。

◇ トランプ氏とサンダース氏が共和党、民主党内で全く予想外の善戦をしている背景には、エスタブリッシュメントへの強い反発・反感がある。民主党、共和党を問わず、エスタブリッシュメントが行ってきた政策が所得階層間格差の拡大、大統領と議会の対立による政策運営の停滞、イラク・アフガニスタン戦争以来の安保政策への不満等を生み出したと見られている。それに加え、長引く経済停滞がエスタブリッシュメントに対する反感の根底にあるのではないかとの指摘がある。

◇ トランプ氏の外交政策に関する考え方は、TPPに反対するなど自由貿易を否定し、保護主義化を志向していると同時に、内向き志向である。一方、クリントン氏の外交はオバマ政権の基本方針を継承すると考えられている。日米関係に関しては、現状が非常に良好な状態であることから、これを保持すると見られる。一方、自由貿易の積極推進姿勢については、選挙運動中にTPPの承認に反対を表明していることから、ある程度変化し、保護主義的要素が組み込まれると予想されている。

◇ 米国議会がTPPを承認する可能性に関する有識者の見方は、楽観的な見方で50%以下、一番多かった見方が30%以下だった。一部にはずっと承認が得られないままになるとの見方もあるなど、TPPを巡る環境はますます厳しさを増している。

◇ オバマ大統領の広島訪問に対して、米国では事前に訪問に反対する意見も多かったが、結果的には米国内でも予想以上に好意的に受け止められた。ただし、その最大の理由は、オバマ大統領が原爆を投下したことについて謝罪しなかったことだった。また、日米両国間の友情をアピールしたことも評価された。

◇ 多くの日本企業は、長期安定雇用と従業員教育を前提に、社会からの長期的信用の保持を重視する経営理念を全社一体となって実践している。日本企業の社会安定化への貢献はすでに米国、中国等において評価されているが、各国が直面する社会問題が深刻化する中、日本企業はその価値をもっと強く訴えるべきと思われる。

全文はキヤノングローバル戦略研究所のHPよりご覧ください。
一段と不透明感を増す米国大統領選挙の行方と外交政策への影響<2016年5月30日~6月9日 米国出張報告>