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真っ白なキャンパスに絵を描くように、未来をデザインした夫

木を植えることは、未来への投資だ

2017年09月19日 17時54分 JST | 更新 2017年09月19日 17時55分 JST

「世界中で一番きれいな場所に家を建ててあげる」と言う夫について、夢の土地を探す旅に出た私がたどり着いたのは、南米チリのパタゴニア地方、アンデス山脈の麓にある小さな村でした。

東京でOLをしていた時とは、一転して、スローな、大自然の中でのシンプルな暮らし。チャレンジもたくさんありましたが、そこには、リラックスして、日々を生きる喜びがありました。

そんな私たちの日常のストーリーが、シンプルに生きたいと思っている人たちの手助けになるかもしれないし、忙しく都会で生きている人には、リラックスできる空間を提供できるかもしれない、という思いで「シンプル・ライフ・ダイアリー」というブログを書き始めました。

すると、たくさんの方が記事をシェアして下さって、「生活を拝見して元気をもらっています」、「とてもわくわくして、読んでいるだけで、癒され、豊か気持ちになりました」などのコメントを寄せて下さり、とても、嬉しく思うと同時に、感謝の気持ちで一杯です。

では、今回は、その5回目をシェアします。

「シンプル・ライフ・ダイアリー」7月16日(日) の日記から。

「おお!寒い!見渡す限り、真っ白だよ!」起きてくるなり、ポールが言った。昨夜は冷え込んで、窓まで凍った。フェンスに干していた洗濯物も、凍ってしまい、ポキリと半分に折れてしまいそうだった。

「さて、今日は誰が誰を殺してるかな?」ポールが、コンピューターをつけて、冗談を言う。ネットを通して飛び込んでくるニュースは、まるで、ここでの暮らしとは、別世界のことのように思える。

Paul Coleman

「あ、ちょっと、これ、見て!この足!」しばらく、ニュースをチェックした後、ポールが叫んだ。スクリーンを見ると、フラミンゴの赤ちゃんの写真が映っていた。

「わあ!フラミンゴの赤ちゃんの足って、大人と同じぐらいに大きいんだ!」と私が言うと、「鳥のホビットだね!」と、ポールが笑った。

「なんで、こんなことが!?」と驚嘆してしまうニュースが多い毎日だからこそ、笑いで一日を始めるのは、健康に良い。

さて、朝食は何にしようかなと考えていると、「今朝は、緑のものが食べたいなあ」とポールが言った。

「緑のものって?」

「ケールとか、チャードとか、緑のものだよ。一体、どこへ行っちゃったの、緑の野菜は?」

「畑で凍ってるよ」私が、言うと、「あ、そう」と、ポールは、残念そうに頷いた。

「すぐ、そこだから採ってくるよ」と、言うと、今度は、パッと、顔が明るくなった。

「庭に冷凍野菜があるっていうのは、便利だよね。たいていの人は、冷凍野菜が欲しかったら、スーパーに買いに行かなくちゃいけないんだから」

Paul Coleman

たしかに、その通り。冬でも畑に野菜があるというのは、本当に便利だ。早速、畑へ行って、ケールとフダン草を採ってきた。

野菜を洗うためには、外のバケツに貯めた雨水を使うのだけれど、今朝は凍っていて使えない。洗い場は外にあるので、前の晩に洗い場に汲んでおいた水にも、氷が張っていた。

あまりにも水が冷たいので、家の中からお湯を持ってきた。今朝、ルマという、高温で燃える薪をストーブにくべておいたので、すでに、お湯が沸いていた。そのお湯を使って、野菜を洗い、オートミールを作った。

朝食の後、ポールはヘッジ(生け垣)の剪定をしに行った。家の前にある生垣が大きくなりすぎて、窓から見える景色が遮られるようになってしまったので、かなり、刈り込まなければならなかった。

ポールは、庭仕事を楽しんでいるようで、鼻歌を歌っているのが聞こえた。

AOL

その間、私はランチの用意をした。薪ストーブで全粒粉のチアバタ(イタリアのパン)を焼き、バターナッツとテーブル・ビート、ニンジン、チロエ・ポテトのローストを作った。

今シーズンは、バターナッツが大成功だった。去年作ったグリーンハウスで育てたのだけれど、これは、丘の斜面を掘り下げて作った半地下タイプなので、これまで作ったグリーンハウスに比べて気温が高く保て、夏野菜に最適だった。

「ポール、ランチができたよ!」ロースト野菜をプレートに並べ、ローズマリーとタイム、塩、オリーブオイルを振りかけ、声をかけた。ポールは、窓際のテーブルに座り、野菜を口に運ぶ。

「うーん、美味しい!こういうシンプルなものを毎日食べたいんだよねー」と、嬉しそうだ。

Paul Coleman

すると、ポールが窓越しに、生垣を見ながら言った。

「こういう暮らしには、忍耐強さが必要だと、つくづく思ったよ。このヘッジ(生垣)を植えたのは、もう何年も前になるけど、ようやく今になって、薪として使えるくらいの大きさになった。自分たちで使う薪を全部、この方法で供給できたらいいよね」

「うん。まさに、投資。これって、ヘッジ・ファンドだね」(ヘッジには、「生け垣」と「投資先を分散する」という2つの意味がある)

「はは、本当だ!」

この土地を買ったとき、敷地内には、古い大きな木が2本あるだけで、植物は、ほとんど、生えていなかった。

「ここに、1000本、木を植える。そうしたら、他の植物や木々が、自然に蘇って来て、この場所は、ものすごくきれいになる」と、ポールが言った時、一体、どうやって、1000本もの木を植えるのだろうと思ったものだ。

けれど、7年経って、植えた木は1000本以上になり、ポールが言った通り、何百本以上もの木々が自然に生えてきて、この土地は、本当に美しくなった。

木を植えることは、未来への投資だ。

私たちのヘッジ・ファンドは、確実に増え、利回りもぐんぐん良くなっている!

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