[小1の壁]PTA役員決めの実態とワーママならではの攻略法

多かれ少なかれ「PTA役員決め」は紛糾するものです。

「小1の壁」といえば、学童の保育時間とワーママの就労時間ギャップが第一に挙げられます。しかし、実は戦々恐々としているのが「小学校のPTA役員決め」だったりしませんか? PTA役員決めの実態と、その体験談をワーママの口コミと共にお伝えします。

もはやそれは「闘い」である〜PTA役員決め現場

学校にもよります、地域でも違います。たまたま同じ学年になったママ同士のカラーにもよるでしょう。いずれにしても、多かれ少なかれ「PTA役員決め」は紛糾するものです。

脅かすわけではありません。実際に私は役員決めで「ジャン負け」(じゃんけんで負けて役員になった事を言う)したママが、教室のど真ん中でワーワーと泣いて「出来ませんッ」と怒鳴った姿を目の当たりにした事があります。

かと思えば、絶対に「くじ引きでの役員決めは賛成できない」と話し合いが停滞したまま夜の8時になっても決まらず、翌日も役員決めのための集会が開催された「2日がかりの役員決め」レジェンドも体験済みです。自慢になりませんけれども......

ズバリ、役員決めにフルタイムだろうがシフト勤務だろうが、何ひとつ「役員をやらない・やれない理由」は認めてもらえないと覚悟しておきましょう。「今まさに部署替えしたばかり、ちゃんと役員はやるつもりだけど、どうしても来年以降にして欲しい」といった理にかなったお願いでも、まかり通るとは限りません。

PTAは任意。加入しなくてもいいはずだけど......

PTAは任意である、というのは国会で菊池桃子さんが討論したので周知されていますね。ですが、強制加入でないにも関わらず入学時には「誰もが入るもの」という認識が一般化しています。

実際にPTAを廃止している学校もあります。ただ、現状をよく調べてみると「PTAの任意団体」を抜けて(PTA連合というのは、上部組織があるのです)、独自の保護者の組織があるといった状況のほうが多いようです。

PTAの組織全体を改革するとか廃止するのは根本的な解決策だとは理解できます。でも迫る入学を前に、今さら自治体や教育委員会に訴えたところで、何ひとつ変わりません。現実に目をむけると、PTA役員を1度は担うもの、と覚悟を決めるしかありません。

役員選出のルールは熟知しておこう

対策を練るには、まず「相手を知る」のが重要。通う予定の小学校の役員選出方法について、事前に調べておきましょう。知り合いがいない場合には、通っている保育園からその小学校へ入ったママがいないか周囲に聞いて、紹介してもらうといいですね。直接知り合いでなくても、同じ保育園卒、ワーママ同士という事で、色々な情報を教えてくれます。

一般に多いPTA組織は以下の通りです。

・本部(執行部・総務などの呼称も、会長副会長をはじめ6~10数名で構成)

・専門部(厚生部、校外活動部、バザー部など3~6種類ぐらいあるのが普通)

・学年部(各学年のクラス委員)

・父親の会(おやじの会、運動部、子どもと遊ぶ会といった呼び方も。役員の規則に関わらずに独立している場合が多い。要するにパパがこれをやってもPTA活動としてカウントされないケースもあるので勘違いしないように調べておくこと)

続いて、代表的なPTA役員選出方法を3つご紹介します。

ポイント制

<ルール>

・6年間で2~4ポイント獲得するのが条件。本部や「長」がつくものは2ポイント、行事の係は1ポイントなど、担当するものによってポイント数が違うケースが多い。

・低学年のうちにポイントを積み重ねる派、一気に2ポイントとれる「長」がつくものをやってしまう派に別れる。兄弟姉妹がいる場合にはその兼ね合いも考えて「いつポイントを取りに行くか」が重要。

<経験者の声>

・庶務などお手紙作成は家に持ち帰りできる(というか実は会社でコソッとやってしまう!)ので、一番やりやすそうなものを選んでサッサと立候補して着々とポイントを稼いだ。ジャンケンで負けてやりたい委員が出来なかった時も、第3候補ぐらいまで考えておいて、小2と小3でノルマ達成。中学受験の本格段階に入る時はフリーとなっていたので計画通りです。(Kさん)

・大変なのはわかっていたが学年委員長をやりました。うちの場合、学年長のスケジュールは4月時点でハッキリしているので、会社の休み申請がしやすいのが意外なメリット。平日の集会は半日休みをとり、絶対参加の歓送迎会などの日程は早くから会社に休みを申請。1年でポイント全てを消化できるのでこの方法が結果的に一番ラクと判断。(Tさん)

ひとり一回方式

<ルール>

・6年間のうち、1度は必ず何か委員・役員を担当すること。

・役員をやっていないまま高学年になると大変なものに割り当てられる可能性が高まるため、低学年のうちは立候補が続出するケースが多い。

<経験者の声>

・本部にさえ入らなければいいと思い、みんなが嫌がる広報部があいていた1年生の時に立候補。集まりは多かったが、行事の写真撮影を担当させてもらったので、私の出番はほとんどが土日。週末が潰れるのは辛いところですが、行事では近くでわが子を見られるなどメリットもあった。色々なお母さんとも出会えて案外と良かったです。ちなみにこの為に性能の良いデジカメを購入したのは思わぬ出費ではありました(Sさん)

・働くお母さんが多くいる部の委員を引き受けました。お互いに融通をきかせて交替で出るなど出来て良かった。(Hさん)

・うちの学校の文化部はバザー時に手作り品を出品するのと、就学児童へ防災頭巾や布鞄を作成して売るのが仕事。実は私、まったく手芸はできないのですが、すべてネットで注文してノルマ達成(笑) 制作した品を提出するだけで、集まりも年に1~2度なのでワーママたちはけっこうココを狙ってくる。(Fさん)

くじ引き方式

<ルール>

・クラス単位くじ引きし、役員を決める。

・2年連続でクジを引いたなど、泣くに泣けない状況が生まれることも。とはいえ、公平性とわかりやすさから採用する学校は意外と多い。

<経験者の声>

・クラス長を引き当てた時には終わったと思った...... 同じクラス委員を引き受けた人とはなるべく仲良くなって、平日の集会は免除してもらうようにお願い。その分、連絡網の作成から運動会の警備まで、出られるときは他の人の担当部分まで引き受けて納得してもらいました。(Wさん)

・3年連続でクジに当たり、何か悪意があるのかとさえ疑いました...... 1年だけならともかく、3年も何かと平日に休みをとるなど出来るわけがない。他のママたちの反応など構っていられない状態で、出来ないモノは出来ないと言いました。そもそも「くじ引き」にあたり1度引き受けたら、その人は翌年は免除など公平性を保つようにも言いました。反映されませんでしたけど。反感も買ったし、面と向かって文句も言われましたが、どうせその人たちとは一生の付き合いではないと思いスルー。(Oさん)

ワーママたちはどうやって乗り越えた?〜究極の方法

うまくPTAを乗り越えたワーママたちはどんな方法をとったのでしょう? 秘策を教えていただきました。

PTAがゆるい小学校に越境

地域でもPTA活動が活発なところと、全体的にゆるい学校と差があります。子どもが4歳になった頃から、地域の小学校の公開授業などは全て参観、役員選出や活動についても入念にリサーチ。うちからだと徒歩20分かかるけど、放課後の子ども教室もあって学童に入れなくても大丈夫で、PTAもボランティア方式のところに越境させました。寄留先を見つけるのが大変でしたが、あらゆる「縁故」を利用。実際に同じように考えるのか、わりと遠くから通わせている共働き家庭が多く、結果的にやりやすかったです。(Kさん)

兄弟が多ければ本部役員になるのも手

うちは年子と2つ離れてさらにもうひとり、合計3人の子どもがいます。学区域の小学校はPTAはポイント制。3人いると3ポイントずつで、常に2つの委員を掛け持ちしなくてはならないハメに。そこで、2年の任期をつとめると、その後は全ての委員活動、放課後当番もプール当番も免除される本部役員に思い切って立候補。会長、副会長はとても大変ですが、これらはもともと内定ずみ。ヒラ本部で、私は庶務をやりました。平日の集まり全ては参加できないので、その分、年末のPTAからの「年賀状作成、発送作業」とか、議事録のまとめ、役員名簿など、かなり手間はかかるものを率先して引き受けました。いわゆるボスママと噂される人が女性副会長でしたが、適度な距離感を持っていれば問題もなく「フルタイムで働いている人だって本部やってくれてるんですよー」なんて学校の先生に紹介してくれて、意外といい人じゃん、なんて思いました(笑) (Fさん)

いっそ私立小学校へ

区域の学校を見学した時に、子ども達の様子に落ち着きがなく不安だったのと、とにかくPTAが盛んで出番が多いと聞いて悩み抜いた挙げ句、私立小学校をお受験しました。有名校ではないので、保育園でも土日に幼児教室に1年通えば何とかなる所。私立もPTAはあるし、学校によっては公立よりスゴイようですが、選んだところはほとんど全ての行事を「外注」でこなす学校。その都度「集金」されるのでお金はかかりますがラクでした。(Uさん)

役員選出の最悪パターン

最後に「失敗した!」というPTA体験談を語っていただきました。

責任感のない人たちとグループを組むはめに......

6年間のうち1度だけ役員を経験すればいいゆるいPTAでしたが、ひっぱり続けて6年生で学年委員を引き受けたのがまずかった。それまでずっと逃げ続けてきた人ばかりが集まっていて、もともとPTAに協力しようとしない人ばかり。学年活動のお手伝いは、6名いる委員のうち半数は常に連絡がとれない。携帯にも出ないし、かかってもこない。結局、残りの3人でやりきりました。中学受験もあったので、やはり低学年のうちにPTA担当は終わらせてしまうべきでした。(Hさん)

フルタイム勤務の理解が得られず災難

学年でみると、フルタイム勤務のワーママは3割程度。平日は全く参加できないという状況を理解してもらえず、苦労しました。「有給とって」と言われたけど、有給は子どもの体調不良時のために残しておきたい。ほとんど井戸端会議状態の月イチの委員会などに使いたくありません! 陰で「あの人は何もしないでポイント稼ぐ」と言われてイヤな思いをしました。後でフルタイムのワーママ同士で同時期に同じ委員を引き受けて、数人でうまく仕事を分担していたと聞いて、そういう手があったんだと大後悔。やはりある程度はママ友を作って、情報交換しないとダメですね。(Aさん)

実にさまざまな体験談が集まりましたね。私はPTA委員も、本部執行部役員も引き受けた経験があります。役員決めもでその後の集会でも「トラブル・もめ事」は常にあります。PTAにはつきものとも言えるトラブルですが、ある程度ふくらむと自然に収拾していくもの、というのが実感です。どこ吹く風のスタイルを貫くのが一番ですね。

逆に役員をやらなかったら知り合えなかったママたちと親しくなったり、行事の裏側を知り興味深い体験もできました。今では毎年3月になると、役員決めであちこちウルサクなるな、祭りの季節がやってきたな、なんぞと開き直っています(笑)

しかしフルタイム勤務のお母さんにとっては笑えない所もありますね。「わが子が通う学校だから協力しよう」と冷静に考えましょう。口コミにもありましたが、最終的にはイヤな相手がいても一生のお付き合いをするわけではありませんから。

そして最後にひとつ。

専業主婦といってもパートをしていたり、家の事業を手伝っていたり、介護をしていたり、それぞれの事情があるものです。「フルタイム勤務だから」を印籠のようにちらつかせるのは、いらぬ反感を買います。必要に応じて、わかってもらえそうな相手には状況を説明すればいいのです。「フルタイムで働いてるんだから、パートと一緒にしないで!」といった態度は絶対にNG。同じ働く母親からも「あの人のせいで、ワーママみんなが同じように思われる」と思わぬ所から反撃をうける場合も。

仕事のできるママほど、学校や保護者会では「仕事をしているぞオーラ」を消して、ちゃっかり負担の少ない所を選び粛々と担当の仕事をこなしてノルマを達成している、というのが私の印象です。ともあれ、PTAもやってみると案外やれるものです。あまり気負わず「新しい体験だ」ぐらいに受け止められるといいかな、と思いますね。

【ライター 大橋 礼】

年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌! 本とお酒があればよし。

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