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水引結びとお花からときほどく、暮らしのなかにある日本の情緒

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MIZUHIKI
Kohgen
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日本の伝統文化を身近に感じたい、伝統工芸を生活スタイルに合わせてリデザインしたり実際に作ったりしてみたい、そんなニーズが高まっています。それに応えようと、アーティストや職人が開催するイベントも増えています。なかでも関連するイベントやワークショップが多数開催されているのが、日本に古くから伝わる文化「水引」です。


■気持ちをつたえる結び

日本では、お祝いの気持ちや感謝の気持ちをつたえる、あるいは弔いごとへの哀悼の意を示すための贈り物や金品には、紅白や黒白の紙製の飾り紐が結ばれます。これが「水引」です。

その語源には諸説あり、細長く切って縒(よ)った紙縒り(こより)に、「水糊を引き」固める製法から来たとするとも、水に浸して引きながら染めたことに由来するとも言われています。その起源は古く、古代から中世にかけて中国からの輸入品や贈り物に、航海の無事を祈って紅白の麻紐がかけられていたことから、宮中への献上品や貴族間での贈答品に紅白の紐が結ばれるようになり、のちに和紙を用いるようになったのが現在の「水引」の原型とされています。現在、水引の主な生産地として、愛媛県伊予三島市や長野県飯田市が知られていますが、かつては和紙の産地では必ずと言っていいほど作られていました。


■お家で使える、人に見せたくなる作品をつくる

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昨年の寺社フェス「向源」で水引作りを体験するワークショップを開催した、株式会社 BCA m90デザイン室の澁川さんと柳さんに、なぜ水引のワークショップを開催するようになったのか、どんな体験ができるのかを聞きました。

「私たちは、水引のもつ美しさや背景にある結びの文化を今の暮らしによみがえらせたい、そんな思いで水引に関する本の出版や水引を使った空間演出などを手がけてきました。水引にはやわらかいリボンにはない、和紙特有の凜とした張りと美しさがあり、一度結ぶと跡がついてしまうため、結ぶ際にほどよい緊張感が生まれます。相手に対する思いを様々な結びの形に託すというところが水引の最大の魅力だと思います。」

「昨年の寺社フェス『向源』では、『水引とお花のアレンジメント 〜水引結びとお花で楽しむ季節のしつらえ』と題し、水引を結んでボトルを飾り、そこへお花をいけて作品をつくるワークショップを開催しました。水引を作ることと花をいけること、ふたつのパートを組み合わせることで、参加者がデザインや使い方を自由にイメージできるという企画です。」

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お花をいけるパートを教えた、OHaNa仙石本家の仙石さんも水引を作る楽しさに魅了され、ワークショップに企画から参加しました。

「お花と水引は相性がとても良いように感じていました。お花を組み合わせることで季節感が出るし、使うシーンをよりイメージしやすくなります。水引にお花をアレンジする案や壁掛けを作る案も出ましたが、持って帰ってすぐに使える、ボトルを選びました。お花のいけかたには正解がないので、それぞれの納得いくかたちを作ることができるように、アドバイスや手直しをしました。3回開催しましたが、全員が作品を完成させられたのも印象的でした。お花をいけること、水引を結ぶことに親しみを持って頂けたと思います。」


■"むすひ"から"結び"へ。神話から伝わる繁栄のメッセージ

組み合わせてみると妙にしっくりくる水引結びとお花には、「結ぶ」という言葉の意味を介して共通点が見えてきます。「結び(むすび)」の語源は「産霊 (むすひ)」と言われており、これは万物を生成・発展・完成させる働きで、古事記にはムスビを神名にもつ神が多数登場します。「苔生す」(こけむす)の「生す」も語源は同じで、古代の人々は裸の土地に苔が生え始め、やがて草木が生い茂り森林へ発展していくさまを観察して、そこに神秘的な働きを感じたのでしょう。

花をめでる行為は、命をめでる行為でもあります。人々は「むすひ」からはじまる生命のつながりの結晶ともいえる花の美しさを愛し、時にはそれを誰かに送ることで、相手と自分とを「結び」つけていると言えるかもしれません。

古来より日本人は繁栄の喜びや願いを込めて水引を結び、花を摘んで贈ってきました。我々現代人も水引やお花を通じて、物やかたちで気持ちを伝える文化を、暮らしの中に生き生きと根付かせることができるのではないでしょうか。

今年も水引やお花に関する様々なイベントやワークショップが多数開催されます。ぜひ会場へ足を運び、普段使わない発想や感性が働く体験をしてみてください。そして何より、こうしたワークショップは人と人とを「結ぶ」場でもあります。友人や家族と共に参加すれば、彼らとの結びつきも、より強まるはずです。

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