港区・目黒区 保活中の方必見! 気になる "保活"のホントのところをお話します 第2弾(イベントレポート Vol.2)

「保活」を取り巻く環境や状況は、ニュースでもしばしば報じられるほど厳しいもの。

2016年10月27日、育休中もしくは保育園入園を希望しているママ&パパを対象に、LAXIC(ラシク)と、働くママとパパ・家族の気持ちを楽にするサイト「camily(キャミリー)」共催のイベント「育休中ママ必見!気になる "保活"のホントのところをお話します 第2弾」が、渋谷ヒカリエ内にある株式会社medibaで開催されました。

保育園に入れない、待機児童は増えるばかりなどのニュースが報じられる中、働き続けたいママ&パパにとって「保活」は頭の痛い問題です。特に都心部23区を中心に、待機児童問題は深刻な状況にあるといわれています。

待機児童問題をはじめ保育園のさまざまな状況について、今回は港区、目黒区の区議会議員のお二人にお話をしていただきました。

港区・目黒区、保活の様相は?

港区区議会議員 清家あいさん

最初に、港区・目黒区の保育園環境や待機児童などの現状について、それぞれお話いただきました。

まずは港区区議会議員の清家あいさんから、港区の現状について。

港区の保育園・待機児童の現状

全国的に超少子化が進む中、港区は子ども人口が急増し、平成26年には出生率が23区1位となり、出生数はこの10年で2倍以上になりました。今後10年も増え続ける見通しです。これは、都内への子育て層の人口の一極集中が続いていること、さらに子育て支援の充実などにより一人当たりの出生率が上がっていること、そして共働き世帯が急増していること、これらの要因が重なり、保育園を作っても作っても待機児童問題が解決しない状況が続いています。

特に、平成18年~19年、芝浦アイランドができ、湾岸部の大規模な再開発が始まったことで港区の子ども人口が爆発的に増え始めました。今も、毎年500〜1,000人近く未就学児の人口が増え続けていますが、当時はそんなに増え続けるものとは予測していなかったので、国からの援助を受けず、港区独自で「緊急暫定保育室」というものをたくさん作ったんです。

暫定的とはいえ、ほぼ認可と同じ基準で作られています。しかし、5年ごとに存続の見直しがあることで、保育士の確保や保護者の定着などに問題があり、今は「港区保育室」と名称を変え、認可化できるところから認可保育園に転換を進めています。

平成25年、史上最大の拡大!

平成25年に、港区史上最大と言われる保育園の定員拡大を行いました。主に私立認可保育園を誘致する方法で約1,500人分の定員拡大を行い、待機児童は195人から45人にまで減り、翌年さらに約700人分の定員拡大を行うことで、待機児童を30人にまで減らすことができました。

しかし、今年(28年度)はとても厳しく、保育園の増設が頭打ちの状態。それは、保育園を作る土地物件がなくなってしまった、ということが大きな原因です。今年に入って新しく作れたのは、区立保育園の分園と小規模保育2園だけ。待機児童数は9月で169人、10月で201人と、どんどん増えています。0歳児も前年同時期に比べ、すでに243人増なので、保育園を相当増やさなくてはならない状況なのですが...

保育園だけでなく、ベビーシッターの需要も増えていく

国の「居宅訪問型保育事業」を使って、子どもを認可保育園に預ける場合と、同じ費用負担で、同じだけの時間預けられる「ベビーシッター」補助についても始めたいと思っているところです。

翌年の保育需要がどれだけあるか、つまり、どれだけ人口流入があって、どれだけ出生が増えて、どれだけ共働き世帯が増えるか、というのはほとんど予測不可能で、しかも毎年予想をはるかに超えるほど増えていくので、0歳、1歳の待機児童問題が解決しません。しかも、保育園という「箱」を作り続けることに物理的な限界が出てきた現在、0歳、1歳の不足分はベビーシッターで対応していくしかないと思っています。0歳、1歳は、病気になりやすいことを考えても、ベビーシッター保育のメリットはあると思います。

次に、目黒区区議会議員の山本ひろ子さんから、目黒区の現状についてのお話です。

子ども総合計画(5カ年計画)

私にも子どもが3人いるのですが、一番上の子のときは定員割れの保育園がある状態でした。それがたったの5年前です。それ以降、急激に保育園入園希望者が増えた、という感じですね。

現在目黒区では平成27年~32年の5カ年計画で保育園の整備が進められています。27年、28年の2年間はトータルではほぼ計画予定数の保育園整備ができていました。。しかし今後、場所が足りない、保育士が足りない、という問題が出てきて、待機児童も増えていくことは確実。5カ年なんてのん気なことを言うのではなく、直近の問題として対処しなくてはいけないと思っています。

目黒区はこの8月にも計画外でプラス259人入所できるように整備予定を追加して、平成29年度はトータル544人分増やすと公表したのですが、実は半分しか実行できていない。

そんな中、0歳児入園申し込みのピークは、統計から推察すると昨年だったように思えます。今年、来年と0歳児の申し込みは徐々に減るかもしれませんが、待機児童は0にはならないと思っています。

山本さんが議会で提案したのはこんなこと

  • 0、1歳児枠は特に不足し、4~5歳は定員割れという事態が起きている。5カ年計画という悠長なことを言っていても、今すぐ保育園に入れたい人は間に合わない。直近の問題として対処しなければならない。
  • 保育園が決まらずに退職せざるを得ない女性が増えている。退職後、再び職につくのは本当に大変なこと。
  • 小規模保育、ベビーシッターにすがりたい人もたくさんいる。この現状をきちんと見直して、多様なニーズに対応していくものを作ることも必要。保育園に固執しないものを作っていくことも一つの方法。

保育園というあり方だけに固執しない道も開いていきたい

目黒区議会議員 山本ひろこさん

続いて、保活について悩むママたちから多く寄せられた質問ひとつひとつに丁寧に答えていただきました。また、待機児童問題をはじめとした区政に携わっているからこその、区議会議員としての思いもたくさん聞かせてくださいました。

ーQ1. 育休は3歳まで取れるのですが、6月生まれなので0歳児クラスに入れてしまったほうがいいのでしょうか。

山本さん:目黒区では、0歳児ではなく、1歳児の認可保育園入園希望者が一番多いんです。0歳児で入れず、認可外などでポイントを稼いでから1歳児で認可などに入園を希望する、という人が多いためです。しかしながら、数字で見ていくと、入所率は平成27年は0歳児49%、1歳児43%、平成28年は0歳児56%、1歳児40%となっています。

ーQ2. 区内でも地域的に保育園に入りにくい、というところはあるのでしょうか?

山本さん:目黒区は東部地区ですね。保育園も少なく、待機児童も多いようです。

清家さん:港区は湾岸地域、続いて麻布地区です。

ーQ3. 3歳児で認証から認可へ転園するのは難しいですか?

清家さん:港区では、「3歳の壁」が起きないように、2歳児クラスまでの認可園からの転園は最優先で保障してきて、3歳児以上の定員割れが目立つくらい大幅な定員拡大を行った結果「3歳の壁」問題は今のところ起きていません。

また、港区では働きながら幼稚園に入れている人も少なくありません。認証や無認可保育園と幼稚園を併用している人も多いようです。

山本さん:目黒区では、転園希望者のうち半数以上が転園できていない状況です。「3歳の壁」については、連携保育園の設定で解消し、保護者に安心と保証を与えるべきだと思っています。

ーQ4. どこにも入園できなかった場合の対処法を教えてください

清家さん:港区の場合、もし申し込んだすべての園に入れなかった場合、認証保育所は認可保育園と保育料がほぼ同額になるよう補助が入り、無認可保育園でも東京都基準を満たした園であれば一定の補助が入ります。あとは、パート勤務などのための定時保育園「保育サポート」や、インターナショナルスクールなどを利用される方もいます。

「保育園の質」という問題について

続いて話題は保育園の質について。「認可のほうが質がよくて、認可外だと保育の質が悪いのでは?」と思ってしまいがちですが、実際のところどうなのか、お二人の意見をうかがいました。

山本さん:まず保育園の質、という話の前に幼保一体保育「こども園」というものがあります。幼稚園は文科省、保育園は厚労省の管轄という時点で違いがあります。

目黒区は、私立幼稚園が19園あるのですが、こども園になった園はゼロです。それは、幼稚園が改めて幼稚園教諭資格と保育士資格両方を持ったスタッフを探すのが大変なこと、こども園にすると国から一律の補助金になってしまうので、今までより補助金額が減る、などの理由でなかなか幼稚園がこども園になる、ということが少ないのが現状です。全国的に見ても、幼稚園がこども園になった例は、1割程度なのです。

清家さん:港区は現在、こども園は「芝浦アイランドこども園」の1園だけです。山本さんがおっしゃったように、幼稚園がこども園になる気はない...保育園がこども園になる流れを作らないといけない、と考えています。

保育園の質の話になりますが、認可保育園でも、民間事業者の運営だと、リトミックがあったり英語があったりと、習い事系に力を入れている保育園もけっこうあります。保育園ママたちには、「幼稚園では読み書きとか習ったりするんでしょう?」と聞かれますが、幼稚園の方が「遊び」こそ幼児教育の真髄、という感じで、読み書きの授業みたいなことはやっていないです。

山本さん:そうですね、お受験保育所のようなところもあります。認可だから質がいい、公立私立だから質がいい、とは限らないと思うんです。確かに場所的なことでいえば(園庭が広いなど)、認可の方が整っていることが多いかもしれません。

清家さん:本当に質といってもいろいろですよね。認可外保育園は高いところだと、付加価値が売りなので、やはりプログラムがすごかったりしますし。ただ、認可外はなにかあったときに公的な保障がほとんどない、ということがあります。認可外保育園が突然、閉園になったりして保護者の方々から相談を受けるケースもありますが、どうにもできない、ということが多いです。

保育園はママが初めて「ママとして」コミュニティに参加する第一歩の場所

「保活」を取り巻く環境や状況は、ニュースでもしばしば報じられるほど厳しいもの。

そんな状況の中、各自治体はそれぞれの方法で、待機児童を減らすための努力をしています。自分の住んでいる区や市内に、どんな制度があるのか、どう変わろうとしているのか。いろんな方面にアンテナを張ることで、「ああ、こんな可能性もあるんだ」知ることができると思います。

また、保育園はママとして初めて住んでいる地域のコミュニティに参加する第1歩でもあります。自分の住んでいる地域の取り組みをよりよく知るためにも、今回のようなイベントなどをうまく活用していただきたいと願っています。

<今回イベントにご協力くださった方々>

【清家あいさん/港区議会議員】

港区東麻布生まれ。青山学院大学国際政治経済学部、国際政治学科卒業。 産経新聞の記者として7年、主に社会部で事件、行政取材を担当。結婚・出産と仕事の両立に悩み、退社。フリーランスになるも、待機児童のため西麻布で子育てに専念。保育園にも幼稚園にも入れない港区の現状はおかしい!と、ブログ上で現場の声を集め、行政に提言する「港区ママの会」発足。2011年4月、港区議会議員選挙5位初当選。2015年4月、同選挙でトップ当選。民進党。港区議会「みなと政策会議」幹事長。地方政治での活動実績に贈られる「2014年度マニフェスト大賞/ネット選挙・コミュニケーション戦略賞最優秀賞」受賞。

【山本ひろこさん/目黒区議会議員】

1976年生まれ、広島県出身、埼玉大学卒業。以前は外資金融企業のシステムエンジニア。家族は夫と幼い年子の3姉妹。保育園入所率ワースト1の目黒区にて4年間連続で保活を経験し、行政のありかたに疑問を抱く。2015年4月目黒区議会議員選挙に8位で当選(初出馬ではトップ)。 働くママを代弁し、早々に復職したいママにとって、いかに保活が複雑で大変なものか、預け先が見つからない事の重大さを伝え、今すぐできる新たな策を提言し続け、待機児童解消を推進している。日本維新の会、日本税制改革協 議会所属。

【ライター:田崎 美穂子】

元大学出版会編集者、大学生向けのテキスト編集を担当。小学校5年、3年、1歳児の母。ママ友ネットワークを駆使した共感できる記事を執筆

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