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私たちの脳は面白い! 「カクテルパーティー効果」に見る上手な意識の使い方

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私たちの脳は面白い! 「カクテルパーティー効果」に見る上手な意識の使い方

例えば会社の飲み会や結婚式の二次会などで、周りがガヤガヤとにぎやかでも、会話をしている相手の声が聞こえないなんてことはありませんし、遠くからでも自分の名前を呼ばれたらすぐに気づきますよね。これを心理学では、

カクテルパーティーのように、たくさんの人がそれぞれに雑談しているなかでも、自分が興味のある人の会話、自分の名前などは、自然と聞き取ることができる。このように、人間は音を処理して必要な情報だけを再構築していると考えられる

ことから、「カクテルパーティー効果」と呼んでいます。※1

仕事の帰り道など、電車の中で疲れて寝てしまった時でも、自分の駅に着くと自然と目が覚めるのも不思議に思いませんか? これも「カクテルパーティー効果」が影響していて、自分が毎日使っている駅の名前を自分の名前のように認識しているからだと考えられます。

「カクテルパーティー効果」は人間関係の構築にも活用できると言われています。例えば相手との距離を縮めたい時など、会話の中でできるだけその人の名前を呼ぶだけでも、無意識のうちに相手の注意が向いて印象づけられるのだとか。これはアメリカの心理学者の実験でも実証されていて、男女に15分間会話をさせて、会話の中で相手の名前を呼んだ場合と呼ばなかった場合、名前を呼んだ時の方が「フレンドリー」「社交的」「もう一度会ってみたい」など、相手に対して好印象を持つ結果に。※2 この研究結果は男女の関係だけでなく、様々な人間関係に応用できそうです。また、相手の名前を呼ぶだけでなく、相手の興味のある事柄や、 関心のあるキーワードなどを会話に盛り込んでいくのも、効果がありそうですね。

「音声の選択的聴取」という名前を持つ「カクテルパーティー効果」は「選択的注意」とも呼ばれ、聴覚だけでなく、視覚などにも影響する私たちの意識と脳のメカニズムを指しています。※3

例えば私が学生だった頃、「佐川急便のトラックに描かれている飛脚の赤いふんどしに触れると幸せになれる」という噂が流れました。その当時はとにかくあらゆるところで飛脚の赤いふんどしが目に入ったものでしたが、噂が落ち着いた頃にはほとんど目に入らなくなってしまいました。この出来事を振り返ってみて改めて気づくのは、私たちの脳は意識したものだけをピックアップしているということ。

ここで一つ、意識と脳の関係が分かる映像をお見せします。下記を再生して、途中で映像が静止状態となるまで、白いシャツを着たチームが何回バスケットボールをパスするか数えてみてください。そして映像が静止した時点で、一時停止ボタンを押してください。

白いシャツを着たチームがパスした数......正解は合計13回でした。

でもこのビデオ、パス数を当てるためのものではなく、私たちの「認識度」をテストするもの。実は映像の中で、着ぐるみのクマがムーンウォークをしているのですが、皆さん気づきましたか? 「クマなんていた!?」と思った方は、続きを再生してクマの姿を探してみてください。最初は見えなかったのに、クマに意識を向けたら見えた! という方は、私だけではないはずです。脳のトリック、面白いですね。

こちらはロンドン交通局が、道を走る自転車の存在に気づかないことが多い車のドライバーに向けて、「意識していないことには気づきにくい」というメッセージをのせて制作したコマーシャル。日本でも最近は、携帯の「ながら歩き」「ながら運転」の注意喚起が全国で行われていますが、これも科学的根拠があってのこと。私たちの脳は、意識していないものが見えなくなったり、聞こえなくなってしまうようにできているので、注意をすることが大切だということが分かります。

私たちのマインドにも影響するのが「カクテルパーティー効果」。ネガティブなことばかりに意識がいってしまって、ポジティブなことがカクテルパーティーの「雑音」になってしまったらもったいないですよね。物事には全て二つの面がありますが、せっかく自由に意識を選択できるのであれば、後ろ向きではなく、できるだけ前向きの方向に意識を向けて、毎日過ごしたいですね。

脚注:
※1 「カクテルパーティー効果」、ウィキペディア
※2 Chris L. Kleinke(著)、"Meeting and Understanding People"、出版社: W.H.Freeman & Co Ltd (1986/06)
※3 "Cocktail party effect"、Wikipedia