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あなたは何歳まで妊娠できると思いますか? 卵巣の予備能を知るAMH検査 前半①~あなたの卵子の残りはあとどのくらい?~

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女性は、自分の卵子で何歳まで妊娠できると思われますか? 

日本では生殖補助医療※による妊娠だと49歳出産が最高齢と言われていますが、本来40代での妊娠・出産は難しく、体外受精などの生殖補助医療を行っても、30歳の総治療あたりの生産率は21.8%に対し、40歳では8.1%と半分以下になります。

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最近よく聞かれる卵子の老化という言葉が表すように、高齢になるにつれて、妊孕力(にんようりょく:妊娠する力)は低下します。妊孕力を調べることは難しいのですが、血中のAMH【抗ミュラー管ホルモン】という発育途中の卵胞から分泌されるホルモンを調べることにより、卵があとどのくらい残っているかを知ることができます。

今回は2回に分けて、「卵子」と「卵巣の予備能を表すAMH」について、詳しくお話ししていきたいと思います。

◆「卵子」


女性の卵子は生まれる前から作られており、卵子の個数は、胎生20週くらいのまだ生まれていない赤ちゃんの時期をピークに急速に減少し、男性の精子と違って新たに作られることはありません。

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卵子の元である「卵祖細胞」(卵子の祖先、みたいな感じでしょうか)と言われる段階から最終的に卵子となるのですが、細胞分裂の段階で一旦停止します。女性が成長して排卵するようになると、排卵直前に分裂が再開されますが、停止している時間が長いほど染色体異常が増え、ダウン症の率が上がったり、いわゆる卵子の老化と言われるように、加齢によって妊娠率が下がっていくと考えられています。

AMHは、あくまでどのくらい卵子が残っているのかという指標であり、卵子の質を表すものではないのですが、測定の利点を大きく3つほど挙げてみました。

◆AMH測定の利点


① 卵子がどのくらい残っているか知ることで、結婚・妊娠などのライフプランを立てやすい

AMHが低ければ、妊娠を希望する場合、早めの計画が必要となります。来院される方々の中には、結婚してすぐは2人の期間を持ったり、仕事の都合でしばらく避妊をしてきたというカップルも多いです。

なかなかできないと来院したら、実は卵子の残りが少なかったと後で知り、後悔される方もいらっしゃいます。先にご自身の状態を知ることは、男女ともにとても大切です。

② 不妊治療を行う上で、治療のステップアップの目安となる

卵子の残りが少ない場合は、自分で基礎体温や排卵検査薬を利用してトライする期間も短めに、不妊治療専門施設の受診をおすすめします。

治療も、早めに人工授精や生殖補助医療(脚注1)へステップアップしてよいかもしれません。冒頭の生殖補助医療のデータ(図1)を見てもわかるように、35歳を過ぎてからは特に、1年ごとの妊娠率や流産率は大きく変化します。もし体外受精までお考えの場合は、値が低ければ、早めに選択してもよいと思います。

③ 体外受精を行う際に卵巣刺激方法選択の指標となる

体外受精を行う際、AMHの値が高い方に強いお薬で卵巣刺激を行うと、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)といって卵巣が腫れてしまうことがあるため、マイルドな刺激方法を選びます。低めの場合は、強めの刺激方法を選択、あるいは、年齢や状況によって刺激しても出てくる卵子の数が少なそうな場合は、あえて低刺激を選択するなど、参考にしています。

余談ですが、体外受精でたくさん卵子を得ると早く閉経するんじゃないですか?と聞かれることがありますが、これは間違いです。私たちは毎月1つの卵胞(卵子の入っているふくろ)が育って排卵しているように見えますが、実は、その育った主席卵胞と呼ばれる卵胞以外も存在し、成熟しないまま何百個と消えていっているのです。

人工的な卵巣刺激によってそれらを刺激して拾い上げているため、通常より早く卵子を消耗しているということではありませんので、ご安心下さい。

このように、AMHを早めに知っておくことで、色んなメリットがあるのですが、ここでひとつ誤解してはいけない点があります。AMHは、卵子の数の目安となるわけで、卵子の質を表すのではないということです。簡単に言うと、「AMH値は妊娠のしやすさを表す値ではない」ということです。AMHが高いから妊娠しやすい、低いから妊娠できないというわけではありません。

次回は、この点について詳しくお話したいと思います。

脚注:
※生殖補助医療(ART)とは、卵巣から卵子を採取して体外で精子と受精させ、受精した受精卵を移植する「体外受精」といわれる方法をはじめとする、近年進歩した新たな不妊治療法(参考:日本生殖医学会HPより)

Lealta(レアルタ)/ライター:荒木 依理(不妊症看護認定看護師・生殖医療コーディネーター)

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