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「仕事を通じて実現したい思い」から生まれるイノベーション チェンジウェーブ主催「Why Diversity2 -変革リーダーは何処から生まれるか」(イベントレポート)

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LAXIC(ラシク)では、いろいろな方にインタビューをさせて頂いておりますが、その際「自らの置かれた状況を踏まえて、一歩動き出した人」という視点を大切にしています。

では、一歩踏み出せる人、そして更にもう一歩、会社の中で新事業を立ち上げるなどの「変革リーダー」となりうる人とはどのように生まれるのでしょうか。その視点を探るべく、2016年10月5日(水)に開催された、株式会社チェンジウェーブ主催のイベント「Why Diversity2 --変革リーダーは、何処から生まれるか--」にお伺いしてきました。

その様子を、変革リーダーたちの実際の体験談が語られたパネルディスカッションⅡ「変革リーダー体験談 何が背中を押したのか」を中心にレポートします。

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パネルディスカッションⅡに登壇されたのは、ソフトバンク株式会社 プロダクト&マーケティング統括 サービスコンテンツ本部 VR事業推進室 室長の加藤欽一さんと株式会社リクルートホールディングス R&D本部 国内インターネットビジネス開発 Media Technology Lab. 一時保育の検索予約サービスのCoPaNa(コパナ)プロダクトオーナーの鳥巣彩乃さんのお二人。

主催社であるチェンジウェーブ ダイバーシティ&インクルージョンデザイナーであり、女性活用ジャーナリスト・研究者の中野円佳さんがモデレーターとなり、パネルディスカッションが進められました。

ソフトバンクの加藤さんは、VR(バーチャルリアリティ)技術を使ってあたかもその場にいるかのような体験コンテンツを提供する新規事業「VR事業」を立ち上げ、リクルートの鳥巣さんは、急に子どもを預ける必要になった時に、保育園の一時保育をスマホで予約できるサービス「CoPaNa」を立ち上げて、プロダクトオーナーとなり活躍していらっしゃいます。

新規事業のきっかけと「仕事を通じて実現したい」熱い思い


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チェンジウェーブ 中野さん(以下、敬称略。中野):お二人とも現在は新規事業をされていらっしゃいますが、入社してからどのような経緯で新規事業に携わるようになったのでしょうか。

ソフトバンク 加藤さん(以下、加藤):私は今から約20年前の1997年に入社しました。会社は東京デジタルホン、ジェイフォンからVodafone、ソフトバンクへと合併や買収を繰り返して変わっていますが、私自身はずっと携帯の電波を良くする仕事に携わっていました。

「電波が繋がればどこでもインターネットに繋がる社会ができる」ということを使命にずっとこの仕事をしていたのですが、ここ最近、どこでもつながるようになりましたよね。電波がつながると幸せになると思っていたけれども、次はどうしよう、その電波で何を人々に伝えようと思っていた時に、VRに着目したんです。そこから事業検討を重ねて来ました。

ソフトバンクというところは、提案する仕組みが整っているんですね。今回部署を作り、責任者となって、現在は提案したことが本当に実現できるのか検証中です。

リクルート・鳥巣さん(以下、鳥巣):私は中途社員として2013年7月に入社し、2月から、CoPaNaのプロダクトオーナーを務めています。CoPaNaは、リクルート社員が半期に一度行っている「Will Can Mustシート」の中で、一度もmustに入ったことがないような事業だったんです。でも当時、私は結婚したばかりで、子どもはいませんが子育てに興味がありました。

そこで、子育てに関する自由研究を2年程やり、その後、リクルートが毎月行っている新規事業コンテストに応募したんです。コンテストで予選を通過すると、4カ月と少しの予算が与えられるのですが、その間に「一時保育のリアルタイムマッチングがあったら助かる人がこんなにいる!」ということを実証していきました。

転職して半年で、女性リーダー研修への参加をきっかけにCoPaNaの自由研究をスタートさせていますので、リクルートに在籍してからかなり多くの期間をCoPaNaの事業の実現化に費やしていますね。もちろん、本業をきちんと行った上でチャンスを狙っていきました。

※「Will Can Museシートとは」− リクルート社員が半期に一度、実現したいこと(Will)、活かしたい強みや克服したい課題(Can)、能力開発につながるミッション(Must)を記入し、上長と擦り合わせをするシステムのこと。

中野:鳥巣さんの場合は、仕事を通じて実現したいことという強いWillが入社時点で既にお持ちだったのでしょうか?

鳥巣:リクルートの前に、社員が4人しかいないベンチャー企業にいたんです。そのときも、社会に役立つ仕組みが作れたと思ったのですが、多くの人に広まっていかないことが悩みでした。社会に本当に役立つ仕組みを流通できるスキルが欲しいと思って、それが最も得意な会社に転職しようと選んだのがリクルートだったのです。だから、4人のベンチャー企業でなしえなかったことをここでやってみたいという強いWillはありましたね。

自らの「原体験」からうまれる「やりたいこと」と企業の課題感が一致したとき


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中野:新規事業を立ち上げよう!という問題意識や熱意はどこから湧いてきたのでしょうか。

加藤:携帯電話事業においてはそれまでネットワークが最大の差別化要因でしたが、ここ数年どの会社も同じになってきました。その先の新しい事業をどう生み出していくか..... というのはソフトバンクという会社全体の課題感なんです。孫正義の熱量を浴び続けていると、「自分が変えないと」という気になってくるんです。

もう一つの理由は、私は母子家庭で育ってきていて、あまりどこに行くこともできず、経験できるものが少なかったんですね。でもVRという技術を使えば、お金や時間をかけずに旅行・スポーツなどの体験や、距離を超えた人とのコミュニケーションができるわけです。ソフトバンクの課題感と自分のやりたいことが合致し、提案するに至りました

鳥巣:ベンチャー企業でなしえなかったことを、リクルートでやってみたいというWillついては先ほどお話しましたが、リクルートは全員にそれぞれの、オーダーメードの期待をかける会社で、その上で、私の場合は「既存の枠で物事を考えない性質」を強みとして期待してもらえたんですね。

これが少しずつ自信やチャレンジしていく原動力になりました。研修で、半年後に自分のwillを役員にプレゼンをするという機会をいただき、興味のあることが子育てだったわけです。その時、子育てで困ったことや「不」って何だろうと思ったんですね。私ずっと疑問に思っていたことがあって、子どもが産まれた人ってfacebookだとすごくハッピーな投稿ばかりしているのに、ツイッターだと「つらい」って言ってるんですよ。

産後鬱になった知り合いに話しを聞きながら、原体験として子どもが生まれるということを理解し、深いインサイトまで掘れたのです。そこから、保育園の一時保育枠のマッチングするというCoPaNaの構想が生まれました。でもすぐに投資はつかず、なぜアイデアが実現しないのかもやもやした時期もありました。そして1年かけて、新規事業コンテストに出したのです。一従業員のアイデアを、リクルートが会社の仕組みの中で拾ってくれたところはありますね。

中野:お二人とも入社前からの原体験や深い部分にあるものが新規事業へのきっかけになっているわけですね。そのような原体験を表に出す、また実際にやっていこうとするには、色々な壁もあるように思います。どのような環境だったからこそできたとお考えですか?

加藤:目の前のミッションや会社の行きたい方向に対しての目標にがむしゃらにやっていると気付けなかったりするんです。なかなか出てこないので、20年間そのままだったというのもあると思います。私の場合は、チェンジウェーブさんの研修を受けさせて頂いた時に、かなり深い部分まで「個」を見つめられて、それがきっかけになった。アウトプットを出していける社員は多くいるのですが、「個」を出していくには、どこかに仕掛けのようなものがないと難しいのかなと思います。

やりたいことを同じ熱量で常に応援してくれた上長の存在


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中野:リーダーシップやダイバーシティを生み出せる環境として、サイコロジカルセーフティという「違うことを言い出すことが心理的に安全かどうか」が関係するという説があります。お二人の会社の企業風土として、やりたいことを深いところからひねり出して「やりたい」と言っても大丈夫という環境があったということでしょうか。

鳥巣:リクルートはWill(仕事を通じて実現したいこと)を語る文化があり、大人が青臭く話すことが恥ずかしいということが一切ない会社です。なぜCoPaNaという事業が立ち上がる前に2年近くも諦めずにやれたかというと、リクルートにいると「自分らしさ」が満たされるからだと思います。

私自身、「変わってるね」とよく言われるのですが、その変わっている私が言った「一時保育のリアルタイムマッチングが実現するとこんなにも多くの人が助かる」ということを、私と同じ熱量で応援してくれた上長がいるんです。それも、直の上司ではない、かなり上の存在の人です。リクルートの事業として、社会に役立つものを生み出すにはどんな風にすればいいのか、2年の間支え続けてくれました。

加藤:ソフトバンクはやりたいことがあるとき、自分から言いやすい空気がある会社ですね。役員でも「聞いて下さい!」というと、気軽に聞いてくれるんです。新しいことをやるときというのは、いろいろな人に聞けばいいというケースばかりではないんです。強く役員の方が後押ししてくれていたから、本業をやりながらでもVRという新事業を進められたのだと思います。

中野:企業としてイノベーションを起こしていくためには、埋もれている原体験を持っている個人を見逃さず、応援していくマネジメントとリーダーシップが大切なのではないかと感じています。これは「個人としても幸せになること」がイノベーションに繋がるという本日の最初の前野隆司先生の基調講演の話にも繋がることかなと思います。

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