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両立のジレンマは「チーム」で乗り越える!〜中野円佳さんオンラインサロン開設記念トークセッション(イベントレポート)〜

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中野円佳さんの『「育休世代」のジレンマ』が出版されてから2年強。育休明けを控えモヤモヤを抱えるママたち、そして2人目3人目の出産を経て新たなジレンマに陥る人たちの声はまだまだ多く聞かれます。

そんな悩みを共に考え、ジレンマ脱出を模索するコミュニティが、中野円佳さん自身が主催するオンラインサロン「2017 育休ジレンマ脱出カフェ」。今回は「出産・育児」と共に、大きなライフイベントである「転勤」問題に焦点をあて、「海外×キャリア×ママ」を考えるオンラインサロンも同時開催されています。

今回、この二つのオンラインサロン開設記念のオフイベントとして、東京大学の中原淳先生と共著にて、光文社より『育児は仕事の役に立つ 〜ワンオペ育児からチーム育児へ〜』を出版される浜屋祐子さんとのトークイベントが開催されました。「育休世代のジレンマ」を出版してから復職・転職・第2子出産を経て中野さん自身が経験したリアルなジレンマを含め、トークセッションの様子をレポートします。

中野円佳さん自身が経験したジレンマと脱出策


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中野円佳さん(以下、敬称略。中野):『「育休世代」のジレンマ』という本で、出産後復職をしている女性が「①バリバリ仕事をする気だった人こそ辞めやすい」「②会社に残っている人は意欲を冷却している場合が多い」というリアルを紹介しました。

私自身はどうだったかというと、第一子出産直後に大学院に行き、そこで書いた論文が「『育休世代』のジレンマ」という本になりました。新聞記者として復帰後は、強みを発揮できる分野で記事を書き、早く帰っても特に問題ないという働き方をしていました。ただ、新聞記者職というのは、いろんな部署を経験してこそ一人前というところがあります。新しい担当に変わってからも同じ生産性で質を担保するのは難しいだろうと考えると、会社でのキャリア展望が描けないように感じました。先にあげた①の「バリバリ仕事をする気だった人こそ辞めやすい」例に当たるわけです。

その後、「個人で発信を許可してくれる会社がいい」「大学院に通いたい、第二子も欲しい」という私の希望を後押ししてくれたチェンジウェーブという会社に入りました。お腹に第二子がいる時に転職をし、出産をして生後4ヶ月で復帰するのですが、この前後で上の子のケアに苦戦しました。妊娠中に転職しているため、復帰後に強みがなかなか活かせませんでした。第一子の復帰後は、お迎え前に少しでも時間があれば記事を書いていたのですが、10分でも20分でも早くお迎えに行ってあげたい・・・と思うわけです。そして、仕事にも自信がなくなり、責任を負うことから逃げたい...... という、私が散々分析していた②の「意欲冷却スパイラル」に陥っていきました。

そのジレンマから私がどう脱却したかというと、大きく2つあります。

1.「チーム」で生産性を上げる:人に頼られ、人を頼る!


復帰当初の自分は、できるだけ仕事の最初から最後までを自己完結しようとしていました。ところが、多様性のあるメンバーの中で、自分が得意な仕事はやってあげて、苦手な部分はそこが得意な人にお願いするようにしはじめると、生産性が劇的に改善しました。例えば、自分自身が苦手なパワーポイントなどの資料の作成は、社内でデザインが得意な人にお願いするようにしました。ダイバーシティのある組織はなぜ強いかという研究でも語られる、役割分担の効果ですね。

2.長期プランを考えてみる


「小1の壁」「中学受験」...... ワーキングマザーには壁と言われるものが色々とありますが、どの時期が一番エンジンをかけやすいのか、いろんな人に聞きながら長期プランを立ててみました。ちょうど「LIFESHIFT 100年時代の人生戦略」という本が出版され話題を呼んでいますが、子供が巣立ってからも含めた長期で人生を考えてみると、今の時期の位置づけを意識しやすくなりました。

最近、夫の転勤が決まったのですが、迷いなく一緒に行くことに決めました。即決できた理由としては、以前から、向こう5年以内に夫に海外転勤がもしかしたらあるかもしれないこと、自分でも海外の事例も見たい、取材や研究に時間をさきたいという思いがあったので、その期間に夫側の転勤がなければ、私のほうが留学などで海外に行くのもありやなしやという話をしていたことが背景としてあります。

日本での仕事はリモートでもできますし、海外転勤への帯同を「インプット」の機会として捉え、引越しを決めました。この辺りのお話は、「海外×キャリア×ママ」のオンラインサロンでも随時お伝えさせて頂きたいと思っています。

家庭内・家庭外にチームを作ることの大切さ


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(左)浜屋 祐子さん、(右)中野 円佳さん

次に『育児は仕事の役に立つ 〜ワンオペ育児からチーム育児へ〜』を中原淳先生との共著で出版される浜屋祐子さんと中野円佳さんとのトークセッションが行われました。

【浜屋 祐子さん プロフィール】
北海道出身。小学生二人の母親。国際基督教大学教養学部卒業後、政府系銀行、人事コンサルティング企業等での勤務を経て、東京大学大学院修士課程修了(学際情報学)。現在は経営教育事業に携わるとともに、はたらく大人の学びに関する研究を続けている。著書に『アクティブトランジション 働くためのウォーミングアップ』(共著、三省堂)など。

中野円佳さん(以下、敬称略。中野):浜屋さんは現在、上の子が小学校5年生、下の子が1年生とのことですが、家族マネジメント的に楽な時期・大変だった時期はいつでしたか。

浜屋祐子さん(以下、敬称略。浜屋):そうですね、大変さの度合いには、何度かの波があったように思います。二人とも未就学児だった時は日常の世話や病時のやり繰りで大変でしたし、上の子が小1の時は、学童の開室時間が短いといった予期していた事柄以上に、友達とのトラブルの対処だとか、思いがけないところに壁があった感じです。ここ数年は比較的落ち着いている時期ですね。なので、大学院に進学するというチャレンジも出来ました。

先ほどの中野さんの話にならって、育休からの復帰時を少し振り返ると、私は外資系の組織人事コンサルティング会社に勤務していた時に一人目を出産し、復職したのですが、当時は小さい子どもを育てながら働いている先輩もいなく、このまま優秀、かつ、時間の制約が少ないように見える皆さんの中に混ざって頑張り続けるイメージが持てなかったんです。そこで、以前から興味があった社会人教育事業を行う企業での、時間的な拘束がもう少しゆるやかなポジションに転職しました。その後、転職先の会社(現在も勤務中)で第二子を出産して再び育休を取得しました。

一番大変だった時期というと、一人目を生んで復職した直後ですね。当時はイクメンという言葉が登場する少し前で、家庭では「全部自分がやらなくてはいけない」と勝手に気負っていました。職場でも、先ほど中野さんも一度そんな状況に陥った、とお話しされていましたが、上手に人に頼れずに自滅する感じだったんです。

中野:なんでもかんでも自分でやろうとしてしまうと、他のリソースを使ったとしてもママの負担は多くなってしまいますよね。

浜屋:本当ですね。共働き育児で求められるのは、いわゆる「お世話」行動だけではありません。家庭の中での役割の調整だったり、家庭の外の育児協力者の獲得や関係づくりだったり、他者と協力し、マネジメントしてという活動が求められるんですよね。共働き育児をすすめる「チーム」を家庭内・家庭外に作っていかないといけない

中野:ケア責任を担うということは、ケア労働してくれる人たちのマネジメントも含めたものなので、それを夫もしくはチームでシェアできることが大切ですよね。浜屋さんはなぜ大学院でチーム育児について研究されようと思ったのですか?

浜屋:仕事と育児の関係、というと、日々の生活の中では一方がもう一方を邪魔するように感じる場面も多いのですが、中長期的に振り返ってみると育児が仕事に役立っているように感じることが多かったんです。家のことを切り盛りしていた人は、仕事を切り分けて人に任せることが上手だったりしますよね。

そんな、育児が仕事に与える「プラス」の影響については、多くの方が経験談として既に語っています。でも経験談のままでは、実際に育児をやっている人は「わかる、わかる!」となっても、「内輪の話」に留まってしまいかねない勿体なさがある。企業の人には届かないのではないかということを危惧しました。だからこそ、データを用いて実証的に、「育児をする経験は仕事にプラスの影響も持つ」ということを研究しようと思ったんです。

中野:本のサブタイトルは「ワンオペ育児からチーム育児へ」というものですね。

浜屋:はい、この本では、①「『育児をする経験』はビジネスパーソンの業務能力発達につながる」、そして、②その際の育児は「ひとりで抱え込む『ワンオペ育児』ではなく、夫婦を中心とするチームとして育児を行う「チーム育児」だ」ということを主張しています。

中野:プラスの効果があるかどうかについては、どうやって測ったのでしょうか。

浜屋:未就学の第1子を持つ共働き正社員男女を対象に、アンケート調査を行いました。そこでは、子どもが生まれてから現在までを振り返ってもらい、チーム育児をどれほど積極的に実践してきたか、そして、その期間に職場での各種の能力がどのように変化したか等を尋ねています。そして、育児と仕事上の項目間の関係を統計的に分析しています。

中野:チーム育児というのは、自分がマネジメントの役割を担うということなのでしょうか、ケア責任自体をチームでやるということなのでしょうか。

浜屋:どちらの要素も調査していますが、仕事上の能力向上にポジティブな影響がみられ、本書でもフォーカスしているのは、「自分がマネジメントの役割を担う」という部分です。この内容をもう少し詳しく説明すると、一つは家庭の中で役割の分担・連携をして、采配をふるっていくこと。二つ目は育児の情報共有をすること。三つ目は家庭外との連携で、保育園含め家庭外で協力してくれる人たちを見つけて関係を築くことです。調査では、これらをどれほど自ら積極的にやってきたかということを調べています。

中野:となると、例えばママだけがたくさん抱えて、切り盛りしながら日々を乗り切っている人でも、チームでやること、分担すること自体が仕事にプラスの影響が出るんでしょうか。

浜屋:はい、自分と家庭外のチームメンバー、つまり保育所だったりシッターさんだったり、で回している場合にもプラスの影響が出ています。パパがすごく忙しいとかで、そんな方もきっと多いですよね。いずれにしても、最重要ポイントは「一人で抱え込まない」ことです。家庭の中であれ、外であれ、他の人と積極的に連携してチーム育児を行ってきたことによる能力向上のポジティブな変化の差異は男女共に出ています

また、チーム育児と言うと、なんとなく母親が育休を終えて職場復帰する時がスタート...... と思っている方が多いようなのですが、本当は、保育園を探すあたりから既に始まっているのですよね。あっ、もうそんなタイミング過ぎちゃった、という方は今からでも遅くないです。とにかく、チームを立ち上げてから軌道に乗せるまでには時間がかかりますから、チーム育児を出来るだけ早目にスタートすることが一つのポイントです。

中野:そうですね。4月から育休復帰の方も多いと思うので、これから本格的にチーム戦をスタートされる方が多いですね。

浜屋:そして、一人目は家庭と保育園だけで回っていたとしても、二人目からはメンバーを増やさないと回らないということは多くありますよね。だからこそ、ファミリーサポートや病児シッターに申し込んだり、親族にどこまでお願い出来るかを状況確認しておくなど、復帰後に起きるだろう「いざという時」に向けたセーフティネット作り、つまり「チームメンバーの意識的な拡大」をお勧めしたいと思います。

中野:私自身がジレンマから脱出する一つの方法が、「職場でチーム戦に持ち込むこと」だったのですが、家庭の方もチームにしていくことが大切ということですね。転勤も男性は「夫が先にいって、家族を呼び寄せればいい」と簡単に言いますが、呼び寄せられるまでのワンオペが大変すぎる。一緒にチームで乗り越えたいものです。浜屋さんありがとうございました!

<浜屋祐子さん 著書紹介>
浜屋祐子・中原淳「育児は仕事の役に立つ ワンオペ育児からチーム育児へ」(光文社新書)

浜屋さんが東京大学大学院にて執筆した修士論文の内容が、指導教官である中原先生との対話形式で紹介されています。具体的には、①一見仕事と無関係と思われる「育児をする経験」はビジネスパーソンの業務能力発達につながること、その際の育児は②夫婦のうちどちらかがひとりで抱え込む「ワンオペ育児(ワンオペレーション育児)」ではなく、夫婦ふたりの「チーム」として育児を行う「チーム育児」であることが紹介されています。共働き育児を実践中、あるいはこれから実践したい子育て世代、そして、企業の人事や経営企画などの皆さまは是非ご一読ください。

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