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キューバの平等と北朝鮮の平等

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1980年代末から1990年代はじめまで、世界の社会主義国家が次々と失敗を迎え、「改革と解放」を旗印に自由市場経済体制へと転換している時にも、北朝鮮は「社会主義は守ったら勝利、捨てたら死」と宣伝をし、キューバの社会主義体制とその指導者「フィデル・カストロ」への同士的な連帯感をひけらかした。

私の記憶の中のフィデル・カストロは、金日成が絶賛する「同志」であって、北朝鮮住民にも広く知られた革命家であり、北朝鮮社会主義体制の「親友」だった。このような考えは、フィデル・カストロ前キューバ国家評議会議長の死去に対する北朝鮮当局の対応からも見られる。北朝鮮はフィデル・カストロの死去を受け、経済的に困難な状況の中でも崔龍海(チェ・リョンヘ)副委員長を代表とする弔問団をキューバに送った。また、崔龍海は12月3日にラウル・カストロ国家評議会議長と面会し「両国間の親善関係を絶えず強化発展させていく」と述べた(「朝鮮中央通信」12月6日付)。

しかし、フィデル・カストロと金日成は同じ社会主義体制を築き、同じ共産体制を追求したが、その実態を覗いてみれば相当な違いがあることに気づくだろう。

私がまだ北朝鮮で住んでいた時、北朝鮮のある高級将校と話をしたことがある。おそらく1996年のことだと覚えているが、その将校は北朝鮮ではかなり高い階級の上将(星3つの将軍)だったが、人民軍の軍事代表団としてキューバを訪れたことがある人だった。

彼はキューバに行ってキューバの高級将校らと会談をした後昼食をとる時の話を聞かせてくれたが、昼食の時間になってキューバの将軍たちと食堂に行ったら、高官専用の食堂もない上に将軍たちが一般兵士たちと同じ列に並んだという。

それを不思議に思った北朝鮮軍の将校はキューバの将星に聞いた。
「あなたは高官なのになぜこのようにトレイを持って列に並んで順番を待つのか」
すると、キューバの将校は笑いながら
「我々は、こういうふうに生きるために革命をしたじゃないか」
と答えたそうだ。

それを聞いた北朝鮮の将校は「キューバの社会主義と北朝鮮の社会主義はかなり違う」と感じたと、そして、キューバは「真の社会主義」をしているようだったと語った。

北朝鮮の社会主義は、実は、朝鮮王朝に根差した「共産王朝」なのである。そのため、北朝鮮は金日成から金正日へ、金正恩へと権力を世襲する。

また、北朝鮮の社会主義は金氏王朝が住民の生命圏と直結する食糧と生活必需品の配給まで総括するシステムであるため、北朝鮮住民たちは朝鮮王朝時代より自由がなくて奴隷のように生きるしかない身である。

北朝鮮が平等を歌ってはいるが、率直に言えば、北朝鮮において平等は単なる言葉のあやで、周知のように北朝鮮では階級と出身成分によって職業や配給も違うなど精神的・物質的差別がものすごく酷い。

平等は、人民を煽るスローガンに過ぎず、北朝鮮の本質は差別的な待遇によって運営される階級国家、つまり不平等国家なのである。

1959年、バティスタ政権を打倒しキューバ革命を成功に導いたフィデル・カストロは、首相に就任した後、ほとんどの社会主義国家がしたように土地改革を実施した。またアメリカなどの外国資本を没収するなどの社会改革を断行し、第1次ハバナ宣言の発表で南米解放を提唱してアメリカとの国交を断絶した。

1965年、キューバ社会主義統一革命党をキューバ共産党に改称し、1975年には新憲法を制定するなど、絶えずに社会主義の建設と体制整備に邁進するカストロのキューバであった。

1980年代後半、ソ連をはじめ東欧圏の社会主義諸国が倒れた時にもキューバは共産主義を追求した。カストロと共にしてきたキューバの歴史を見て、確かなことは、キューバの社会主義と北朝鮮の共産王朝は明らかに違う体制であることだ。

端的な例をあげると、今回亡くなったフィデル・カストロは、具象化を拒否する本人の遺志によって火葬されて一握りの灰となった。それにひきかえ、金日成と金正日は死んだ後にも一年に2億6千万ドル以上の外貨を食うミイラになって北朝鮮住民たちを苦しませている。

しかし、キューバが真の社会主義と真の平等を追求したといえ、社会主義体制が正当化する独裁でたくさんのキューバ人民が人権弾圧を受け、共産主義が持つ経済発展の限界で結局フィデル・カストロ議長が退陣した後キューバは改革開放の道を選んだ。先日のフィデル・カストロの葬式に出席し、キューバ人民も改革と開放、自由化と民主化を念願している現実を肌で感じただろう崔龍海が平壌に戻って金正恩に必ず報告すべきことは、この狂った「共産王朝」を終わらせようということである。

社会共産主義の世界には人民を幸せにするユートピアなんてないということを、過去の数々の社会主義国家が自らの失敗で語っている。それに、独裁者一人のために歪曲を重ねてきた北朝鮮共産王朝ならなおさら未来がない。最後のもがきだろうか核暴走で世界を脅かしている北朝鮮の共産王朝に対し、最近国連の制裁だけではなく日米韓の主要国も追加の独自制裁を採択することで、北朝鮮の暗鬱な未来に厳重に警告している。北朝鮮が社会主義経済の失敗の後に開放を選んだキューバからの教訓と、最近の国際社会の強力な批判の声を受け入れないなら、どんな結果が待ち受けているのか想像にかたくない。

イ・エラン 韓国・自由統一文化院 院長、1997年脱北