ダイアン フォン ファステンバーグの人生観・仕事観が教えてくれること

2014年06月29日 23時50分 JST | 更新 2014年08月29日 18時12分 JST

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DVF」こと「ダイアン フォン ファステンバーグ(DIANE von FURSTENBERG)」と言えば、「ラップドレス」と呼ばれるニットジャージー素材のカシュクールワンピースで有名なブランドです。

そんなDVFのラップドレスが誕生したのが今からちょうど40年前の1974年。今年は"WRAP 40"という誕生40周年記念の個展も開催されていて、オープニングイベントには、グウィネス・パルトロー、アナ・ウィンター(アメリカ版『ヴォーグ』の編集長)をはじめとした多くの豪華ゲストが訪れ、デザイナーのダイアンを祝福しました。※1

「ココ・シャネル以来、最も成功した女性」と言われ、60代後半を迎えた今でもファッション界で活躍を続けるダイアンのパワーの源は、彼女の母親にあると言えます。ベルギーで暮らしていたルーマニアとギリシャ系のユダヤ人である彼女の母親は、ダイアンが生まれる前、アウシュヴィッツ強制収容所に送られました。そんな母親について、こう話していました。

「彼女は並外れた女性だったわ。22歳であの悪夢から奇跡的な生還を果たしたの。彼女は私に、どんな時でも物事のポジティブな面に目を向けなさいと教えてくれた。収容所のことを私に聞かせる時、彼女はそこで得た友情についてしか話さなかったの。きっと私に怖い思いをさせたくなかったのね。出所した時体重がたったの22キロしかなかったのに、18か月後には私が生まれたの。それが彼女にとって何よりの勝利だったんだと思うわ」。※2

ダイアンがDVFを立ち上げたきっかけも、母親の存在が大きく影響していたようでした。スイスのジュネーブ大学で知り合った、ドイツとイタリア王室の流れを組むエゴン・フォン・ファステンバーグ公爵と結婚した彼女。正真正銘の「王子様」との結婚で何不自由ない暮らしを手に入れたものの、「彼と結婚することを決めた時、同時にキャリアを持とうと決めたの。結婚で得た地位は自分のものではなかったから、自分を見失うことなく何かを 築き上げたかったの」と、3万ドルの資本金を元に夫と移り住んだ先のニューヨークでデザインをはじめました。※3

機能的なだけでなく、オン・オフの両方で活躍する上品で華やかなプリントと、"Feel like a woman wear a dress!"(「ドレスを着て女性であることの喜びを感じよう」)というダイアン自身が掲げたコピーが女性の心をつかみ、ラップドレスは1976年に500万着の売上を記録しました。当時職場にパンツスーツを着ていく女性が多かったものの、DVFを知った彼女たちはこぞってラップドレスに身を包み、自立した女性を象徴する社会現象にまでなりました。現代でも当時のヴィンテージデザインが愛され、アメリカの家庭には必ず1枚ラップドレスがクローゼットにあると言われているほどです。※4

ハリウッドのトップスタイリスト、レイチェル・ゾーに「この業界で長年トップに君臨できる理由は?」と聞かれた時、「女性の追求よ。幸運にも私は自分の理想とする女性になれた。その追求の過程にファッションがあったの」と答えたダイアン。※5

人生観・仕事観は人それぞれだと思いますが、ダイアンが教えてくれたのは、どんな環境にあっても探求心と向上心、希望を持って前向きに挑戦することの大切さ。DVFのラップドレスには、高い志をもち、自己を創造し、追求する心があれば未来は拓ける、そんなメッセージが込められているように思います。そんなラップドレスの似合う、存在感のある美しさを持った女性になれたら素敵ですね。

脚注:

※1 Jay Weston、It's a Wrap! Diane von Furstenberg's Dress Has 40th Anniversary、HuffPost、2014年1月13日

※2 Wrap superstar: Designer Diane von Furstenberg tells her story、The Independent、2008年3月27日

※3 Diane von Fürstenberg、Wikipedia

※4 VictoriaPassion、"Feel Like A Woman, Wear A Dress!" ~Diane Von Furstenberg、2013年6月13日

※5 「私はファッションの虜(とりこ)」、レイチェル・ゾーのセレブスタイル