米国大統領選挙の行方とTPP、北朝鮮リスク対応等への影響

クリントン氏の支持者層はトランプ氏を大統領にしたくないので仕方なくクリントン氏を選んでいるといった消去法的観点からの支持者の比率が高いと言われている。

◇ 7月後半の共和・民主両党の党大会で大統領候補指名が行われた後、トランプ氏の戦死者の遺族に対する問題発言から同氏の支持率が低下した。その後、クリントン氏の健康不安等が取り沙汰されたこともあって、9月中旬にはトランプ氏が盛り返した。

◇ しかし、9月26日に行われた第1回テレビ討論会(過去最高の視聴者数に達した)を機に、クリントン氏が再び優勢となり、支持率の差が拡大した。

◇ トランプ氏の支持者層は熱烈な支持者が多いのに対して、クリントン氏の支持者層はトランプ氏を大統領にしたくないので仕方なくクリントン氏を選んでいるといった消去法的観点からの支持者の比率が高いと言われている。

このため、大統領選挙当日に何があっても投票に行くという熱意が乏しい人が多いことから、何らかの事情で投票率が低い場合にはトランプ氏が有利になると見られている。

◇ 仮にTPP法案が米国議会の承認を得られない場合には、TPP成立が不可能となり、米国のアジア太平洋地域における影響力は深刻なダメージを受ける。それのみならず、同地域の自由貿易政策推進の主導権が米国から中国に移る可能性が高まり、TPPが成立する場合に比べて、貿易・投資の自由化推進のテンポが大幅にスローダウンする可能性が高いと考えられる。

◇ TPPの議会承認を巡る環境は以前に比べて一段と厳しさを増している。3月時点ではレイムダック期間中の承認可能性は50%以下と言われていた。6月になるとその確率が30%以下にまで低下し、9月下旬時点では10%以下との見方が大勢である。それでもオバマ政権関係者及び政府内部の関係者は成立を諦めていない由。

◇ 国連総会出席のためにニューヨークに滞在していた安倍首相が、ヒラリー・クリントン氏からの要望を受けて同氏と面談した。クリントン氏が大統領選で勝利すれば、同政権発足当初から両国首脳同士が良きパートナーであるとの心象を共有できるため、日米両国の緊密な関係が一段と強固なものとなる可能性が高い。

◇ 一部の専門家は、今後2年以内に韓国または日本が北朝鮮から直接ミサイル攻撃を受ける可能性は排除できないため、それを前提とした事前準備が必要である。これが来年以降の日米両国政府間の最重要課題の一つとなる可能性が高いと指摘した。

◇ この1、2年、中国人留学生が中国の政治制度やイデオロギー問題に関して発言を控えるようになっている。これは中国国内のイデオロギー・言論統制が影響しているものと推察されている。米国の大学関係者はこの点を憂慮している。

全文はキヤノングローバル戦略研究所のHPよりご覧ください。

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