朝鮮初級学校生 高さんへ送る手紙

北朝鮮に暮らしていたからこそ言えますが、「金日成思想」なんかは高さんのこれからの人生に何の役にも立ちません。

朝鮮初級学校生 高さんへ

2月6日付けの朝日新聞に掲載された高さんの作文『朝鮮学校の良さを知って』を読みました。大人の事情でまだ幼い小学生さんを巻き込んだような気がして一人の大人として申し訳ない気持ちでした。しかし、高さんに誤解して欲しくないので、一つだけお伝えしたいことがあります。

この間、朝鮮学校の副教材に「日本人拉致」の内容を記述する条件で、自治体から補助金を貰おうと交渉した神奈川・朝鮮総連のトップがいきなりクビになったことが報じられました。本部の許可なしで独自に交渉をした理由です。

北朝鮮による「日本人拉致」の問題は既に世間に知られているので、その内容を朝鮮学校の教材に記述したって急変することはありません。常識的に考えて、自治体から補助金が出たら、生徒さんの授業料の負担は軽減し、普通の日本人学生同様、もっと良い環境と施設で勉強することができます。

だから、本当に生徒のことを考えているなら、朝鮮学校は教科書を修正して補助金を受け取るべきです。だが、朝鮮総連はそれを拒否しました。教科書を弄る前例を作ってしまうと、それを皮切りに最後は「金日成思想」まで弄られる可能性があるからです。

つまり、朝鮮総連にとっては生徒の人権より大切なのが「金日成思想」なのです。実のところ、朝鮮学校は朝鮮総連とつながっていてお金を一緒に使っており、朝鮮学校と朝鮮総連を通じて北朝鮮にお金を送ったという疑惑もたくさんあってので、朝鮮学校への補助金も本当は生徒のために使う気などなかったかもしれません。

2016年1月6日、北朝鮮が水爆実験に成功したと発表し、日本中が震えていた時に、朝鮮学校生は北朝鮮で「異国(日本)の空には人情もないのに祖国(北朝鮮)は愛情が溢れている」と歌って踊る公演を行いました。多くの日本人の方は日本を脅かす金正恩に忠誠を誓う朝鮮学校生の姿を怖く感じたと聞いています。これは、朝鮮学校生の街のゴミを拾う活動で解決するレベルの問題ではありません。

高さんが普通の日本の学校ではなく、朝鮮学校に進学したことにはそれなりの理由があるでしょう。母国語を学びたい、母国の歴史を学びたい。自分の根を大切にする気持ちは素晴らしいと私は思います。でもその選択の理由に「金日成思想」を学びたい、はなかったはずです。

私は生徒さんたちが堂々と自分の権利を主張するべきと思います。僕は民族教育を受けるために朝鮮学校を選んだだけで、「金日成思想」のために通ってるわけではないと。朝鮮学校が「金日成思想」を諦めたら、学生の生活はより豊かになります。朝鮮学校には朝鮮学校生が日本社会になじんで生きていけるようサポートする義務があります。

今の学校側の行為は生徒たちの人生を邪魔するだけです。北朝鮮に暮らしていたからこそ言えますが、「金日成思想」なんかは高さんのこれからの人生に何の役にも立ちません。朝鮮学校を批難する声に傷ついた高さんの話には胸が痛みました。

しかし、日本社会は高さんの存在を嫌うわけではない。高さんのような幼い子どもたちにああいう歪んだ教育をさせる学校側、大人たちを批難しているわけです。どうか自分のことを大事にして、自分の権利を取り戻してください。立派な大人に成長していくことを遠くから応援します。

イ・エラン

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