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アフリカはどのようにエネルギー危機を切り抜けているのか

2015年11月21日 15時31分 JST | 更新 2016年11月20日 19時12分 JST

タンザニアのダルエスサラーム郊外にある小さな村の診療所で、医師が巧みにバランスをとって携帯を口にくわえながら、空いた両手で妊娠している女性のお腹を計測しているのを見た。私は信じられない思いで凝視した。携帯のフラッシュライトは電気の無い施設で唯一の照明源だったのだ。2年足らず前に自分が妊娠していた時期を思い返さずにはいられなかった。状況は天と地ほど違っていたからだ。

世界保健機関によると、途上国の女性は妊娠中もしくは出産時の合併症が元で90秒に1人が亡くなっている。照明の有無は生死に関わる問題なのだ。夜の闇の中で学生が灯油ランプを頼りに懸命に本を読んでいる時も、家で使う薪やその他の燃料源を集めるために子供が学校に通えない時も、エネルギー不足が新しい世代の夢や進歩を阻害している。

サハラ以南のアフリカでは、約6億人がエネルギーの安定供給を受けていないと計算されている。ガーナの大統領ジョン・マハマは、停電を意味する言葉から「ミスター・ドゥームソア(ミスター停電)」とあだ名を付けられた。タンザニアでは、雨量の不足から政府が水力発電プラントを閉鎖せざるを得なくなったが、このプラントでは国内電力の35%を供給していた。ナイジェリアからケニア、その他の国では、学習やビジネスなど基本的な活動が暗闇の中で行われることもよくあるのだ。出産や病人の世話などの不可欠なサービスは、薄暗い照明の部屋の中で行われる。

逆説的なのは、アフリカが世界で最も急速に成長しつつある中産階級の本拠地であり、この成長の中でテクノロジーが大きな役割を果たしていることだ。特に、携帯の使用は爆発的に増えた。2002年ではガーナ人口のわずか8%が所有しているだけだったが、今では83%が携帯を使っている。基本的なコミュニケーションからモバイルバンキングに至るまで、あらゆることが携帯を使って行われているのだ。しかし、この携帯の使用料を請求し、サハラ以南のアフリカの自立を促進するのに必要なインフラはまだ存在せず、何億もの人々が暗闇の中に取り残されている。

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18歳のフセイン・ムウェンデ君は家に電気がないため、灯油ランプの照明で勉強している。

タンザニア最大の都市であるダルエスサラームでさえ、停電の深刻な影響を避けることは難しい。あるアイスクリーム店で、私はオーナーのマーシー・キトマリ氏に会った。キトマリ氏は女性起業家として、太陽光発電のアイスクリームスタンドを展開する夢をもっているが、現在は商品の冷凍を維持するだけで精一杯だ。計画停電のせいで、キトマリ氏は電力維持のために高価な発電機代を払わなければならない。私が訪問した時、店は停電の真っ最中だった。発電機のうるさくブンブンいう音が店内に響き渡っていた。

携帯電話のフラッシュライトや発電機であれ、太陽発電の充電所であれ、人々は不足する電力に対して何とか打開策を見つけている。しかし本来、エネルギー危機に対して個人がここまで努力する必要はないはずだ。

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タンザニアのダルエスサラームで充電中の携帯電話

国連は、2030年までにアフリカのあらゆる場所でエネルギー供給を実現する誓約を発表した。この目標を達成すれば、アフリカ大陸全土が完全に生まれ変わることになる。しかしこの計画の鍵は、クリーンエネルギーを供給することにある。

7月に行われたパワー・アフリカ・イニシアチブの演説で、バラク・オバマ大統領はアフリカの国々が化石燃料などの"汚れた"エネルギーへの依存を脱却し、再生可能なエネルギーを活用する方針へ転換すべきだと述べた。企業はこれに同意しているようだ。10月には、グーグルがケニアのグリーン風力発電プロジェクトに投資することを発表した。これはアフリカ大陸で最大の風力発電所になる予定だ。

先進国が資源の割り当て分を大きく超える量を使用していることは驚くに値しない。だがもし途上国が同じようにエネルギーを消費したら、世界的な大惨事になるだろう。代替エネルギー開発に大きな資産を投じ、またアフリカとそれ以外の国々が強い政治的な意志をもち、さらには風土病の蔓延を収束することによって、アフリカは持続可能性のリーダーとなり得る。そして私たち全ての人々の道を照らしてくれるはずだ。

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殆どの家に電気がないため、こうした"映画館"はタンザニア全土の村々にある。タンザニアのムクランガにあるこの映画館では、映画やスポーツの試合を観るほか、テレビゲームで遊ぶのにも住民たちがお金を払っている。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。


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